PMDDの治し方|日常で実践できるセルフケアも試してみよう!










生理前の激しい情緒不安定や強い抑うつ気分は、PMDD(月経前不快気分障害)のおもな症状です。
朝起きるのがつらく仕事や学校に行けなくなったり、何をしても楽しいと感じられなかったりするほど深刻な状態に悩まされていませんか。

PMDDは、適切な治療法やセルフケアによって症状をやわらげることができます。治療法やセルフケアを知っておけば、毎月やってくるPMDDの症状に対処できるようになるでしょう。

この記事では、病院で行うPMDDの治し方漢方を使用するPMDDの治し方について解説します。セルフケアも紹介するので、あなたに合う方法を見つけPMDDの症状をやわらげる手助けとなれば幸いです。

PMDDとは

PMDDとは、月経前不快気分障害(Premenstrual Dysphoric Disorder)のことで、生理前にあらわれる不安や落ち込みが強い状態を指します。PMS(月経前症候群)とは異なり、PMDDはより深刻な精神症状を伴うのです。

PMDDのおもな症状には、次のものがあります。[1]

  • 不安
  • イライラ感
  • 抑うつ気分
  • 著しい情緒不安定

PMDDの症状は、生理の1〜2週間前に出現し生理が開始するとともに軽快するという特徴があります。症状が強すぎると、仕事や学校など日常生活に大きな支障をきたすのです。

PMDDの原因はまだ明らかにされていません。しかし、原因のひとつに女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロン(黄体ホルモン)が関係すると指摘されています。[1]

病院で行うPMDDの治し方

PMDDの治し方には、おもに次の3つがあります。

症状の重さや個人差によって、治療法は異なります。病院では医師と相談しながら、あなたに合う治療計画を立ててください。

こころちゃん
こころちゃん

生理に関する不調のつらさは、あなたにしか分かりません。
我慢をせずに、正しく治療しましょう!

薬物療法

PMDDの薬物療法では、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が第一選択薬として使用されています

SSRIはうつ病や不安障害の治療にも使われる薬ですが、抑うつ気分や不安などPMDDの症状にも有効です。

SSRIは、体内にある酵素の働きを活発にすることで、ホルモンのバランスを整えます。この過程で、脳内にあるアロプレグナノロンという物質が増え、PMDDの症状を和らげる効果があると考えられています。[2]

薬物療法をする際には、医師の指示に従って服用することが大切です。自己判断で量を変えたり、途中で服用をやめたりすることは避けましょう。

ホルモン療法

ホルモン療法では、おもに低用量ピルが使用されます。

ピルを服用すると自然な排卵が起こらなくなり、生理によるホルモンの変動が安定します。経口避妊薬(OC)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP)などのピルは、排卵を抑制することで生理前の症状をやわらげる効果が期待できます。[2]

ただし、ピルにはさまざまな種類があり、副作用も人によって異なります。自己判断で服用するのではなく、必ず医師の処方と指導のもとで使用しましょう。定期的な診察を受けながら、あなたに合うピルを見つけることが大切です。

認知行動療法

薬を使わない治療法として、認知行動療法がPMDDに対して有効であると示されています。[3]

認知行動療法は極端な考え方や行動パターンを修正し、より客観的に物事を捉えられるようにする治療法です。たとえば「私はダメな人間だ」という否定的な考えを「今は調子が悪いだけで、これは一時的なものだ」と捉え直します。

物事を悲観的ではなく客観的に考えられるようになるため、PMDDによる不安や抑うつ気分などの症状がやわらぐでしょう。

認知行動療法は、カウンセラーがいる病院の精神科や心療内科で受けられます。また、本や動画を活用し自分で取り組むこともできますが、カウンセラーのサポートを受けながら進めるとより効果的です。

下記の記事では自分でできる認知行動療法を紹介しています。あわせてご覧ください。

自宅でできるPMDDのセルフケア

PMDDの症状をやわらげるためには、病院での治療だけでなく日常生活でのセルフケアも大切です。具体的には、次の3つがあります。

  • お酒やたばこを控える
  • ヨガやストレッチをする
  • 食事の栄養バランスを考える

まずはお酒やたばこを控えましょう。お酒やたばこはホルモンバランスに悪影響を与えるため、できるだけ避けるようにしてください。[4][5]

