「産後うつはどうしたら治るの?治るきっかけが知りたい」
このような悩みを抱えている方はいらっしゃいませんか?
出産後に母親がかかりやすいうつ病を、「産後うつ」といいます。産後うつを発症すると、いつまでこの症状が続くのか不安になるものです。
この記事を読めば、産後うつを乗り越えるポイントや効果的な治療法がわかります。自分自身の健康と家族のために、産後うつを克服するきっかけが見つかれば幸いです。
この記事の内容
産後うつへの理解と家族の対応がカギ
産後うつを乗り越えるためには、本人と家族が産後うつを正しく理解し、受け入れることが大切です。
産後うつは深刻な病気であり、一番近くにいる家族のサポートが必要不可欠なのです。
家族が協力し合い、産後うつの母親自身の治療ができる環境を整えましょう。
産後うつを乗り越えるに夫のサポートが必要
産後うつを乗り越えるには、夫のサポートがとくに大切です。
産後うつの原因はさまざまですが、慣れない育児や家事の負担が大きいことも要因のひとつといわれています。
産後うつの母親の負担を軽減するため、夫に積極的なサポートをお願いしましょう。
夫ができるサポートとして、以下の2つを参考にしてみてください。
- 身体的なサポート
- 精神的なサポート
たとえば、身体的なサポートとは、育児への積極的な参加と、家事の分担です。
育児は予測不可能なことも多いため、親は多くのエネルギーを使います。「育児は夫婦で行うもの」という意識をもち、ひとりに負担が集中しないような工夫が必要です。
夫婦で協力して家事育児をすれば、夫婦お互いに休息を取る時間も確保できるでしょう。
夫の精神的なサポートは、産後うつの母親の大きなこころの支えとなります。
夫婦でコミュニケーションをとる時間をつくり、ささいなことでもいいので夫に自分の話を聞いてもらいましょう。
産後うつの母親にとって誰かに自分の話を聞いてもらうことは、「ひとりではない」という安心感につながります。夫の積極的なサポートは、産後うつからの回復をうながす大きな力となるでしょう。
産後うつの原因が夫の場合もあるのです。気になる方は下記の記事もご覧ください。
産後うつは離婚の原因になり得る
産後うつは、夫婦関係を悪化させる原因にもなります。
実際に、産後うつをきっかけに離婚してしまうケースも少なくありません。
産後うつに苦しむ母親は、無気力やイライラといった症状をかかえています。
産後うつの症状は長期にわたって続くため、徐々に夫婦仲が悪くなったり、すれ違いが起こったりして、離婚につながるケースがあるのです。
産後うつにより精神的に不安定なときは、冷静な判断ができません。このような状態で離婚を決断すべきではなく、まずは産後うつを克服することを優先しましょう。
夫婦の悩みに関して、専門家のカウンセリングを受けることもおすすめです。
産後うつによる離婚を回避したいなら、お互いの悩みや想いを受け止め、共感することで夫婦関係を修復できる可能性があります。
必要に応じて第三者からの支援を受けながら、夫婦間で問題を解決していきましょう。
産後うつと向き合うための相談窓口
産後うつを乗り越えるためには、周りのサポートが欠かせません。しかし、家族だけではどうにもならないこともあるでしょう。
行政や精神科、心療内科といった専門機関では、産後うつの相談を受け付けています。「産後うつかも?」と思ったら、早めに専門機関へ相談しましょう。
ここからは、行政と専門機関で受けられるサポートについて解説します。
行政から受けられるサポート
多くの自治体では、産後うつの予防や早期発見を目的として、さまざまな取り組みをおこなっています。たとえば、新生児訪問や赤ちゃん健診、産後うつのスクリーニングや保健師による相談は行政のサポートのひとつです。
このような取り組みは、必要があれば適切な支援につなげられるよう、専門機関と連携しておこなわれています。とくに支援が必要と判断されれば、産後ケア事業といったより踏み込んだ支援を受けることも可能です。
