適応障害の人にかける言葉3選|かけてはいけない言葉や支援のコツも




職場の同僚が適応障害って診断されたみたいなんだけど…どう付き合っていけばいいのか悩んじゃうな…

浅田先生
浅田先生

適応障害と診断された方との関わり方のポイントについて解説しましょう!

適応障害とは、ストレスによって心身の健康バランスが崩れ、不調をきたす精神疾患です。症状が長く続くことで、日常生活や社会活動に支障をきたす可能性があるため、家族や周囲の人々のサポートが必要となります。

しかし関わり方や声かけを間違えると、本人が過度なプレッシャーや負担を感じてしまうおそれがあります。それによって症状の悪化や長期化を招いてしまうことも。

そこで本記事では、適応障害の人にかける言葉や、接し方のポイントを解説します。

「身近に適応障害の方がいるが、どのように支援したらよいかわからない」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

適応障害とは【かける言葉に注意が必要】

適応障害の方との関わり方について考える前に、「適応障害」とはどのような精神疾患かを正しく理解することが大切です。

こころちゃん
こころちゃん

この章では、適応障害の基本知識について解説します。

適応障害の特徴と主な症状

適応障害の症状は、心理的(情緒的)と身体的症状に大きく分けられます。原因のストレスや出来事から解放されると症状は落ち着き、改善に向かうことが多いとされています

適応障害の方に見られる症状は、以下の通りです。

心理的症状
・不安
・抑うつ
・無気力
・思考力や集中力の低下
・悲壮感
・イライラ
・不安感や焦り
・緊張
・混乱
身体的症状
・全身のだるさ
・不眠
・勝手に涙が出る
・食欲不振
・動悸
・過呼吸
・頭痛
・肩こり
・腹痛
・発汗
・めまい
・手の震え

上記の症状は人によって程度が異なり、心理的・身体的症状が同時にあらわれるケースも少なくありません。

これらの症状が続くことで、学校・仕事の無断欠勤や遅刻が増えたり、仕事のパフォーマンスが低下したりといった普段とは異なる行動が見られるようになります。

結果的に、日常生活や社会活動がうまくいかず、周囲に迷惑をかけてしまうおそれもあります。

適応障害を持つ方が仕事を続けることについて、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

適応障害の治し方

適応障害の原因ははっきりとしており、対象の状況や物事にうまく対処できずストレスによる負担が大きくなると発症するとされています。そのため、ストレス要因から離れることが一番の治療法といわれています。

適応障害の治療法は、主に以下の3つです。

・休養と環境調整

・精神療法

・薬物療法

まずはストレス要因から離れるために、学校や仕事を休み、十分な休養を取ることが大切です。

そして再発しないために、社会復帰に向けて環境を整えます。

しかし、休養中に症状の改善が見られない場合には、カウンセリングにて精神療法を受けたり、症状を緩和させたりする薬物療法が選択されることもあります。適応障害の方が治療を続け、のちに社会復帰するには、周囲の協力が必要不可欠です。

24時間予約受付中

適応障害の人にかける言葉3選【いつでも力になれるというスタンスで】

適応障害の症状は日常生活のみならず、社会活動や人間関係に影響を与える可能性があり、周囲が先に異変に気づくパターンも多いとされています

このような状況では、周囲のサポートが重要となりますが、間違った声かけや関わり方をしてしまうと、逆効果につながるおそれがあるため注意が必要です。

この章では、適応障害の人にかけるとよいとされている言葉をご紹介します。

「心配せずにゆっくり休んでいいよ」

適応障害の方は、自分で不調に気づかず無理している可能性があります。周りが異変に気づき、休んだほうがよいと判断した場合には、休養を勧めましょう。

適応障害から回復するには、ストレス要因から離れることがもっとも効果的とされています。仮に仕事が原因であれば、仕事量や環境を調整したり、一度仕事を休んだりするのが有効です。

しかし適応障害の方のなかには、休むこと自体に不安を抱く方もいます。そのため、「心配せずに休んでよい」と伝え、安心して休んでもらうことが大切です。

「困ったことがあればいつでも聞くよ」

適応障害は、ストレス要因となる問題を解決することが有効ですが、周囲があれこれ詮索してしまうと、本人の負担になりかねません。

話を傾聴することは、本人の頭のなかが整理され、原因の問題解決に向き合うためとても大切なことですが、本人のペースに合わせる必要があります本人が話したくないと思っているうちは無理に話を聞きだしたり、干渉しすぎたりすることがないよう「困ったことがあればいつでも聞くよ」と伝えましょう。

