加味逍遙散のうつへの効果とは|効果や合わない人の特徴についても解説


「加味逍遙散(かみしょうようさん)はうつに効く薬なの?」

「加味逍遙散の効果が出るまでにはどのくらいの時間がかかるの?」

このような疑問をかかえていないでしょうか?

加味逍遙散は、更年期障害やPMS(月経前症候群)などによる精神症状に対してよく用いられる漢方薬です。

この記事では、加味逍遙散とうつとの関係や、加味逍遙散の効果効能についても詳しく解説します。加味逍遙散が合わない人の特徴についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

加味逍遙散は鬱(うつ)の治療に用いられることがある

うつは、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」や「ノルアドレナリン」の減少により、無気力でゆううつな状態になってしまう病気です。[1]

東洋医学において、うつは、からだのエネルギーである「気(き)」に異常が生じた状態だと考えます。

加味逍遙散には「気」を巡らせる作用があるため、気分の落ち込みや、ゆううつ感などのうつ様症状に対して効果が期待できるのです。

更年期障害やPMSなどによる精神的な不調でお悩みの方には、加味逍遙散が役立つでしょう。

加味逍遙散とは

加味逍遙散は「婦人科の三大漢方薬」のひとつで、更年期障害や月経不順など、女性特有の症状に対して効果が期待できる薬です。

加味逍遙散の「逍遙」とは「行ったり来たりする、ぶらつく」という意味をもっています。

多様に移り変わる症状に対して効果を発揮することから「加味逍遙散」という名前がつけられました。

加味逍遙散の効果

添付文書(ツムラ)に記載されている、加味逍遙散の効果効能は次のとおりです。

「体質虚弱で肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のある次の症状:冷え性、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症」[2]

「血の道症」とは、更年期や月経周期などに伴う精神症状や、頭痛やめまいなどの身体症状のことをいいます。

加味逍遥散は、からだの栄養である「血(けつ)」の不足を補うことで、滞っていた「気(き)」の巡りをよくして精神症状を改善する漢方薬です。

加味逍遙散が合わない人の特徴

加味逍遙散は、比較的体力がなく、疲れやすい人に向いている漢方薬です。そのため、体力や抵抗力が充実している方には合わない可能性が考えられます。

また、次のような特徴がある方も、加味逍遙散が合わない可能性があります。

  • 胃腸が弱い人
  • 妊婦又は妊娠していると思われる人
  • 薬で赤みやかゆみなどの皮膚症状が出た経験がある人
  • 高齢者
  • 小児 など

加味逍遙散がからだに合っていない場合、継続しても効果が出なかったり不調が出たりする可能性があるため、使用の際は医療機関で医師の診察を受けると安心でしょう。

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加味逍遙散の副作用

「漢方薬には副作用がない」と考える方もいるかもしれませんが、医薬品である以上、漢方薬にも副作用が存在します。

加味逍遙散の主な副作用は、湿疹や赤みなどの過敏症や、食欲不振や吐き気などの消化器症状です。

発生頻度はまれではあるものの、重大な副作用には「偽アルドステロン症」や「肝機能障害」「腸管膜静脈硬化症」などがあります。

偽アルドステロン症の初期症状には手足のだるさやむくみなどがあり、肝機能障害では発熱や黄疸などがあらわれます。

また、長期間の服用によって「腸管膜静脈硬化症」になる場合があります。腹痛や下痢、便秘などが繰り返しあらわれる場合は服用を中止し、医師に相談しましょう。

鬱(うつ)っぽいときに使われる漢方薬【ツムラの何番かを記載】

加味逍遙散以外にも、うつに対して用いられることのある漢方薬には、次のようなものがあります。漢方薬でうつ症状を改善したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)|12番

柴胡加竜骨牡蛎湯は、イライラや不安、不眠などでお悩みの方におすすめの漢方薬です。

東洋医学の考えによると、不安やイライラなどの原因は、からだのエネルギーである「気」の異常だとされています。柴胡加竜骨牡蛎湯はストレスによって滞った「気」を巡らせ、からだにこもった余分な熱を冷まして心を鎮めてくれます。

