とっさに言葉が出ないのはストレスのせい?考えられる病気や対処法




「頭でわかっていてもとっさに言葉が出ない」という経験はありませんか。

言葉が出なくなってしまうと、相手と話をすることが難しくなってしまいます。

声は出せるのに言葉が出ない状態は、ストレスが関係しているかもしれません。

ストレスがある状態では交感神経が優位になって、言葉よりも呼吸の方に意識が向いてしまいます。

ただし、言葉が出なくなる原因はストレスだけとは限りません。そこで今回はとっさに言葉が出ない原因とその対処法について解説します。

とっさに言葉が出ない状況を対策しておき、周囲とうまくコミュニケーションをとれるように役立てれば幸いです。

なぜ、ストレスで声が出なくなるのか。その仕組みについては下記の記事をご覧ください。

とっさに言葉が出ない原因

とっさに言葉が出ない原因として、以下のものが考えられます。

  • ストレス
  • 緊張
  • 自信のなさ
  • 脳の病気(脳卒中や脳腫瘍など)

緊張やストレスがある状態では、交感神経が優位になって呼吸が浅くなったり、動悸が出たりしてしまいます言葉よりも呼吸に意識が向いてしまうため、急に喋れなくなるということがあるのです。

また、周囲の反応を気にしたり失敗を恐れたりする「自信のなさ」も、言葉が出てこない原因として考えられるでしょう。

脳卒中や脳腫瘍など脳の病気を発症すると、とっさに言葉が出ないことがあります。その場合には「ろれつが回らない」「相手の言うことが理解できない」という症状があらわれるため、すぐに医療機関を受診してください。

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とっさに言葉が出ないときに考えられる病気3つ

とっさに言葉が出ないときに考えられる病気は3つあります。

それぞれ見ていきましょう。

社交不安障害

社交不安障害では、人に注目されたり、恥ずかしい思いをしたりするのが怖くなり「人と話す」「電車に乗る」などの行動に強い苦痛を感じてしまいます[1]

原因はまだ明らかにされていませんが、遺伝と環境が複合的に影響しているとされています。

社交不安障害の方は、感情をつかさどる扁桃体が過剰に活性化してしまい、不安や恐怖などのネガティブな感情が出やすいです。[2] 

不安や恐怖を感じると、頭の中で考えがまとまらず、言葉が出てこなくなってしまいます

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緊張して頭の中が真っ白になっちゃいますよね

社交不安障害の治療法には、薬物療法と認知行動療法が有効であると考えられています。[2]

吃音

吃音とは、話すときに言葉が滑らかに出ないことです。発達障害の一つである吃音は、以下のように分類されます。[3][4]

発達性吃音
体質的要因、発達的要因、環境要因が影響し合って、2~5歳に発症することが多い
獲得性吃音
獲得性吃音は2種類。

➀獲得性神経原性吃音
→「パーキンソン病」「てんかん」などの神経学的な疾患、脳の損傷などによって発症する
②獲得性心因性吃音
→心的なストレスや外傷体験から発症する

ストレスが原因の場合、獲得性心因性吃音が考えられるでしょう。

獲得性吃音は10代後半以降に発症するため「大人の吃音症」とも言われています。

大人になってから発症した場合、症状が出る場面が限定されるため、吃音自体の重症度が低いことがあります。しかし、吃音の原因によっては、うつ病を併発している可能性があるため、注意が必要です。[5]

うつ病

うつ病とは「一日中気分が落ち込む」「何をしても楽しめない」などの精神症状や「食欲がない」「眠れない」などの身体症状があらわれて、日常生活に支障が出てしまう状態です。[6]

心身に不調が起こって頭が回らない状態となり、とっさに言葉が出ないことがあります

うつ病の発症の原因は一つではなく、さまざまな要因が関連して発症すると考えられています。[7]

・環境要因
(例)人間関係のトラブル、大切な人との死別、結婚や妊娠など

・性格傾向
(例)完璧主義、義務感が強い、几帳面など

・慢性的な身体疾患
(例)がん、糖尿病など

・遺伝的要因

うつ病の治療では「休養」「薬物療法」「精神療法・カウンセリング」が大切です。[8]

