子育ての中で感じるイライラは、多くの親が経験する共通の悩みです。完璧を求めすぎたり、育児の負担が自分に偏ったりすると、思わず子どもに感情をぶつけることがあるでしょう。
しかし、イライラは子どもの発達に影響を与えてしまうかもしれません。自己肯定感が下がったり、感情表現ができなくなったりする恐れがあるのです。
この記事では、子育てのイライラが抑えられない理由、子育てのイライラを抑える対処法について解説します。イライラに悩むあなたの心の負担を少しでも軽くし、より楽しい子育てにつながれば幸いです。
子育てのイライラが抑えられない理由
子育てのイライラが抑えられない理由は、おもに3つあります。
これらの理由について、詳しく見ていきましょう。
完璧主義である
子育てのイライラが抑えられない理由のひとつに、完璧主義という性格傾向があります。
完璧主義の親は、子育てにおいても高い基準を設定しがちです。たとえば、「子どもは常に言うことを聞くべき」「家は常に整理整頓されているべき」といった考えを持ちやすいです。しかし、現実の子育ては思い通りにいかないことばかり。理想と現実のギャップに苛立ちを覚えると、どんどんイライラがたまっていきます。
また、完璧を求めすぎると、些細なことでもストレスを感じやすくなります。「もっと上手く育児をしなければ」というプレッシャーが、かえってイライラを増してしまうのです。
疲れがたまっている
疲れがたまっていると、子育てでイライラを抑えられなくなっているかもしれません。
子育ては、24時間365日休みがありません。とくに、1歳になるまでは夜泣きで睡眠不足になりやすく、日中も常に子どもの世話に追われます。このような生活が続くと、心身ともに疲労がたまっていくのです。[1]
疲れがたまると、少しのことでも感情が爆発しやすくなります。普段なら気にならない子どものわがままや騒ぎ声に、過剰に反応してしまうでしょう。十分な休みが取れていないと、冷静さを保つのが難しくなります。
親だって人間なので、疲れてイライラするときがあります💦
パートナーとの育児分担ができていない
パートナーと育児の分担ができていないことは、イライラを抑えられない原因となります。
育児や家事の負担がどちらか一方に偏っていると、ストレスが高まります。とくに、仕事と育児の両立をしなくてはならないと、より負担が増えるでしょう。
常に自分だけが子どもの世話をしていると感じたり、家事のほとんどを一人で担っていると感じたりすると、パートナーに対する不満が高まります。この不満が、子どもへのイライラとなってあらわれることもあるのです。パートナーと相談して、育児や家事をどのように分担するかを決めることが大切です。
イライラを抑えられない親が子どもに与える影響
イライラを抑えられない親の言動は、子どもの成長に以下の影響を与えます。
- 自己肯定感が下がる
- 不安やストレスが増える
- 感情表現ができなくなる
親のイライラが子どもに向けられると、子どもは「自分が悪いのだ」と感じてしまいます。自己肯定感が低下し、自信を持てない子どもに育つ可能性があるのです。
また、子どもは緊張した状態にさらされるため、不安やストレスの原因となります。落ち着きがなくなったり、集中力が低下したりするでしょう。
さらに、親のイライラした態度を見て育つと、子ども自身も感情をうまくコントロールできなくなることがあります。感情表現が乏しくなったり、逆に攻撃的になったりするのです。
子育てのイライラを抑える対処法
子育てのイライラを抑える対処法には、以下の5つがあります。
あなたが日常生活の中で実践しやすいものから、イライラしやすい状況に陥ったときこそ、意識して取り入れてみてください。それぞれの対処法について見ていきましょう。
腹式呼吸をする
腹式呼吸は、イライラしたときにすぐに実践できる効果的な方法です。イライラすると、呼吸が浅くなって酸素が不足します。酸素を補うと、筋肉の緊張がほぐれて、気分が落ち着くようになります。腹式呼吸をして、酸素不足を解消することが大切です。[2]
たとえば、子どもが言うことを聞かないときや、自分の思い通りにならないときに、その場で腹式呼吸を行ってみましょう。5回ほど深呼吸をするだけでも、イライラが和らぐはずです。
具体的には、以下のように行いましょう。
① 鼻から息をゆっくり3秒かけて吸い込み、お腹を膨らませる
② 口からゆっくり3秒かけて息を吐き出し、お腹をへこます
この動作を繰り返すと、心拍数が落ち着き、イライラが抑えられていくのを感じられます。
運動の習慣をつける
運動を習慣づけることが、イライラを抑えるために有効です。
運動には、ネガティブな気分を発散させたり、心身をリラックスさせて睡眠リズムを整える効果があります。[3]子どもを寝かしつけた後や休日に、20分ほどヨガやストレッチを行ってみましょう。継続すれば、心身のバランスが整い、イライラしにくい状態を維持できます。
