【12時間睡眠でもまだ眠い】どれだけ寝ても眠いのはうつの前兆かも




「どれだけ寝ても眠たい」という状態が続き「仕事の効率が下がってきた」「やる気が出ない」など仕事や日常生活に影響が出ていませんか?

「十分な睡眠時間が取れているはずなのに眠たい」と困るほどの強い眠気であれば、うつ病の可能性があります。

この記事では「うつ病と過眠の関係性」「過眠の診断基準と病院受診の目安」について解説します。ぜひ参考にしてくださいね。

12時間睡眠で「まだ眠い」はうつ病の可能性

12時間睡眠で「まだ眠い」はうつ病の可能性

前日に睡眠時間が十分取れていなければ、ひどく眠気を感じることもあるでしょう。しかし、十分眠っているにもかかわらず強い眠気があるのならば、何らかの病気が隠れている可能性があります。うつ病もそのひとつです。

過眠とは

「過眠」とは、夜間十分な睡眠をとっているはずなのに、日中に起きていられないほどの強い眠気を感じることです。健康な人でも睡眠不足が続けば、日中に眠くなることはあります。しかし、その多くは十分な睡眠をとることで自然に眠気がやわらぐはずです。しっかりと睡眠時間を確保していても「耐えられないほどの睡魔に襲われる」「考えられない状況で居眠りをしてしまう」のであれば、病的な眠気だと考えられます。

うつ病でも「過眠」の症状は起こる

一般的なうつ病の症状に「不眠」があります。また逆に「過眠」もよくある症状のひとつです。

とくに秋から冬にかけて気分の落ち込みや抑うつがあらわれる「冬季うつ」を持つ方は過眠に悩むことが多いとされています。

12時間睡眠(睡眠過多)とうつ病の関係

12時間睡眠(睡眠過多)とうつ病の関係

うつ病になると過眠の症状が出る原因に以下の2つがあります。

・うつ病の症状
・うつ病治療薬

それぞれの違いを説明します。

① うつ病の症状が原因

「うつ病の症状」が原因で過眠が起こるときは、大きく2つのパターンに分かれます。

「ストレス」から身を守るための逃避

人は過度のストレスがかかると「その場から逃れたい」という欲求を感じます。「寝逃げ」とも言われ、防衛本能が働いているのです。寝逃げには、脳を休ませてストレスを和らげる働きがあります。

セロトニン不足により睡眠が浅くなる

セロトニンには、気持ちを安定させ睡眠の質を保つ働きがあります。人間が不安やストレスを感じると、セロトニンの分泌が減少し睡眠の質が低下します。睡眠が浅く寝不足になることから、日中も眠気を感じるのです。

また、冬季は日照時間が短くなり光を浴びる量が減少します。その結果、脳内で合成されるセロトニンの量が減少し、うつ病を発症しやすくなると考えられています。

② うつ病治療薬が原因

うつ病治療薬の副作用のひとつに「眠気」があります。また、うつ病の不眠症状に対する睡眠導入剤が眠気を促進している可能性もあります。

いずれの場合も「眠気が強いから」と自己判断で内服を中断せず、必ず主治医に相談してくださいね。

過眠症の診断基準と病院受診の目安

過眠症の診断基準と病院受診の目安

睡眠時間が長いからといって、必ずしも病院に行く必要があるとは限りません。ここでは病院受診の目安や何科を受診すべきかを紹介します。

過眠症の診断基準

過眠症は以下の項目を総合的に判断して診断されます。

  1. 医師による問診(いつから症状があるか、どのような眠気があるか、内服薬など)
  2. 睡眠の記録
  3. 反復睡眠潜時検査(MLST)※

もし過眠に悩んでいるのであれば、睡眠の状況などを記録しておくと受診時の説明がスムーズになりますよ。

※過眠に関連する病気(ナルコレプシー、特発性過眠症など)を評価するために行う検査。眠気を客観的に数値化することができる。

病院受診の目安

「一日中気分が落ち込んでいる」「何事も楽しめない」などの状態が2週間以上続くとうつ病と診断されます。2週間以上、過眠の症状が続く場合を受診の目安としてください。

ただし過眠の症状により、すでに生活に支障が出ているのであれば、すぐに病院受診することをおすすめします。

精神科や心療内科を受診しよう

「どれだけ寝ても眠たい」状況が続く背景に、強いストレスやつらい出来事があれば、精神科や心療内科を受診しましょう。

軽度のうつ病では身体面の症状の方が強く出ることがあります。さまざまな検査をしても過眠の原因が分からなければ「とくに精神的ストレスが思い浮かばない」と思っていても、精神科や心療内科へ相談してみてくださいね。

もし「とくに精神的ストレスが思い浮かばない」と思っても、うつ病の可能性があることも

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12時間睡眠うつ

ここからは、過眠とうつ病に関するよくある質問に3つお答えします。

Q1. 休日に16時間寝てしまうのはうつ確定ですか?

「休日に16時間寝てしまう」ということだけで、うつ病だと断定することは難しいです。

「休日」のみ寝すぎてしまうのであれば、平日に睡眠時間が足りていないことも考えられます。また、過眠の症状が起こる病気は、ナルコレプシーや特発性過眠症などうつ病以外にもさまざまです。

16時間寝てしまうことに悩んでおり、日常生活や仕事に影響が出ているのであれば一度病院受診を検討してみてくださいね。

Q2. うつ病は寝ると治るって本当ですか?

うつ病改善のために、十分な睡眠をとり心身を休めることは重要です。しかし、うつ病の症状は不眠や過眠以外にもさまざまで「寝れば治る」というものではありません。また、うつ病は治療に時間がかかる病気なので、早期発見・早期治療が大切です。そのため「うつ病かもしれない」と感じているのであれば、きちんと病院受診をしてください。適切な治療を行うことで回復も早くなりますよ。

Q3. うつ病と就寝時間は関係ありますか?

うつ病と睡眠には深い関係があります。うつ病の約9割の人に不眠症状が現れており、不眠の症状がある人はうつ病にかかりやすいことも分かってきました。

そのため、就寝時間が遅くなり十分な睡眠時間が取れないと、うつ病になるリスクが高まります。うつ病を発症しなくても寝不足が続けば「頭がぼーっとする」「集中できない」など仕事や日常生活に影響も出てくるでしょう。

不眠の症状は「なかなか寝つけない」「途中で目が覚める」「早朝に目が覚める」などさまざまです。うつ病を予防するためには睡眠時間を確保するだけでなく、「睡眠の質を向上させる」ということも忘れてはいけません。

参考:健康づくりのための睡眠指針 2014

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

まとめ

「うつ病になると不眠に陥る」と思われがちですが「過眠」の症状も現れます。「ただの寝不足だろう」「まとめて寝れば大丈夫」と過信せずに「何か病気が隠れているサインかもしれない」ということも考えてみて下さいね。

気になる症状がある場合は、ひとりで考えこまずにいつでもご相談ください。おおかみこころのクリニックは、いつでもあなたの味方です。

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参考文献

過眠 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

中枢性過眠症 | 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部 (ncnp.go.jp)

昼間の眠気 -睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーなどの過眠症は治療が必要 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

体の不調はうつ病でも現れます。かかりつけ医へ相談してみましょう | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

過眠症について | メディカルノート (medicalnote.jp)

この記事の執筆者
なのか
医療・健康ライター。保健師として11年勤務。安心感を届けられるような記事を執筆します。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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