治療は途中でやめずに、医療機関と協力をしながら進めていきましょう。

とっさに言葉が出ないときの対処法

とっさに言葉が出ないときの対処法は、以下の5つです。

ぜひ試しやすいものから始めてみてください。

ストレスを解消する

ストレスが原因の場合は、生活習慣を改善したり趣味をしたりして、ストレスを解消しましょう

生活習慣を改善する方法には、以下のものがあります。

  • 睡眠をしっかりとる
  • 適度に運動をする
  • 栄養バランスの良い食事をする

十分な睡眠はこころの調子を整える働きがあります。不眠になると感情をコントロールできなかったり、記憶力が落ちたりしてしまいます。[9]

「適度な運動」「栄養バランスの良い食事」は、ストレスと上手く付き合うために大切です。

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身体の健康から心の健康につなげましょう

深呼吸をする

とっさに言葉がでないときは、深呼吸をしてみてください。

深呼吸をすると、副交感神経の一つである「迷走神経」が興奮して副交感神経が優位になり、心拍数が減少すると言われています。[10]

職場での会議や学校での発表の前など短い時間でできるので、緊張していると感じたら深呼吸を試してみましょう。

音読する

吃音が出ている方は、音読を取り入れてみてください。

同じ文章を何回も読むと吃音を軽減する「適応効果」があります。新しい言葉を使うときは吃音がよくあらわれがちです。そこで暗記するぐらい音読を繰り返すと、吃音が減ってくることが分かっています。[11]

言葉を声に出すことで、とっさに言葉が出ない状況を防げるでしょう。

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声を出す練習をするイメージです

自発的に話しかける

話をするときは、自分から積極的に話をしてみましょう

「人前で話すのが恥ずかしい」「自信がない」と考える方は、とっさに言葉が出ないため、うまく話せないかもしれません。

ですが、大丈夫です。あなたがうまく話をできなくても、相手はあまり気にしていません。

自信のなさを克服するためには、自分から話しかけてみましょう

回数を増やして慣れることで、うまく相手とコミュニケーションがとれるようになりますよ。

医療機関を受診する

とっさに言葉が出ない状態が改善されないときは、医療機関を受診してみてください

ストレスが原因かもしれないと思ったら、まずは心療内科や精神科に行ってみましょう。

「どんな状況になると言葉が出てこないか」「いつから症状が出ているか」などを質問されるため、あらかじめ準備しておくといいですよ。

突然言葉が出なくなったり、ろれつが回らなくなったりするなどの症状がある場合、脳卒中や脳腫瘍の疑いがあります

この場合は、すぐに脳神経内科や脳神経外科を受診するようにしてください。

まとめ

とっさに言葉が出ない原因には、ストレスや自信のなさなどが考えられるでしょう。

言葉が出なくなってしまったら、一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせてみてください。

日頃からストレスを解消したり、音読をして言葉に慣れたりすることは、対策にもなります

とっさに言葉が出ないことが続いて日常生活に影響が出ていたら、一度おおかみこころのクリニックに相談に来てみてください。

うまく話せない不安をなくせるように、一緒に乗り越えていきましょう。

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【参考文献】

[1]不安障害|こころの病気について知る|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_02.html

[2]自分で治す「社交不安症」
https://amzn.asia/d/9VeFvPi

[3]吃音について | 国立障害者リハビリテーションセンターhttp://www.rehab.go.jp/ri/departj/kankaku/466/2/

[4]発達障害とは | 国立障害者リハビリテーションセンターhttp://www.rehab.go.jp/ddis/understand/whatsdd/

[5]吃音(どもり)の評価と対応
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/9/123_1153/_pdf

[6]うつ病|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=9D2BdBaF8nGgVLbL

[7]2 うつ病の主な症状と原因:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002/

[8]3 うつ病の治療と予後:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003/

[9]こころの健康を保つためには|こころの健康|とうきょう健康ステーション
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kensui/kokoro/tamotsu.html

[10]深呼吸によるストレス緩和効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2009/0/2009_0_H4P3260/_pdf/-char/ja

[11]吃音の世界
https://amzn.asia/d/b9vFCjq

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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