PMDDになりやすい人の特徴3つ|セルフチェックと治療法を紹介




月経前不快気分障害(PMDD)とは、月経前に強い気分の変動が起こり、日常生活に支障をきたす病気です。PMSよりも症状が重く、中には仕事に行けない人もいるでしょう。

PMDDになりやすい人の特徴は、神経質な性格や飲酒習慣などが挙げられます。PMDDに対処するためには、睡眠時間を確保したり、お酒やたばこを控えたりすることが大切です。

この記事では、PMDDになりやすい人の特徴PMDDになりやすい人の対処法などについて解説します。PMDDのセルフチェックも紹介するので、あなたがPMDDにあてはまるかを確認してみてくださいね。

PMDDになりやすい人の特徴3つ

PMDDになりやすい人には、おもに3つの特徴があります。

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

神経質である

PMDDになりやすい人の特徴には、神経質な性格が挙げられます。[1]

神経質な人は、ストレスに敏感で些細な出来事にも気を取られやすい傾向があります。ホルモンバランスの変化に対しても敏感に反応しやすく、PMDDの症状があらわれやすいのです。

仕事や人間関係のちょっとしたトラブルに反応してしまったり、将来の不安を必要以上に考えたりすることがあります。神経質気味の人は、PMDDのリスクが高まるため、不安になりすぎないように気をつけましょう

こころちゃん
こころちゃん

「よく気が利くね」と言われる人もストレスを感じやすいですね

お酒をよく飲む

お酒をよく飲む習慣がある人は、PMDDになりやすいです。[1]

アルコールを過剰に摂取することは、ホルモンバランスを崩す原因となります。[2]また、アルコールは一時的に気分を紛らわせる効果がありますが、依存すると不安やうつ症状を悪化させてしまいます。[3]

たとえば、ストレス解消のためにお酒を飲む機会が増えている、1日の終わりに必ずお酒を飲まないと落ち着かないという人は注意が必要です。PMDDのリスクを下げるためにも、適度な飲酒を心がけてみてください。

精神疾患を発症したことがある

PMDDになりやすい人の特徴には、過去に何らかの精神疾患を経験したことがある点があります。

うつ病や不安障害など精神疾患を発症した人は、PMDDを発症する確率が高くなるとされているのですPMDDを発症する女性は、真面目で責任感が強い性格が多いことが要因と考えられています。[4]

とくに双極性障害の人は、PMDDを発症する割合が27.2%と高く、双極性障害Ⅱ型だけで見ても発症しやすいと示されています。[1]

今までに精神疾患を発症したことがある人は、月経周期と気分の変化を注意深く観察しましょう。生理前に不安になりやすいと感じたら、医療機関に相談してみてください。

PMDDとPMSの違い

PMDDとPMSは、月経前に起こるという点で似ていますが、症状の程度や日常生活への影響には違いがあります。

PMSは、多くの女性が経験する比較的軽めの症状で、月経前に気分の変動や身体の不調を感じるものです。PMSは身体症状と精神症状の両方があらわれますが、PMDDはおもに精神症状があらわれます。[5]

PMDDによる気分の変動はPMSよりも重く、日常生活に支障をきたしてしまうのですPMSでは軽い気分の落ち込みを感じる程度ですが、PMDDではうつ状態に陥ったり、強い不安や絶望感に襲われたりするため、精神疾患として扱われています。

PMSについて気になる人は、以下の記事もご覧ください。

PMDDのセルフチェック

PMDDの診断基準をもとにしたセルフチェックで、どのくらいあてはまるか確認してみましょう。

【主要な症状】
▢ 感情の波が激しい
▢ 自分を責めがちになる
▢ 不安や緊張が強くなる
▢ 神経が高ぶる感じがする
▢ 人間関係でトラブルが増える
▢ イライラしたり、怒りっぽくなる

【追加の症状】
▢ 集中力が落ちる
▢ 疲れやすくなる
▢ やる気が出ない
▢ 食欲が大きく変わる
▢ よく眠れない、または眠りすぎる
▢ 仕事や趣味などへの興味が薄れる
▢ 胸の張りや痛み、むくみなどがある
▢ 自分をコントロールできない感じがする

【その他】
▢ 症状のせいで日常生活に支障が出ている
▢ 症状は他の精神疾患によるものではない
▢ 2回以上の月経周期で同じようなの症状がある

主要な症状に1つ、そして主要な症状と追加の症状を合わせて5つ以上あてはまり、日常生活に支障が出ているときは、PMDDの可能性があります。一度精神科や婦人科に相談してみるといいでしょう。

PMDDの治療法

PMDDの治療には、おもに薬物療法と心理療法、セルフケアがあります。

薬物療法では、抗うつ薬や低用量ピルが用いられます。代表的な抗うつ薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)です。PMDDによる抑うつ気分や情緒不安定などの症状には、SSRIが有効であるとされているためです。[6]

