【シーン別】自己愛性人格障害の口癖|親の口癖や関係性別の対応法も解説




自己愛性パーソナリティ障害の人に口癖はある?

浅田先生
浅田先生

この病気の特徴的な言動について解説するね!

・自分の有能さを必要以上にアピールする
・間違いを指摘すると感情を爆発させる

周囲にこのような人はいませんか?

上記は自己愛性パーソナリティ障害の症状です。

この病気を持つ方は自尊心を守ることを最優先に行動するため、周囲には「自信過剰でうぬぼれが強い人」という印象を与えます

その言動に違和感を持ち、関わり方に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、自己愛性パーソナリティ障害の口癖について解説します。

関係性別の対応方法についても解説するので、ぜひ最後まで目を通してくださいね。

以下の記事でも自己愛性パーソナリティ障害について解説しているため、ぜひこちらも参考にしてください。

【シーン別】自己愛性人格障害の口癖

自己愛性パーソナリティ障害の方は、以下のようなシーンで特徴的な言動を取ります。

ひとつずつ解説します。

有能さを誇示するとき

自己愛性パーソナリティ障害の方は、成功や権力者とのつながりを必要以上にアピールします。

この病気の人間関係は「見下す」か「見下される」かの2択のため、見下されないように自らを高いステージに置こうとするのです。

具体的には以下のような言葉が使われるでしょう。

「自分のおかげで〜できた」

「芸能人や社長と飲んだことがある」

「自分はみんなと違う」

自分に自信がなく自己判断ができないため、出身大学や年収、ブランド物などで自分のステータスをアピールすることもあります。

怒るとき

思い通りの状況にならないと感情を爆発させる傾向があります。

失敗したり相手が思い通りに動かなかったりすると、自尊心が傷つくため自己防衛として周囲を攻撃するのです。

以下のような激しい言葉を使って相手を攻撃するでしょう。

「こんなこともできないのか」

「無能、クズ」

「もっとちゃんとしろ」

ときには暴力に発展し、パワハラやDVなどの対人トラブルに至ることもあります。

落ち込むとき

失敗に直面したり人間関係で孤立したりすると、立ち直れないほど落ち込みます。

理想の自分とのギャップに苦しみ、軌道修正ができなくなるのです。

「自分ばかりがこんな目にあう」

「すべて〇〇のせい」

「死んだほうがマシ」

これらの言葉を使い、抑うつ状態や食欲不振、不眠などの精神症状を呈することもあります

現実から逃避するとき

自尊心を守るために、現実から逃避する様子も見られます。

自己愛性パーソナリティ障害の方は「失敗するならやらない方がよい」と考えるため、以下のような言葉を使って自信のなさから目をそむけるでしょう。

「そんなことやる意味がない」

「できるけどやらないだけ」

「自分はこれをやる人間ではない」

相手をさげすんだり無関心を装ったりするなど、あらゆる方法を使って現実から逃避し自分を守ろうとします。

自己愛性人格障害のチェックリスト

自己愛性パーソナリティ障害の方は、感情のコントロールが難しく高圧的な言動が見られます。

本当の自分に自信がないため、弱みに触れられると大きく動揺してしまうのです。

以下のような特性があげられます。

✔他人を信用できない

✔ 自分を好きになれない

✔ 常に勝ち負けを考えてしまう

✔ 「自分が自分以上でなければいけない」という強い思いがある

✔ 他人の成功に嫉妬や羨望の感情を持つ

✔ 自分の特別さを示したがる

✔ 思い通りにならないと努力をやめる

✔ 挫折に弱くなかなか立ち直れない

✔ 叱責や批判を極度に恐れる

✔ 自分がどう見られているかが気になる

✔ 自分が称賛されているイメージに酔いしれる

自己愛性パーソナリティ障害の方は「生きるには条件が必要」という思いから、完璧な自分を演出しようとします。

この病気は「自己を愛する病」と思われがちですが、正しくは等身大の「自己を愛せない病」といえます。

【自己愛性人格障害の原因】親の口癖5選

自己愛性パーソナリティ障害の原因のひとつに、養育者(主に母親)に無条件に愛された経験の不足があります。

その結果「理想の自分」と「取り柄のない自分」という両極端なイメージしか持てず、「等身大の自分」が欠如します。

以下のような親の言葉が影響するでしょう。

「1番になったら〜あげる」

「頑張らない子は嫌い」

「もっとできるはず」

「世間に恥ずかしくない人になれ」

「全部あなたのため」

このような言葉を聞いた子どもは「愛されるには条件が必要だ」と考えるようになり、できる結果を示すことで親の関心を引くようになります

その他にも、結果主義の競争社会やSNSでの注目などの社会的背景も自己愛性パーソナリティ障害の原因になります。

【関係性別】自己愛性人格障害への対応方法

自己愛性パーソナリティ障害の方への対応は、本人との関係性によって異なります。

今回は以下の3パターンについて解説します。

ひとつずつみていきましょう。

パートナー

パートナーや配偶者が自己愛性パーソナリティ障害の場合は、相手の自尊心を守る対応を心がけましょう。

本人の要求にある程度応じ、理解と共感を示してください。

以下のような対応は避けましょう。

  • 頭ごなしに否定する
  • 無視したり見下したりする
  • 自尊心が傷つくことを言う

対応の注意点としては「わかったつもり」にならないことです。

「あなたの気持ちを分かろうとしている」という態度で接することで、信頼関係が築かれていきます。

DVや浮気、モラハラなどのトラブルがある場合は、すぐに医療機関や公的機関(男女共同参画局)に相談しましょう。

パートナーのことで悩んでいるときも、クリニックに相談に来ていただいて大丈夫です。「家庭内の事だから…」と、ひとりで抱え込まずに、まずは相談することから始めてみましょう。

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親族

家族に自己愛性パーソナリティ障害の方がいる場合は、何よりも本人の気持ちの理解が必要です。

大切なのは、家族全員で本人の悩みについて話し合い、責め合ったり結論を決めつけたりしないことです。

本人がどのような辛さを抱えて生きてきたかを理解しましょう。

問題行動がある場合は、本人が納得するルールを決め守らせてください。

金銭や物をご褒美にする「取り引き」は厳禁です。

結果主義の考え方を強化し、治療に悪影響を与えます。

職場の人

職場の場合は、第三者に相談し適度な距離感を保つ必要があります。

上司が自己愛性パーソナリティ障害の場合は、本人を尊重するような言動をとってトラブルを回避したり、配置転換を希望したりして距離を取るのがよいでしょう。

部下の場合は、データなどの客観的指標から本人のよい部分を評価すると信頼関係を築けます。

いずれの場合も、病気というレッテルを張り本人を孤立させないように注意が必要です。

まとめ

自己愛性パーソナリティ障害の方の口癖には、以下のような特徴があります。

・権力者とのつながりや自分の成功を必要以上にアピールする

・怒りや落胆の感情を強い言葉で表し、周囲を攻撃する

極端な言動に周囲は困惑しますが、すべては自信のなさに起因しています。

対応方法は本人との関係性により異なりますが、いずれの場合も自尊心を守りながら、同じ目線に立って話をしましょう。

今回紹介した口癖が見られても、病気と決めつけて孤立させず本人が抱える不安に理解を示してください。

暴力やハラスメントに発展している場合は、医療機関や公的機関への相談が必要です。

お互いが心身の安全を保てるように無理のない範囲で対応してくださいね。

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執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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