ヨガやストレッチなどのリラクゼーション法も効果的です。ある研究では、不安や抑うつ、心配などの症状をやわらげる効果があると明らかにされています。[6]

食事の栄養バランスを考えることも重要です。とくに精神を安定させるカルシウム、セロトニン合成に必要なビタミンB6やマグネシウムなどの栄養素を意識して摂れば、症状の緩和につながるでしょう。[7]牛乳や小魚、緑黄色野菜、ナッツ類などをバランスよく食べてください。

他のPMDDのセルフケアについても詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

漢方を使用するPMDDの治し方

漢方薬にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や効果が異なります。PMDDに効果的とされる漢方薬には、次の3つがあります。

漢方に詳しい医師に診察してもらうと、あなたの体質や症状に合う漢方薬を処方してもらえるでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

漢方に詳しいかは、ホームページに記載されていることがあります。
受診する婦人科を事前に確認してみるとよいでしょう♪

加味逍遥散(かみしょうようさん)

加味逍遥散(かみしょうようさん)は、PMDDの精神症状に効果が期待できる漢方薬です。

イライラや不安感、憂うつな気分などの精神症状をやわらげる効果があります。[8]ストレスによって心身のバランスが崩れた状態を緩和する働きがあるため、情緒不安定になりやすいPMDDの症状緩和に役立つのです。

加味逍遥散は「気」の流れを整える働きがあるとされており、頭痛といった身体症状も緩和する可能性があります。また、肩こりや疲れ、便秘の傾向がある人に向いているのです。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、PMDDの身体症状に効果が期待できる漢方薬です。

「血」の巡りを良くする効果があり、生理不順や生理痛、むくみなどの症状を緩和します。[9]継続的に服用することで生理周期が安定し、PMDDを予防する効果も期待できるでしょう。

当帰芍薬散は、妊娠中の症状にも使用できる漢方薬です。ホルモンバランスを整える作用もあるため、身体の冷えや疲れやすさといった「血虚(けっきょ)」の状態にも適しているのです。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、PMDDの血行不良による症状に効果が期待できる漢方薬です。

生理不順や生理痛、更年期障害の治療に使用されます。[10]体質的に血行が悪く、生理痛も強い傾向がある方に有効です。

また、精神的なストレスからくる身体症状にも効くとされています。そのため、顔や手足の冷え、肩こりなどの症状がある人にも向いているのです。

まとめ

PMDDは生理前に深刻な精神症状があらわれる状態ですが、適切な治療とセルフケアによって症状をやわらげることができます。

PMDDの治療には、薬物療法やホルモン療法などがあります。また、漢方薬を用いた治療も選択肢のひとつです。

自宅でのセルフケアも積極的に行いましょう。アルコールやたばこを控えたり、リラクゼーション法を取り入れたりしてください

PMDDの症状に悩んでいたら、まずは婦人科や精神科などに相談しに行きましょう。おおかみこころのクリニックでは、夜22時まで診察をしています。24時間来院の予約ができるため、気になる症状があればお気軽にお問い合わせください。

まずは婦人科や精神科などに相談しに行きましょう。おおかみこころのクリニックでは、夜22時まで診察をしています。24時間来院の予約をできるため、気になる症状があればお気軽にお問い合わせください。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]PMS、PMDDの診断と治療ー他科疾患との鑑別ー,白土なほ子
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/77/4/77_360/_pdf/-char/ja

[2]精神科からみたPMS/PMDDの病態と治療,大坪天平
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/22/3/22_258/_pdf

[3]精神科からみた月経前不快気分障害(PMDD),大坪天平
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/28/2/28_183/_pdf

[4]女性の飲酒のリスク|特定非営利活動法人ASK

[5]⽉経に伴う精神的・⾝体的症状に関連する要因を分析|筑波大学
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p20230111140000.pdf

[6]厚生労働省eJIM|リラクゼーション法[各種施術・療法 – 一般]
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/11.html

[7]月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)|近畿大学病院
https://www.med.kindai.ac.jp/diseases/pms.html

[8]加味逍遥散|くすりのしおり
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8230

[9]当帰芍薬散|くすりのしおり
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8228

[10]桂枝茯苓丸|くすりのしおり
https://www.rad-ar.or.jp/siori/search/result?n=8232

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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