「何かあればできる限りサポートするよ」

本人の症状が落ち着き、学校や仕事への社会復帰を目指せる状態になったら、周囲が協力しながらサポートしてあげましょう。社会復帰後の再発を予防するには、原因となった問題をしっかりと解決する必要があります。

また、精神療法や薬物療法などの治療を続けている可能性も考えられるため、無理のない範囲で活動できるよう環境を整えてあげましょう。

「何かあればできる限りサポートするよ」といい、いつでも力になれることを伝えておくことがポイントです。適度な距離感を保ちつつ、温かく見守ってあげることで本人に安心感を与えられるでしょう。

適応障害の人にかけてはいけない言葉【逆効果になることも】

反対に、適応障害の方にはかけるべきではない言葉があります。寄り添うつもりが、逆に本人の負担になってしまう可能性があるため、かける言葉には十分に注意しましょう。

  • 頑張って
  • サポートしているほうも大変なの
  • 気持ちの問題だよ、大丈夫
  • もっと大変な人もいるから
  • 今まで通りよろしく頼むね
  • 早く元気になってね

復帰を期待するあまり、過度な励ましや今後のことについて話すことは、本人の焦りや不安を引き起こす原因となります。

さらに、原因となるストレス要因や症状は人によって異なり、苦しみやつらさの感じ方は本人にしかわかりません。「気持ちの問題だよ」「甘えじゃない?」など、本人の気持ちを尊重しない声かけは、自責の念を生むおそれがあるため、避けましょう。

適応障害の人にかける言葉で大切なこと【本人のペースで支援しよう】

適応障害の方との関わり方を考えるうえで大切なことは、本人のペースに合わせて支援することです。そのためには、まず適応障害について正しく理解することが大切です。

周りが一方的に行動を指示したり、社会復帰後の生活について話したりすると、本人はプレッシャーを感じ、症状の悪化や長期化の原因になりかねません。本人の希望に沿う形でサポートできるよう、関わり方を考えましょう。

また一度症状が落ち着いても、再発するリスクはゼロではありません。今まで通りの生活や仕事を押しつけることで再発のリスクが高まるだけでなく、本人の焦りを助長させることにつながります。

本人と今後について話し合ったうえで、段階的に社会復帰を目指せるよう支援しましょう。

適応障害の症状が続く場合の対処法【受診のタイミングは?】

適応障害の方の症状が続く場合や、明らかに日常生活や社会活動に支障をきたしている場合には、精神科や心療内科などの医療機関を受診するよう勧めてみましょう。

自分では不調に気づいていないケースもあるため、受診のタイミングが遅れてしまうケースもあります。

適応障害では、早期発見と早期治療が回復への近道です。不調を我慢し続けると、症状の悪化や長期化につながり、最悪の場合「うつ病」を発症するおそれがあります。周りが受診へのきっかけを作ってあげることが大切でしょう。

24時間予約受付中

適応障害の人にかける言葉には配慮が必要

適応障害の方にかける言葉や関わり方には、配慮が必要です。そのためには、まず適応障害とはどのような疾患なのかを正しく理解しましょう。

そして、本人のペースに合わせて環境調整や社会復帰に向けた支援をおこなうことが大切です。適応障害の方と関わる機会がある場合には、まず本人がどうしたいかを確認して、希望に沿う形でサポート内容を考えましょう。

また、回復までにかかる期間には個人差が見られます。焦らせるような言葉や不安をあおるような声かけは避け、温かく見守る姿勢で接するようにしましょう。

24時間予約受付中

参考文献

適応障害|e-ヘルスネット(厚生労働省)

適応障害/統合失調症|厚生労働省

https://kenkoukyouikusidousyakousyuukai.com/img/file214.pdf

ご家族にできること|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト(厚生労働省)

https://kokoro.mhlw.go.jp/families/

適応障害-学生のためのセルフケア こころとカラダの健康編5|九州大学 キャンパスライフ・健康支援センター

https://www.chc.kyushu-u.ac.jp/~webpage/publication/img/2-05.pdf

「家族が『うつ』になったら・・・~あせらず見守るために大切なこと~」医療法人 渡辺クリニック院長 渡辺 洋一郎|大阪市

https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000253998.html

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




関連記事一覧

予約方法