比較的体力があり、動悸やイライラ、ヒステリーがある方に向いているでしょう。

柴胡加竜骨牡蛎湯とうつに関してより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)|16番

半夏厚朴湯は、精神的なストレスからくる吐き気や咳、胃の不調などを改善する漢方薬です。「気」(からだのエネルギー)の巡りをよくして、不安や気分の落ち込みを緩和する作用があります。

体力が中程度で、ストレスによるのどの閉塞感が気になる方におすすめです。精神不安やストレスからくる神経性胃炎、動悸、めまいにも効果が期待できます。

半夏厚朴湯の効果について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)|41番

補中益気湯には、からだを元気にしたり、胃腸の機能を高めたりする効果があります。

そのため、体力がなくて疲れやすく、うつ症状のなかでも気力の低下や食欲不振でお悩みの方に向いているでしょう。

補中益気湯の効果について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

抑肝散(よくかんさん)|54番

抑肝散は神経の高ぶりを抑える作用をもち、神経症や不眠症、小児夜泣きなどの治療に用いられる漢方薬です。からだが弱く、イライラや怒りやすさでお悩みの方に向いています。

抑肝散には、精神を安定させるホルモンである「セロトニン」を増やす効果も確認されています。

抑肝散とセロトニンの関係について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

こころちゃん
こころちゃん

次からはQ&Aになります♪

Q1. 加味逍遙散の効果が出るまでにはどのくらいかかりますか?

加味逍遙散の効果が出るまでの期間には個人差がありますが、1ヶ月ほどは様子をみるといいでしょう。

1ヶ月間服用してみて症状の改善がみられない場合は、合っていない可能性があるので、服用を中止し、医師へ相談することをおすすめします。

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Q2. 加味逍遥散を飲むと太るって本当ですか?

加味逍遥散の服用自体が原因で太ることは考えにくいでしょう。

直接的な影響ではないものの、加味逍遥散によってストレス性の食欲不振が改善された場合は、食事量の増加により体重が増える可能性はあるかもしれません。

Q3. 加味逍遥散のやめどきはどのくらいですか?

不安やイライラなどの症状が治まれば、やめどきだと考えられます。ただし、個人に合った服用期間は、症状の程度や体質などによって異なります。治療効果を高めるためにも自己判断で中止せず、処方医の指示に従いましょう。

Q4. 加味逍遙散はどんな体質の人に使いますか?

加味逍遙散は、からだが弱くて疲れやすい体質(虚弱体質)の方に使われる傾向があります。不安や不眠、イライラなどの精神症状に加え、肩こりや頭痛、めまいなどを伴う場合にも適しているでしょう。

加味逍遙散は女性特有の精神症状に効く薬|まとめ

更年期障害やPMSなどにおける、女性特有の精神症状でお悩みの方には、加味逍遙散が処方される場合があります。

加味逍遙散には、からだのエネルギーである「気」を巡らせる作用があるため、気力の低下やゆううつ感などのうつ様症状に対して効果が期待できます。

漢方薬を選ぶ際は、症状だけでなく、個人の体質を考慮して選ぶべきです。

ご自身の症状や体質に合った漢方薬で治療をはじめたい方は、ぜひおおかみこころのクリニックにご相談ください。

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参考文献

[1] うつ病|こころもメンテしよう|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html

[2] 加味逍遙散の添付文書|ツムラ

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200017D1083_1_12

[3] 柴胡加竜骨牡蛎湯の添付文書|ツムラ

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200050D1094_1_15

[4] 半夏厚朴湯の添付文書|ツムラ

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200122D1074_1_08

[5] 補中益気湯の添付文書|ツムラ

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200131D1065_1_16

[6] 抑肝散の添付文書|ツムラ

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200139D1037_1_17

この記事の編集者
稲嶺 千春
薬剤師。心療内科の門前薬局での勤務経験あり。フリーライターとして医療・健康分野を専門に執筆活動中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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