強迫性障害になりやすい人の5つの特徴|原因や診断テストについても解説

強迫性障害は、頭に浮かんだ不安やこだわりが強くなって、日常生活に影響が出てしまう病気です。

自分の手が汚れていると感じて何時間も手を洗ったり、戸締まりしたのにできていないと思って何度も確認しに戻ったりなどの症状が出てしまいます。

強迫性障害の有病率は世界で見ると0.5~2%と言われていますが、どのような人がなりやすいのでしょうか。[1]

そこで今回は強迫性障害になりやすい人の特徴について解説していきます。身近に強迫性障害の人がいる場合にかける言葉も挙げていくので、信頼関係を築けるようになれれば幸いです。

強迫性障害になる原因

強迫性障害になるはっきりとした原因は分かっていません。ですが要因は一つだけではなく、環境的要因・心理的要因・生理的要因の中でいくつもの要因が関連している可能性があると示唆されています。[1]

環境的要因:いじめ、不登校、ハラスメントなど

心理的要因:性格・気質、考え方の癖など

生理的要因:遺伝、女性ホルモンの変化など

強迫性障害の人の母親は過保護的であるという研究があります。[2]

こころちゃん
こころちゃん

色々なことが関係してなるんですね。

また男性と女性で発症する時期の傾向が異なり、男性は子どもの頃、女性は20代に発症する人が多いです。[1]

女性は妊娠・出産など女性ホルモンが変化する時期に強迫性障害を発症するケースがあるため、男性よりも時期が遅いと考えられるでしょう。[1]

強迫性障害になりやすい人の5つの特徴

強迫性障害になりやすい人の特徴を5つ挙げていきます。

本人の性格や気質が要因となる可能性もあります。

それぞれ見ていきましょう。

几帳面

几帳面な人は強迫性障害になりやすいと考えられるでしょう。細かいことにも気を配れて、仕事もミスがないように確認をします。

ただ確認する回数が多くなると、「今確認したのは本当に合ってる?」と記憶に自信がなくなってきてしまいます。

強迫性障害で記憶に自信がなくなる理由について気になる人は、こちらの記事もご覧ください。

確認をしても不安になってしまい、また確認をするという悪循環になってしまいます

完璧主義

完璧主義は強迫性障害になりやすい特徴の一つです。理想が高く、失敗しないように完璧を求めてしまう性格です。

たとえば手を汚してしまったら、完璧にきれいになったと思うまで手を洗い続けるでしょう。

また完璧主義の人は自分だけでなく、他人にも厳しくする傾向があります。他人にも完璧を求めてしまうため、家族や友人などにも手洗いを強要させるかもしれません。

このような巻き込みは、症状を悪化させる可能性があるので注意してください。

こころちゃん
こころちゃん

周りの人との人間関係にも影響しちゃいそうですね💦

こだわりが強い

こだわりが強いことは、強迫性障害になりやすい特徴として挙げられます。自分のルールを確立しているので、ルール通りにならないと気が済みません。

思い通りにならないと不安になってしまい、臨機応変に対応できなくなるでしょう。

強迫性障害には、数字や物の配置などにこだわる症状があります。

たとえば数字には良い数字・悪い数字があると思い込んでいて、悪い数字を避けてしまいます。[1]

こだわりが強すぎるあまり、学校や職場で孤立してしまうことが懸念されるでしょう。

融通がきかない

融通がきかない人は、強迫性障害になりやすいと考えられるでしょう。頭が固く、自分が正しいと思ってしまう特徴があります。

たとえば駅の階段を下りていたときに、誰にもぶつかっていないのに、ぶつかったのではないかと不安になる強迫観念が起こってしまいます。

頭に浮かぶ考えを客観的に見れないため、融通がきかないことも強迫性障害になりやすい特徴の一つと言えます。

責任感がある

強迫性障害になりやすい特徴として、責任感があることも挙げられます。

責任感がある人は自分の信念を持っていますが、ときにはその信念が自分を追い込んでしまうときもあります。

たとえば仕事のときに作成した発注書にミスはないかという強迫観念が浮かんだら、「これで大丈夫」と思えるまで何回も確認してしまうでしょう。

責任感がある人は最後までやり抜く力がありますが、無理をしてしまうため、他人に頼る力も身に付けてくださいね。

強迫性障害の診断テスト

日本うつ病センターでは、簡易的なチェックテストがあります。[3]

