「わたしは仕事ができないかもしれない」
「また失敗したらどうしよう」
仕事で自信がなくなると、職場での評価や周囲の目が気になり、ミスが増えたり人と話すのが怖くなったりすることがあります。
このようなときは、こころが疲れてマイナスに考えてしまっているのかもしれません。
こころが疲れたままムリを続けると、適応障害やうつ病につながる可能性もあります。
今はあなた自身を大切にする時間を意識してみてください。
この記事では、仕事に自信がない人の特徴や、こころを守るためのセルフケアについて解説します。
「もう限界かも」「このまま仕事を続けて大丈夫かな」と不安を抱えているあなたのこころが、少しでも軽くなるきっかけになれば幸いです。
この記事の内容
仕事に自信がないと感じるのは「おかしいこと」ではない
「わたしは仕事ができないのかも」と、仕事に自信がもてずに怖いと感じる人は少なくありません。
たとえば、仕事がうまくいかない日が続いたり、周りの人と比べてしまったりすると、自信をなくしてしまうでしょう。
仕事に対する自信のなさは、自己効力感が関係していると考えられています。[1]
自己効力感とは「目の前の課題に対して、自分にはそれをやり遂げる力があると思える感覚」のことを指します。
自己効力感は「生まれつきの性格」だけで決まるものではなく、日々の経験や環境、こころと身体の状態によって変化しやすいものです。
そのため、仕事に自信が持てないと感じている今の状態は、あなたが弱いからではなく「こころが疲れているのかな」と考えてください。
自己効力感の高め方については、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
仕事に自信がない人の特徴3つ
仕事に自信がない人の特徴には、以下の3つが挙げられます。
それぞれ詳しく解説しています。
まじめで責任感が強く自分を責めやすい
仕事に対してまじめで責任感が強い人ほど、周囲に頼れなかったり少しの失敗や注意に対して「わたしが悪かったのかも」と思ったりして自信をなくしていく傾向があります。
周囲からの「あなたならできるよ」「いつも頑張ってるね」のようなポジティブな言葉は、自信を高めるきっかけになります。[1]
ただ、まじめで責任感が強い人は困っていても弱音を吐かず、ひとりで仕事を抱え込んでしまいがちです。
そのため、周囲からは「問題なくこなしている人」に見えてしまい、励ましや労いの言葉が少なくなります。
その結果、周囲からポジティブな声かけを受ける機会が少なくなり、気づかないうちに少しずつ自信を失ってしまうのです。

ひとりで頑張り過ぎちゃうんですね💦
環境の変化や業務量の増加でこころが追いつかない
職場環境や業務量の変化でミスが増えたり失敗したりすると、こころが追いつかず「わたしは仕事がうまくできない」「前はできていたのに」と自信を失うきっかけになります。[2]
疲労や不安、緊張のようなこころと身体の反応は、自己効力感にマイナスな変化を与えると言われています。[1]
たとえば、以下のような変化で緊張や不安が高まってしまうでしょう。
- 新しい担当を任された
- 苦手な人と仕事のペアになった
- 業務内容やルールが変更された
このような状況で「早く慣れなくちゃ」「周りに迷惑をかけられない」とムリをすると、ストレスが溜まり、適応障害やうつ病のきっかけになることも少なくありません。
環境の変化でこころが追いつかないときは、まず上司や同僚に相談しましょう。
もし、周囲に相談しにくいときは、おおかみこころのクリニックに相談してください。
ひとりで抱え込まずに、一緒にどう解決したらよいのか考えましょう。
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周囲と比べて「わたしなんか」と低く評価してしまう
周囲と比べて「わたしなんか」と低く評価してしまうと、仕事に対して少しずつ自信がなくなってしまいます。
以下のような状況で、周囲と比べていませんか。
- SNSで活躍している同年代の投稿を見て取り残されたように感じる
- 同僚がスムーズに仕事をこなしているのを見て「わたしにはムリだ」と思う
- 上司がほかの人を褒めているのを聞いて「わたしだけ認められていない」と感じる
「隣の芝生は青く見える」というように、周囲を見るとよいところばかりに目が行きがちです。
大切なのは、周囲と比べることではなく昨日の自分と比べることです。
少しでもできるようになったことや成功したことを見つけることで、少しずつ自信を取り戻せるでしょう。
自信がないから「仕事を辞めたい」と感じるのはこころが疲れているせい
仕事に自信が持てないときは、こころが疲れているのかもしれません。
いつもなら受け流せるようなことも、心身の疲れがたまっているとこころの余裕がなくなり、イライラしたり不安になったりすることもあるでしょう。
人は強いストレスが続くと物ごとを柔軟に考えるのが難しくなり、ネガティブな考えになりやすいとされています。[3]
つまり「仕事を辞めたい」と感じるほど、あなたのこころが追い込まれているということなのです。
そのようなときは、今は「こころが疲れているからだ」と大きな決断は避け「今までよく頑張ってきたな」とあなた自身を褒めてあげてください。
