過呼吸をおこすと急に息が吸えなくなり、パニックになってしまうでしょう。不安や恐怖はその症状を悪化させる原因にもなります。適切な対処法を知り、万が一のときにも落ち着いて対応することが大切です。
この記事では、過呼吸がおきたときに「どのような応急処置をすればいいのか」「救急車を呼んでもいいのか」「病院に行った方がいいのか」といったさまざまな悩みを解決することができます。
過呼吸(過換気症候群)の応急処置【正しい対処法】
急に過呼吸が起きたときには、まず以下のポイントを押さえておきましょう。
意識をそらす
ふだんから過呼吸を起こしやすい方は「なんとなく過呼吸になりそうだなあ」という雰囲気を感じると思います。
そこで、まずは気をそらしリラックスしてやり過ごすようにしてみましょう。
腹式呼吸を意識する
過呼吸で息が苦しくなるのは、息を吐き切らずにすぐに吸ってしまうのが原因です。
ここで効果的なのは「腹式呼吸」です。
しっかりと息を吐けるため、息苦しさが薄れていくでしょう。また、うつぶせになると、胸で息を吸うのが難しいので、強制的に腹式呼吸になります。
ゆっくり息を吐く
過呼吸になると、息の回数が増えてしまいます。
リラックスし、呼吸を落ち着けることができれば、自然とよくなっていくことが多いです。息を吸うよりも吐くほうに意識を向け、10秒くらいかけてゆっくりと吐き出すようにしてください。
過呼吸(過換気症候群)にぺーバーバックはダメ【間違った対処法】
むかしは、過呼吸がおきたときには、小さな紙袋を口にあてて吐いた息を再び吸い込む「ペーパーバック」という方法が有効とされていました。
ただし現在では、この方法は間違った方法であることがわかっています。
当時は、自分で吐いた二酸化炭素を吸うことで「身体の中の炭酸ガス濃度を上げて症状を落ち着かせることができる」と考えられていました。
この方法で、気持ちが落ち着いてくる方が一定数いるのは事実のようですが、紙袋をあてることによる圧迫感により不安感を増すリスクがあります。
また、最悪の場合、低酸素血症を起こし死亡した例も報告されています。
過呼吸(過換気症候群)で救急車が必要な症状とは
過呼吸がおこると、その息苦しさの恐怖から「もう助からないんじゃないか」と不安に思う気持ちもわかります。
ただ、過呼吸の多くは一時的なもので、時間が経つとおさまっていきます。
基本的には「救急車が必要になることはない」と言えるでしょう。
あわてずに、記事の前半で紹介した応急処置の方法を試してみてください。
最初は息苦しさだけだった症状も、過呼吸が長時間になると酸素が届かなくなり、しびれやけいれん(テタニー)が出ることもあります。
そのまま状態がどんどん悪化し、下記のような症状が現れたときには、すぐに救急車を呼び病院にいきましょう。
・呼吸困難
・胸痛
・意識障害
過呼吸(過換気症候群)が起こる原因
いざ、過呼吸がおきたときに慌てないためにも、その原因を知っておくことは大切です。
過呼吸がおこる原因は、大きく分けて2つあります。
- 肺や心臓、脳など、さまざまな疾患が原因となっておこる「身体的」なもの
- ストレスや恐怖、不安など、「精神的」なもの
あくまで症状は一時的であることが多く、しばらくすると自然に回復するのがほとんどです。
ただし、以下のような疾患から過呼吸が起きている場合もあります。
肺炎、肺線維症、肺水腫、肺血栓塞栓症、気管支喘息、自然気胸、うっ血性心不全、低血 圧、アシドーシス、肝不全、甲状腺機能亢進症、脳炎、脳腫瘍、発熱敗血症
- はじめて過呼吸を起こした
- 何度も過呼吸をくり返す
- 上記にあてはまる持病がある
上記のような方は、まずは内科などのかかりつけ医を受診し、過呼吸の原因として身体のどこかに問題がないかを調べてみてください。
それでも原因が見つからない場合は、心がストレスなどに耐えられずSOSを出している可能性がありますので、1度当院に相談してみてください。
けど…過呼吸でクリニックって行っていいの?
こころちゃん
全然大丈夫だよ!いつでも気軽に相談してね♪
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過呼吸をくり返す人は病院に行くべきか
過呼吸そのもので命を落とす危険性はほとんどないものの、身体のどこかに病気があり、それが過呼吸の原因になっていることもあります。
あまりにも過呼吸を何度も繰り返す方は、一度全身の検査をしておくと安心です。
過呼吸は何科に行くべきか
過呼吸の症状がある方は、まず、内科や呼吸器内科を受診すべきでしょう。
過呼吸の原因となる心疾患・呼吸器疾患は多く、それらの可能性を除外することで今後の治療もしやすくなります。
まずはふだんのかかりつけ医に相談し、適切な診療科を紹介してもらうのがよいでしょう。
内科的に問題がない場合は、心療内科や精神科で精神的な原因の検査をしていくようになります。
どんな治療をするのか
過呼吸の治療法は、その原因によって異なります。身体のどこかに問題がある場合は、原因となっている病気の治療を行います。たとえば、気胸、心不全、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などがあります。
一方、精神疾患が原因となっているときは、認知行動療法や治療薬の内服を行います。まずは原因を探すために、あなたのお話を聞かせてください。必要な場合は検査などを行うこともあります。
おおかみこころのクリニックは、土日診療も行っています。予約はLINEから24時間いつでもできますので、お気軽にご相談ください。
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過呼吸は一時的な症状であることが多い|夜間でも落ち着いて対処
この記事では、過呼吸がおきたときの対処法を解説しました。
過呼吸の症状は一時的なもので、時間が経てば自然に回復していきます。まずは落ち着いて気をまぎらわせ、息を吐くことに意識をおき、症状がおさまるのを待ちましょう。
過呼吸を繰り返すときは、心臓や肺に病気がかくれていることもあります。しかし、どこを受診していいのかよく分からないときは、まず当院に気軽に相談してみてください!
おおかみこころのクリニックはいつでもあなたに寄りそいます。
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文献
一般社団法人日本呼吸器学会|過換気症候群
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/i/i-04.html
袖ケ浦市公式ホームページ|あなたもできる応急手当「過呼吸」
https://www.city.sodegaura.lg.jp/soshiki/chuo-shobo/kakokyuu.html
過換気症候群:用語解説|こころの耳(厚生労働省)
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1529/
山口陽子ら 救急車で当院へ搬送された過換気症候群 653例の臨床的検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsem/18/6/18_708/_pdf
宮沢直幹|過換気症候群 ・ 臨床的視点
https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/47/12/47_KJ00009649177/_pdf/-char/ja