文部科学省の調査によると、およそ8割の女性が育児への不安や負担を感じているとされています。[1]
この記事では、子育てがつらいと感じる理由や子育てがもっともつらい時期、乗り越え方などについて解説します。
この記事を通して少しでも負担を軽減するお手伝いができれば幸いです。
子育てがつらいと感じる理由
子育てがつらいと感じる理由として、以下3つが挙げられます。
ひとつずつ見ていきましょう。
現在、子育てがつらくてイライラが抑えられないというときは、こちらの記事に対応のヒントがあるはずです。あわせてご覧ください。
時間がない
文部科学省の調査では、子育て中の約3割の人が「時間的余裕がないこと」を負担に感じているとされています。[2]
家事や育児、仕事に追われる状況では、ゆっくり休んだり趣味を楽しんだりする時間はなかなか取れません。
体調が悪いときでさえ「休ませてほしい」と家族に許可を得たり、子どもの世話をしたりしながら休んでいる人も多いでしょう。
時間の余裕がないとこころの余裕が奪われていくため、子育てがつらいと感じやすくなるのです。
孤独を感じやすい
専業主婦や育児休業中は社会とのつながりが薄れやすく、キャリアやアイデンティティを失ったような感覚を抱きやすくなります。[3]
具体例は以下のとおりです。
- 子育ての余裕ができる頃に就職できるか不安
- 夫や周囲の人に母親としてしか見てもらえないのがつらい
- 夫以外の大人と話す機会が減り、社会から取り残されたようで孤独
とくに母親は出産前に仕事や趣味を通して自分の居場所を持っていても、出産後はどうしても子育て中心の毎日になってしまいます。
その結果、子育ての理想(自分も子どもも大切にしたいと)と現実(自分のことは後回しになってしまう)の板挟みに苦しむのです。
このような閉塞感や孤独感をひとりで抱えると、子育てがつらくなってしまいます。

0歳児は話し相手にはならないんです💦
子どもの成長に不安がある
子どもの成長や発達に不安があると、子育てにストレスを感じやすくなります。[3]
具体例として挙げられるのは、以下のとおりです。
- 育児書に書いてある発達の目安よりも遅れている
- 周囲と比べて自分の子どもはできることが少ない
子どもの成長に不安があると、自分の育て方や関わり方が間違っていたかも…と責任を感じたり、周囲の子どもと比べて焦ったりしてしまいます。
不安が大きくなると子どもへの関わりや育児に自信が持てなくなり、子育てがつらくなってしまうのです。
子育てがもっともつらい時期
子育てがもっともつらいと感じる時期は人によって異なりますが、産後うつにより自ら命を絶つ人は産後9か月頃に多いとされています。[4]
産後9か月は母親自身の体調管理や将来への不安、子どもの成長などにより、心身の負担が増えやすい時期です。
乳幼児期は子どもの睡眠リズムが不安定で、親の体力を奪われやすい時期でもあります。[5]
ただ、子どもが5歳を過ぎたあたりからは子どもの理解力が高まるため、親も精神的に余裕がもてるでしょう。[6]
子どもの成長とともに少しずつ親の余裕が増えていくため、このつらさが一生続くのか…と悲観しすぎる必要はありません。
子どもの成長に合わせて変化する悩みに、その時々で対応していきましょう。
子育てがもっともつらい時期は、子どもに怒鳴ってしまうこともあります。下記の記事では怒鳴ってしまったとき、どうしたらよいのかについ解説していますのでご覧下さい。
子育てのつらさを乗り越える方法
子育てのつらさを乗り越える方法として、以下3つが挙げられます。
それぞれ解説します。
やめていいことを見つける
子育て中は時間がないため、今の生活から減らせそうなタスクがないか確認しましょう。
例として以下が挙げられます。
■毎日の料理が負担になっている
→お惣菜や冷凍食品の日を作る
■ずっと子どもの相手をしていて疲れる
→30分ほど動画を見せてゆっくり過ごす
■部屋がぐちゃぐちゃでストレスになっている
→使ってないものを処分して片付けの手間をなくす
どうやったらラクになるかな?という視点で、楽しみながら生活を振り返る機会にしてくださいね。

やらなくても生活できることって結構あるんです♪
自分のこだわりでやっていることはありませんか?
