傷病手当金について①

傷病手当金とは

心身の不調により、会社を休むことを余儀なくされる方は少なくありません。しかしながら実際に休職するとなると、収入や生活について不安を感じるかと思います。

そういった方が金銭的なサポートを受ける健康保険の制度として「傷病手当金」というものがあります。今回は、その傷病手当金について説明を行います。

傷病手当金の詳細

傷病手当金とは、心身の不調(病気や怪我)などで仕事を休む(休職)必要があり、休職期間中に給与が得られない場合に、公的医療保険(健康保険)から支払われるお金です。

※会社から支払われるわけではありません

※傷病手当金を設けていない公的医療保険も存在します

 

勤続年数や公的医療保険の種類により給付金額は変わりますが、概ね給与額の3分の2を目安に支給が行われます。

傷病手当金の条件について

前述したとおり、傷病手当金は休職している患者様の金銭的な支えになる制度ですが、支給にはいくつかの条件があります

【傷病手当金支給条件】

①業務外の事由による病気や怪我の療養のための休業であること

通勤中及び業務中の傷病(これは労災に相当します)、業務外ではあるが病気、怪我に該当しないものは対象外となります

 

②就労不能であること

前述した病気や怪我により、就労ができないことが条件になります。就労不能という判断は支給を受ける本人(患者様)の仕事内容や診断書作成医師の意見をもとに決定されます。

 

③連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

傷病手当金は休職初日から支給が受けられるわけではありません。支給開始日は休職の4日目からとなります。それまでの3日間は待機期間と呼ばれており、待機期間中は仕事を休んだ日(欠勤、有給休暇、公休などを含む)が3日間連続している必要があります。

例えば、2日間休んで1日出勤した場合にはカウントがリセットされてしまい、再度3日間の待機期間を経てから支給開始となります。

(下図参照、引用元:全国健康保険協会 協会けんぽHP  https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139/)

④休業期間の給与の支払いがないこと

業務外の事由による病気や怪我で休業している期間について生活保障を行う制度のため、
給与が支払われている間は、傷病手当金は支給されません。ただし、給与の支払いがあっても、傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます。

退職後の傷病手当金について

傷病手当金は、退職後も支給条件を満たし支給期間内であれば、受給することができます。ただし、前述した条件以外に2つの追加条件(下記)を満たす必要があります。

① 資格喪失の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間(国民保険、共済組合、健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること

仮に、転職や転勤で保険加入先の変更がある場合でも、切り替え時に加入期間の空白が1日もなければ合算して被保険者期間とすることが可能です。

 

② 資格喪失時(退職日の翌日)に傷病手当金の支給を受けている、または条件を満たしていること

注意事項として退職日に引き継ぎや片付けなどを目的とし「出勤」を行ってしまうと、前述した待機期間の支給条件を満たさなくなり、退職後の傷病手当金の給付が受けられなくなってしまう可能性があります。そのため、休職期間中に退職をし、退職後も傷病手当金の支給を検討している方は要注意です。

傷病手当金の支給期間について

傷病手当を同一の傷病名で受給できる期間は、支給開始日から通算して1年6か月までとなります。一度出勤した期間になどがある場合は、その期間は1年6カ月には含まれません。

※参考図(下図参照、引用元:全国健康保険協会 協会けんぽHP  https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139/

まとめ

今回のコラムでは、傷病手当金の制度や受給条件などについて概説させていただきました。

次回のコラムでは具体的な申請方法や、申請時の注意事項などについて説明を行います。

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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