自分や周囲の人が強迫性障害の可能性があるか、チェックしていきましょう。

A 何度も頭に浮かぶ考えに悩まされている

✔ 自分やまわりの人が不潔ではないか
✔ 取り返しのつかないことをしてしまわないか 
✔ 本心ではない考えが浮かんで、罰があたらないか
✔ 不吉な想像を思い浮かべ、それが現実になってしまわないか

B 何度も繰り返したり、特別な方法でやらないと気が済まない行動がある

✔ 戸締りやガスの元栓など何回も確かめる
✔ 手洗いや入浴に特別なこだわりがある
✔ 自分で決めたルールに従って行動しなければならない
✔ 気が済むまで数えたり、触ったりして確認している

C A・Bのどちらか、もしくは両方が当てはまる人はチェックしましょう

✔ こだわるのをやめたくても、やめられない
✔ 思い浮かんだ考えが不快であり、正しいという確信はない
✔ あくまでも自分の考えや行動であり、他人の支配によるものとは思っていない
✔ 自分の考えや行動のせいで、日常生活や仕事に影響が出ている

これらのA・C、B・Cの2つ、もしくはA・B・Cの3つに当てはまる場合は強迫性障害の可能性があります。

病院などの専門機関に相談するのを検討してみてください。

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強迫性障害の人にかける言葉3選

家族や友人などで強迫性障害の人がいるときは、以下の3つの言葉をかけるといいです。

自分は味方であると相手に伝えることが大切です。

一つずつ見ていきましょう。

こころちゃん
こころちゃん

やさしく穏やかな声かけが多いです♪

「ゆっくり治療に取り組もうね」

強迫性障害の治療では、焦らずにじっくりと取り組むことが大切です。

早く治ってほしいと声をかけるのは、相手のプレッシャーになってしまいます。

「ゆっくり進めていこうね」「一歩一歩取り組もうね」と、自分のペースでいいと伝えましょう。

相手が焦らずに治療に取り組めるように、支えてあげてくださいね。

「前より良くなってるね」

以前よりも良くなったなと感じる点があったら、伝えてあげましょう

本人は自覚していない場合もあるため、頑張った結果が分かるとモチベーションになります

ただし「次はもっとがんばろう」とハードルを上げるのは、焦らせる原因になるので控えてください。

「確認する回数が減った」「必要以上に手を洗わなくなった」など、強迫行為の頻度が減ったときに伝えられるといいでしょう。

「疲れていないか心配だよ」

強迫性障害の人の中には、本当はやりたくないのにやらざるを得ない違和感や、どこか過剰であるという不合理感を持っています。[1]

やめたくてもやめられないので、精神的に疲れきってしまうのです。

本人の辛さや苦しみに少しでも共感するようにしましょう

症状の辛さに共感したり、理解を示したりすることで、強迫性障害の人が相談しやすい環境をつくることができます。

まとめ

今回は強迫性障害になりやすい人の特徴、身近な強迫性障害の人にかける言葉について解説しました。

強迫性障害になる要因は一つではなく、さまざまな要因が関連している可能性があります。几帳面や完璧主義などの気質も、要因の一つとして考えられるでしょう。

もし身近に強迫性障害の人がいたら、以前よりもできるようになったことを伝えて、症状の辛さに共感してくださいね

紹介した診断テストで強迫性障害の可能性がある方は、医療機関に相談に来るのをおすすめします。

おおかみこころのクリニックでは、電話・LINEのどちらからも予約できるのでお気軽にお越しください。

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参考文献

[1]こころのクスリBOOKS よくわかる強迫症
https://amzn.asia/d/i6fFj68

[2]Obsessive-Compulsive Disorder: a Questionnaire Survey of a Self-Help Group – R. Julian Hafner, 1988
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/002076408803400409

[3]強迫性障害 セルフチェック 強迫性障害の傾向があるかどうかの簡易チェックです。|JDC – Japan Depression Center
https://www.jcptd.jp/contents/contents/detail/27?categoryId=19

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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