家庭の内外に協力者を作る
あなたの味方を増やすつもりで協力者を作りましょう。
協力者の例として以下が挙げられます。
- 家庭内
- ・時短家電に家事を任せる
・ペットや推しに癒してもらう
・夫に手伝ってほしいことリスト化する
- 家庭外
- ・実家で子どもを見てもらう
・友人と遊んで気分転換する
・子育て支援センターに相談する
子育ては思うようにいかないことの連続であるため、ひとりで抱え込むとつらくなってしまいます。
あなたの生活状況に合わせて家庭の内外に広く頼り、負担を軽減することが大切です。
リラックスできる環境で過ごす
子育て中はなるべくリラックスしやすい環境で過ごしましょう。
子育てでつまずくと自分を責めやすくなりますが、子育てがつらいのはあなたの性格や考え方に問題があるからではありません。
時間的な余裕のなさや孤独になりやすい環境など、周囲の状況によりあなたの余裕が失われているため、自分のせいだと責任を感じすぎないようにしましょう。
子育て中のこころをラクにするためには、心地よい環境に身を置きリラックスできる身体の状態を作ってあげるのが効果的です。
日常の中で「気づいたらリラックスしていたな」という状況を探してください。
あなたのこころと身体がリラックスできる環境を整え、子育ての負担を少しでも軽減してくださいね。
子育てのつらさを相談できる場所
子育てのつらさを相談できる場所として以下が挙げられます。
- 保健センター
- 子育て支援センター
- 親子のための相談LINE
保健センターや子育て支援センターは、自治体(市区町村)に設置されており、子育ての悩みや不安を相談できる場所です。
「〇〇市 子育て相談」とインターネットで検索し、お住まいの地域によるサポートを確認しましょう。
子ども家庭庁による親子のための相談LINEは、18歳未満の子どもと保護者が悩みを相談できるサービスです。
LINEから匿名(LINE上のアイコンとニックネーム)で相談できるため、自宅から気軽に利用できます。
おおかみこころのクリニックでは、子育てのつらさや悩みを軽減するお手伝いをしております。
「子育てがつらくて子どもにキツくあたってしまう」「社会とのつながりが切れたようで不安」など、どんなお悩みもご相談ください。ご自宅からの受診はオンライン診療のご利用がおすすめです。
おおかみこころのクリニック
まとめ|子育てがつらいときは相談しよう
子育て中は時間のなさや孤独感、子どもの成長への不安からつらさを感じやすくなる時期です。
やるべきことを減らしたりリラックスできる環境で過ごしたりしながら、自分をラクにしてあげましょう。
子育てがつらくなったときは、ひとりで抱え込まずに相談するのが大切です。
おおかみこころのクリニックでは、子育てを頑張るあなたのこころをサポートさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
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おおかみこころのクリニック
【参考資料】
[1]令和2年度「家庭教育の総合的推進に関する調査研究~家庭教育支援の充実に向けた保護者の意識に関する実態把握調査~」|令和2年度文部科学省委託調査 株式会社インテージリサーチ
https://www.mext.go.jp/content/20210301-mex_chisui02-000098302_1.pdf
[2]文部科学省|令和2年度「家庭教育の総合的推進に関する調査研究~家庭教育支援の充実に向けた保護者の意識に関する実態把握調査~」
https://www.mext.go.jp/content/20210301-mex_chisui02-000098302_1.pdf
[3]乳幼児を持つ母親の育児ストレスに関する要因の分析
https://www.jschild.med-all.net/Contents/private/cx3child/2005/006403/008/0425-0431.pdf
[4]東洋大学
https://www.toyo.ac.jp/link-toyo/life/postpartum_depression
[5]厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
[6]神戸新聞
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/omoshiro/202108/sp/0014591986.shtml
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
メンタルヘルスの記事を中心に執筆する看護師・保健師ライター。 精神科勤務での患者さんとの関わりや自身のうつ病経験から「人の心についてもっと知りたい」と思い、上級心理カウンセラーの資格を取得。 エビデンスに基づいた読者の心に寄り添う記事を心がけている。