一方、心理療法やセルフケアには、認知行動療法やライフスタイルの改善などがあります。ストレスを管理する方法を学んだり、規則正しい生活リズムを整えたりすると、症状の改善が期待できます。

専門医と相談しながら、自分に合った治療法を見つけていきましょう。PMDDは適切な治療と自己管理によって、症状を和らげることができます。

こころちゃん
こころちゃん

主治医に相談しながら、あなたに合った治療法を探すことが大切です

PMDDになりやすい人の対処法

PMDDになりやすい人が症状を和らげるために、日常生活で実践できる対処法を3つ紹介します。

それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。

睡眠時間を確保する

PMDDになりやすい人にとって、十分な睡眠時間を確保することは大切です。

質の良い睡眠は、ホルモンバランスの調整や心身のリラックスに役立ちます。[7]睡眠時間が短かったり、夜更かしをしたりする人は、規則正しい睡眠習慣を身につけましょう。

たとえば、睡眠する時には以下の点に注意してみてください。[8][9]

  • 室温を20℃前後にする
  • 湿度を40~70%に保つ
  • 毎日同じ時間に就寝・起床する
  • 布団や枕は自分に合うものを選ぶ
  • 就寝前のスマートフォン使用を控える

1日の睡眠時間は、6時間以上が推奨されています。睡眠時間が短い人は、まず6時間を確保することを目標にしてみてください。

お酒やたばこを控える

お酒やたばこの摂取を控えることは、PMDDの症状を和らげるのに効果的です。

アルコールやニコチンは、短期的にはストレス解消に効果があるように感じられます。しかし、長期的には身体に悪影響を与え、ホルモンバランスが乱れたり、ストレスに耐える力が低くなったりするのです。[2][10]

お酒を飲む機会を減らしたり、たばこを吸う代わりにガムを噛んだりするなど、少しずつ習慣を変えてみてください。健康的な手段を見つければ、PMDDのリスクを下げる可能性があります。

こころちゃん
こころちゃん

お酒以外の楽しみを見つけるのもよいでしょう

マインドフルネスをする

マインドフルネスは、PMDDの症状を和らげるのに効果的です。マインドフルネスとは、過去や未来にとらわれず、現在の瞬間に意識を集中させる状態です。

腕や足など身体の部位に注目するボディスキャンや呼吸を通じて、感情やストレスをうまくコントロールできるようになります。感情やストレスをうまく扱えるようになると、PMDDの症状を軽くできるとされているのです。[11]

たとえば、以下のようなマインドフルネスから実践してみてください。

  • 毎日5分間の瞑想をする
  • 自然の中を歩きながら五感を意識する
  • 腕や足など身体の部分に注目しながら深呼吸する

マインドフルネスを継続的に実践をしていけば、PMDDの症状を和らげることができます。

まとめ

PMDDになりやすい人には、神経質な性格、過去の精神疾患の既往歴などがあります。

PMDDは、PMSよりも症状が重く、日常生活に支障をきたしてしまいます。十分な睡眠時間を確保したり、マインドフルネスを実践したりすることなどが効果的です

PMDDで悩んでいるならひとりで抱え込まず、病院に相談をしましょう。おおかみこころのクリニックでは、オンラインでも受診ができます。自宅にいながら受診できるので、忙しくて行くのが難しい人はぜひご利用ください。

【参考文献】
[1]女子大学生における月経前不快気分障害の有病率と関連要因,横瀬宏美,鈴木正泰,金野倫子,高橋栄,石原金由,土井由利子,内山真
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/19/3/19_KJ00009903662/_pdf/-char/ja

[2]女性の飲酒のリスク|特定非営利活動法人ASK

[3]アルコールと依存|e-ヘルスネット(厚生労働省)

[4]月経前不快気分障害(PMDD)と診断しその治療中に双極Ⅱ型障害が顕在化した2症例,山西歩,岩佐弘一,大坪昌弘,佐々木綾,平杉嘉一郎,中村光佐子,岩破一博,北脇城
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/17/3/17_KJ00008635552/_pdf/-char/ja

[5]PMS,PMDDの診断と治療ー他科疾患との鑑別ー,白土なほ子
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/77/4/77_360/_pdf/-char/ja

[6]精神科からみたPMS/PMDDの病態と治療,大坪天平
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/22/3/22_258/_pdf

[7]健康づくりのための睡眠ガイド2023
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

[8]不眠症|e-ヘルスネット(厚生労働省)

[9]快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係|e-ヘルスネット(厚生労働省)

[10]たばことストレス|e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p20230111140000.pdf

[11]女子大学生におけるマインドフルネスが月経前不快気分障害(PMDD)症状に及ぼす影響―痛みに対する破局的思考を媒介として―,山口有貴子,栗林千聡,大野瑞季,佐藤寛
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jabctc/44/0/44_314/_pdf/-char/ja

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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