運動は必ずしも、激しいものである必要はありません。子どもと一緒に公園で遊ぶ、階段を使うなど、日常生活の中で体を動かすことを意識しましょう。自分に合った運動を見つけ、できる範囲で続けることが大切です。
誰かに頼れる環境をつくる
子育てのイライラを抑えられないときは、誰かに頼れる環境をつくりましょう。
一人で抱え込まずに、周囲の人に助けを求めることが大切です。パートナーや家族など、自分を支えてくれる人々とのつながりを持つと、精神的な負担が軽くなります。
パートナーと育児の分担について話し合ったり、ママ友と定期的に情報交換をしたりして、イライラの原因を共有すると解決策を見つけやすくなります。
また、地域の子育て支援センターやコミュニティを活用するのも良いでしょう。同じ悩みを持つ親同士で交流すれば、孤独感が和らぎます。困ったときに相談できる人や場所を見つけておくと、イライラしたときの心の支えになるのです。
自分のための時間を用意する
自分のための時間を用意することは、イライラを抑えるために大切です。
子育ては24時間体制の仕事ですが、自分自身をケアする時間も必要です。楽しみになる時間を確保すれば、リフレッシュができ、イライラが解消されます。[4]
子どもが昼寝をしている間、パートナーに子どもを任せられる間などは、30分でも自分の好きなことをする時間を作りましょう。読書や音楽鑑賞など、自分なりのリラックス方法を見つけることが大切です。
自分の時間を作るのが難しいと感じたら、まずは1日5分でも自分の時間を確保することから始めてみてください。少しずつ自分を大切にする習慣をつけると、心の余裕が生まれ、イライラが減っていきます。
保育園の一時保育が利用できないか聞いてみるのも良いでしょう
「~すべき」と考えるのをやめる
子育てでイライラしてしまうときは、「~すべき」と考えるのをやめましょう。
完璧な親であろうとしたり、理想の子育てを追求したりすると、イライラの原因になります。「こうあるべき」という考えから自由になれば、心の余裕が生まれます。
「子どもは常に言うことを聞くべき」という考えを「子どもは成長の過程で反抗することもある」と柔軟に捉え直してみましょう。視点を変えれば、イライラの原因そのものを減らせます。
すべての家庭や子どもは異なり、一つの正解はありません。自分の家庭に合った方法を見つけることが大切です。また、自分を許す心の余裕を持てば、子どもに対しても優しい気持ちで接することができるようになります。
親だって人間なので、完璧にはこなせません
子どもにイライラをぶつけたときの接し方
子育て中、どうしてもイライラを子どもにぶつけてしまうことがあります。以下の3つの適切な対応をすれば、子どもとの関係を修復してお互いの心を守れます。
- 素直に謝る
- スキンシップをとる
- 子どもの気持ちを聞く
まずは、素直に謝りましょう。子どもにイライラをぶつけてしまったら、まず冷静になるための時間を取ってください。自分の感情をコントロールできなかったことを認め、謝罪することが大切です。
言葉での謝罪に加えて、優しく抱きしめたり、頭をなでたりするなど、温かく触れ合いましょう。スキンシップは、言葉以上に子どもに安心感を与えます。
さらに、子どもの気持ちを聞くと、子どもは自分の感情が尊重されていると感じ、安心感を得られます。親子でコミュニケーションを取る良い機会になるでしょう。
まとめ
子育てにおけるイライラは多くの親が経験する感情ですが、イライラを抑えられないと、子どもに大きな影響を与えます。イライラの原因を理解し、適切な対処法を実践することが重要です。
子どもにイライラをぶつけてしまったら、冷静になってから謝罪し、一緒に解決策を考えることが大切です。このような対応が、子どもの健全な成長と良好な親子関係につながります。
子育ては長い道のりです。完璧を求めすぎずに、少しずつ自分なりの方法を見つけていくことが、楽しい子育てにつながる鍵となるでしょう。
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【参考文献】
[1]健康づくりのための睡眠ガイド2023
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
[2]深呼吸をしましょう|日本医師会
https://www.med.or.jp/komichi/holiday/sports_02.html
[3]体を動かす|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_01.html
[4]3歳児をもつ母親の趣味と育児ストレスとの関連,大浦早智,宇座美代子,當山裕子
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/41/4/41_20180302021/_pdf/-char/ja