また、地域の保健センターや子育て支援センターでは、同じ年代の親たちの交流を通じて、育児の不安や孤独感を軽減できる支援を提供しています。
このような行政の支援を活用すれば、産後うつを克服するきっかけとなるでしょう。
専門病院で受けられるサポート
「産後うつかも?」と思ったら、精神科や心療内科を受診しましょう。
産後うつは、放置すると重症化や再発を繰り返します。専門家のもとで、適切な治療を受けることが大切です。
病院では産後うつに対して、本人や家族のカウンセリング、薬剤による治療がおこなわれます。専門医の指導のもとで、症状にあった適切な治療を受ければ、産後うつを乗り越えられるでしょう。
産後うつの乗り越え方【効果的な治療方法とは】
産後うつは病気であり、専門病院で本人の意思を尊重しながら治療を受けることが大切です。
産後うつに対する治療方法は3つあります。
症状や状況に応じて、これらの治療を組み合わせることで、より効果的な治療が可能です。それぞれの治療法について、詳しくみてみましょう。
負担を減らすための環境調整
産後うつの治療法のひとつとして、家事や育児の負担を減らし、こころの健康を維持するための環境調整がおこなわれます。
本人や家族に対して現在の状況をヒアリングし、母親の負担を軽減できる方法を専門家と一緒に考えます。
環境調整において重視するポイントをおさえておきましょう。
- 負担を減らすこと
- 休息する時間を確保すること
- いつでも相談できる環境をつくること
環境調整ではこの3つのポイントをおさえて、母親のストレスを減らせるように手助けをします。
カウンセリングによる心理療法
産後うつに対しては、認知行動療法や対人関係療法といった心理療法が効果的といわれています。
心理療法では専門家とのカウンセリングを通して、自分の考えや行動を客観的に見つめなおし、問題や課題の解決につなげます。
そして、具体的な目標を立て、その目標に向かって行動することで、徐々にポジティブな感情を持てるようにすることが心理療法の目的です。
抗うつ薬を用いた薬剤療法
産後うつと診断された場合、症状によっては薬剤による治療がおこなわれます。
うつ症状を軽減する効果がある「抗うつ薬」は、産後うつに対する治療で使われることも多い薬です。
産後に薬を服用すると、授乳への影響を心配する方もいるでしょう。
薬剤療法は専門医と相談しながら、本人が納得したうえで治療をすすめていく必要があります。不安な点は、専門医に聞いてみてくださいね。
産後うつの治療では、薬剤療法と心理的なアプローチの両方が大切です。
症状や状況に応じて専門家と相談し、最適な治療方法を選べば、産後うつの症状も徐々に回復していくでしょう。
まとめ
産後うつを乗り越えるためには、家族の理解とサポートが大切です。そして、ともに育児を担う夫の協力は必要不可欠なのです。
産後うつの症状に気づいたら、ひとりで抱え込まず、まずは家族や周囲の人に相談しましょう。産後うつを家族や周りが正しく理解し、早めに専門家による治療につなげることが、産後うつを乗り越える第一歩となります。
参考
厚生労働省|母子保健指導者養成研修|研修3.妊産婦のメンタルヘルスケアと「産後ケア事業」に関する研修
参考サイト
産後うつで離婚する前に
https://www.dun-laoghaire.com/utsu/postpartum-depression/ (2023-07-20 閲覧).
パパ必読! 妻を産後うつから守るためにしてほしい4つのこと【専門家医】
https://st.benesse.ne.jp/ninshin/content/?id=94936 (2023-07-20 閲覧).
北九州市 いのちとこころの情報サイト|産後のこころについて
http://www.ktq-kokoro.jp/lecture/1650 (2023-07-20 閲覧).
- この記事の執筆者
- 原田瑞季
臨床検査技師。保健学修士。在宅で医療検査の業務に関わりながら、フリーライターとして医療を中心に幅広いジャンルで執筆中。