産後うつはいつまで続くのか|治るまでの期間を解説

産後うつって、いつまで続くものなの?

浅田先生
浅田先生

産後うつの症状が治るまでの期間には個人差があります。回復までの目安や乗り越えるためのヒントを一緒に探っていきましょう!

産後うつの症状に悩まされたとき「いつになったらこの症状や不安は消えるのだろう?」と考えることはありませんか。

産後うつがいつまで続くのかには個人差があり、明確な答えはありません

しかし、産後うつの回復過程や目安を知ることで、回復までの道しるべとなる可能性があります。

この記事では、産後うつを乗り越えた方の体験談を交えながら、産後うつが治るまでの期間について詳しく解説します。

治るまでの期間の目安や体験談を参考に、産後うつを乗り越えるためのヒントを見つけましょう。

産後うつが治るまでの期間 

産後うつが治るまでの期間は、原因や症状によって大きく異なります。数ヶ月のうちに症状が改善することもありますが、回復までに1年以上かかることもあるのです。

産後うつは早い段階で医療機関を受診し、適切な支援を受けることで回復までの期間も早くなるといわれています。しかし、赤ちゃんのお世話に追われる母親にとって、自分自身の健康を優先し、医療機関を受診する時間を確保することは簡単ではありません。そのため、産後うつは発見が遅れやすく、重症化してしまうこともあるのです。

こころちゃん
こころちゃん

自分のことは後回しにしちゃいますよね💦

産後うつは一般的なうつ病と同じく、脳の機能不全によって引き起こされます。[1]気の持ちようや、努力が足りないことによって発症するものではありません。骨折が治るのに時間がかかるのと同じように、産後うつもすぐに治るものではないと理解しておきましょう。

産後うつを発症しやすい時期

産後うつは、産後3ヶ月の間に発症しやすいといわれています。その中でも、とくに産後2週間が産後うつを発症しやすい時期です。

そのため、産後うつの予防や早期発見、新生児の健康状態を確認するために、多くの医療機関では、産後2週間と産後1ヶ月に検診を実施しています。[2][3]

ただし、産後うつの発症はこの期間にのみ起こるとは限りません。産後1年を経過していても発症するケースはあり、産後1ヶ月と産後1年の発症率に大きな差はないといわれています。[4]

産後の女性は、最低でも1年間は産後うつに注意が必要だといえるでしょう。

産後うつになりやすい時期についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

産後うつの回復の目安

産後うつの回復の目安は、症状が安定し、今までと同じような生活が送れるようになったときです。

産後うつの回復過程は、一般的なうつ病と同じく、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、徐々に回復していくという特徴があります。

回復が進むと症状は徐々に落ち着きますが、再発を防ぐためにも治療を継続し、ストレスを管理することが大切です。とくに産後うつは、生活の中心となる育児や家庭生活のストレスが大きいため、途中で治療を止めてしまえば、再発するリスクも高まります。[5]

産後うつから回復するためには、根気よく治療を続けていく必要があるのです。

産後うつ病の症状の特徴を知りたい方や、セルフチェックを活用したい方は、こちらの記事をご覧ください。

産後うつの体験談|産後うつを乗り越えた母親たちの声

産後うつの症状や発症のきっかけ、治るまでの期間は人によって異なります。

ここでは、産後うつを経験した母親の体験談を3例紹介します。

産後3週間ごろに産後うつと診断された40代女性
自分が思い描いた母親像と現実とのギャップに苦しみ、不眠や食欲不振の症状が表れる。産後うつと診断されて約2年が経過した現在も、夫のサポートを受けながら治療を継続し、薬の服用を続けている。[6]
産後半年で産後うつと診断された女性
ワンオペ育児で心身ともに疲れ切ってしまい、産後うつを発症する。夫に対して攻撃的になり、家庭内も殺伐とした雰囲気になっていた。あるとき、勇気を出して育児の大変さを夫に打ち明けたことがきっかけで、夫婦で協力して育児をするようになる。そこから、母親のストレスも軽減され、産後うつの症状が改善していった。[7]
産後2週間で産後うつと診断された30代女性
産後は夫も育休を取得し、夫婦で育児をしていた。何でもやってくれる夫に対して「ありがたい」と感じる一方で、自分が夫より育児ができないと感じて自信をなくし、産後うつを発症した。夫の勧めで早めに心療内科を受診し、薬での治療や周りのサポートを積極的に受け、産後6カ月ごろには症状が落ち着く。

これらの体験談からも分かるように、産後うつが治るまでの期間には個人差があります。

ただし、早めに症状に気付き、周りからの理解やサポート、適切な治療が受けられれば、回復も早まるでしょう。

少しでも早く症状を抑えられるよう、必要なサポートを受けることが大切なのです。

夫や周囲のサポートが少ないと、下記のような原因で産後うつになってしまうこともあります。気になる方はご覧ください。

産後うつを乗り越えるために必要なサポート

産後うつを乗り越えるためには、周りのサポートと適切な治療の両方が欠かせません。

産後うつを乗り越えるためにはまず、誰かに相談することが大切です。

産後、母親は育児のために自宅で赤ちゃんと2人きりになることも多く、孤独感を感じやすい環境にいます。そのため、悩みや不安をこころの中にため込んで、ストレスが大きくなりやすいのです。誰かに感じている悩みや不安を打ち明けることで、こころの負担も軽くなるでしょう。

また、勇気を出して家の外に出ることも大切です。地域の育児支援を活用して同じ年代の子どもを持つ母親と交流することで、新しい視点が得られることもあります。

そして、産後うつの症状があれば、早めに心療内科を受診しましょう。薬の治療はしたくないと考える方もいるかもしれませんが、授乳中でも飲める薬や、薬以外の治療法もあります。自分の体調を後回しにせず向き合うことが、回復への近道といえるでしょう。[1]

おおかみこころのクリニックでは、いつでも相談をお待ちしております。

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まとめ

産後うつは症状や原因が人によって異なるため、治るまでの期間にも個人差があります。

ただし、早めに治療を開始し、必要なサポートを受けられれば回復も早いといわれています。

産後、赤ちゃんのお世話で忙しい母親は、自分の体調を後回しにしてしまいがちです。しかし、産後うつを乗り越えるためには、こころの不調を感じたら早めに誰かに相談し、必要な支援や治療を受けることが大切なのです。

周りのサポートを受けながら産後うつと向き合い、ともに乗り越えていきましょう。

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参考文献

[1]妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療|e-ヘルスネット

[2]産後うつ病について教えてください|日本産婦人科医会https://www.jaog.or.jp/qa/confinement/jyosei200311/

[3]2 産婦健康診査事業|総務省
https://www.soumu.go.jp/main_content/000788811.pdf

[4]産後うつは産後1年経過しても出現する ~長期的なスクリーニングやケアの体制構築の必要性~|東北大学
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/09/press20210910-02-postpartum.html

[5]うつ病の治療と予後|こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003/

[6]知ってほしい“産後のうつ”~92人自殺の衝撃~|NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2018/09/story/special_180914/

[7]“独り”にさせないで それは産後うつかも|NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/special/kosodate/article/feature/article_190603.html

この記事の執筆者
原田瑞季
臨床検査技師。保健学修士。在宅で医療検査の業務に関わりながら、フリーライターとして医療を中心に幅広いジャンルで執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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