仕事に自信がないとき|こころを守るためのセルフケア
仕事に自信がないときに、あなた自身ができるこころのケアは以下のようなものがあります。
すべてを行う必要はありません。
まずは、あなたの気持ちと体調に目を向けるところから始めてみてください。
感情を紙に書き出して気持ちを整理する
頭の中でモヤモヤしている感情は、言葉にしないまま抱えているとつらい気持ちが大きくなっていきます。
今感じていることを紙に書き出すことで、あなたの気持ちを客観的に見つめるきっかけになり、焦りや不安がやわらぐでしょう。[4]
たとえば、以下のような気持ちを、メモでも裏紙でも何でもよいので実際に手を動かして書き出してください。
- 「がんばらなきゃいけないのに疲れた…」
- 「またミスしたらどうしよう…不安だな。」
- 「どうしてあんな言い方されたのか気になる。わたしが悪かったのかな…」
書き出すことで、漠然としていた悩みや気持ちに気づくきっかけになります。
まずは、書き出してみましょう。
仕事の優先順位と必要性を見直して負荷を減らす
仕事に優先順位をつけたり必要性を見直したりすることで、業務時間を短縮できます。[5]
業務時間が減ることで、こころの負担も軽くなるでしょう。
たとえば、以下のように分けてみてください。
- 他の人でもできる作業
- 今日じゃなくてもよい仕事
- 業務そのものをやめても支障はない仕事
仕事に自信が持てないときほど「全部ちゃんとやらないと」とムリをしてしまいがちです。
ToDoリストを使ったり、今あなたが抱えている仕事内容を書き出したりすることで「今やるべきこと」と「あとでよいこと」を分けることができます。
できることから始めて、こころの負担を軽くしましょう。

しなければならないことを整理すると、こころが軽くなることがあります!
仕事と距離を置くことに罪悪感をもたないようにする
疲れているときは、仕事と距離を置いてゆっくり過ごすことも大切です。
「今日は早く帰ろう」「休憩をしっかり取ろう」と考えていても、実際は「サボってると思われるかも」と罪悪感を抱いてしまうかもしれません。
ただ、ムリを重ねて働き続けると、大きなミスや体調不良につながることもあります。
以下のような方法で仕事と距離を取ってください。
- お昼休みは職場から離れて過ごす
- 有給休暇を使ってゆっくり過ごし気持ちをリセットする
- 仕事の休憩時間にひとりになれる時間を意識的に確保する
仕事と上手く距離を取ることで気持ちがリセットされ、少しずつ前向きに仕事に取り組めるようになるでしょう。
まとめ|あなたのペースで選んでいい
仕事に自信が持てないのは、あなたが弱いからや仕事ができないせいではありません。
職場環境の変化や体調不良などの要因で、こころが疲れている可能性があります。
まじめに仕事に向き合ってきたからこそ、疲れてしまうのです。
「ちょっと休憩が必要な時期なのかも」と考え、以下の方法であなた自身の負担を減らしてください。
- 感情を紙に書き出して整理する
- 仕事と距離を置くことに罪悪感をもたない
- 仕事の優先順位や必要性を見直して負荷を減らす
あなたが、本来のあなたらしく働けるきっかけになりますと幸いです。
ただ、仕事に自信がなく落ち込むときは、ひとりで抱え込まずに医師に気持ちを相談しましょう。
おおかみこころのクリニックでは、仕事で疲れて家から出たくないときでも受診できる「オンライン診療」を行っています。
自宅からスマホひとつで受診できるため、お気軽にご相談ください。
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【参考文献】
[1]職場における自己効力感に関する文献レビューと今後の課題-教育現場と対比して-|水野武https://ritsumei.repo.nii.ac.jp/record/14185/files/ps_28_2_mizuno.pdf
[2]自己効力感研究の現状と今後の可能性p4|池 辺 さやか・三 國 牧 子http://54.64.211.208/dspace/bitstream/11178/104/1/kokubun57-8.pdf
[3]認知行動的要因とマインドフルネスが認知的反応性に及ぼす影響—抑うつとの比較から—p1|淨沼 和浩、伊藤 大輔
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbct/advpub/0/advpub_21-021/_pdf
[4]今の気持ちを書いてみる|こころもメンテしよう 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_02.html
[5]生産性&効率アップ必勝マニュアル|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000643409.pdf
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士として精神科で17年の臨床経験を積み、現在は訪問リハビリに従事。経験を生かしメンタルヘルスを中心に、やさしく寄り添う文章を心がけて執筆しています。









