子どもに怒鳴ってしまうのをやめたい|怒鳴る母親の特徴と子どもへの影響










子育て中は怒りを感じやすく、約8割の母親が「怒鳴る」「無視する」という方法で怒りを表出していることがわかっています。[1]

多くの親が子どもに怒鳴る経験をしていますが、そのような状況が続くと子どもの心身に悪影響を及ぼすのも事実です。

今回は、子どもに怒鳴ってしまう状況怒鳴ってしまう母親と怒鳴らない母親の違いなどについて解説します。

この記事を通して対処法を知り、親子ともにラクな気持ちで過ごすきっかけになれば幸いです。

子どもに怒鳴ってしまう状況

子どもに対して怒り(腹が立つ、イライラする)を感じやすい状況として、以下の場面が挙げられています。[1]

  • 約束を守らないとき
  • 言うことを聞かないとき
  • 何度言っても聞かないとき
  • 子どもがマイペースなとき 

たとえば、行動が遅い、ぐずぐずしている、準備が遅いなど子どものマイペースさに怒りを感じる親も多いでしょう。

怒りを感じたときの母親の対応は以下のようなものです。

  • 怒鳴る、無視する(約8割)
  • 嫌味を言う、皮肉を言う(半数以上)
  • 取り上げる、物に当たる(半数以下)

母親の意図が子どもに伝わらないときに怒りを感じやすく、多くの母親が怒鳴ったり無視したりして怒りを表していることがわかります。

子育てがつらいと感じる理由については、下記の記事をご覧ください。

子どもに怒鳴ってしまう母親と怒鳴らない母親の違い

子どもに怒鳴ってしまう母親怒鳴らない母親の違いは以下のとおりです。

怒鳴ってしまう母親の特徴

子どもに怒鳴ってしまう母親の特徴として、以下が挙げられます。[2]

  • 子育てを負担に感じている
  • 子どもを自分の分身であると考えている
  • 子育てを自分の役割、使命と感じている

子育てに強い責任を感じ周囲に頼る人がいない母親ほど、子どもの存在を負担に感じて怒鳴ってしまう傾向があります。

子育ての環境は人それぞれ異なるため「ほかのママは怒鳴らないのに…」と他人と自分を比べる必要はありません。

こころ穏やかに子育てするためには、あなたに合わせた対処法を見つけることが大切です。

子育てのイライラが抑えられなくて困っているときは、こちらの記事をあわせてご覧ください。

子どもに怒鳴らない母親の特徴

子どもに怒鳴らない母親の特徴は以下のとおりです。

  • 人前で怒るのはよくないと考えている
  • 他の親子を見ながら自分の育児を見直している
  • 怒りを厄介なこと、面倒なことと考えている

子どもに怒鳴らない母親は、他者の目線を気にしたり他の親子を見たりしながら、子育てを修正する傾向があります。[1]

また、子育てに充実感や生きがいを感じている母親ほど、怒りの表出が少ないことがわかっています。[2]

子育てを自分の成長の機会としてとらえたり、子どもの言動をおもしろいととらえたりしているため、怒りにつながりにくいのです。

子どもに怒鳴ることの悪影響

親から体罰(暴力、怒鳴るなど)を受けていた子どもは、以下のリスクが高まります。 [3]

  • 約束を守れない
  • 我慢ができない
  • 集団で行動できない
  • 感情をうまく表せない
  • 落ち着いて話を聞けない
  • ひとつのことに集中できない

親が怒鳴ると子どもは恐怖心から一時的に言うことを聞きますが、どうすべきかを学んでいるわけではありません。

子どもは親に恐怖心を抱くと信頼関係を築けず、悩みを相談しづらくなります。

家庭が子どもの安心できる場所でなくなるため、対人関係のトラブルや非行、犯罪被害などの大きな問題に発展する可能性があるのです。

こころちゃん
こころちゃん

みんながこころ穏やかに子育てでいるわけではありません。
大丈夫。少しずつ穏やかに過ごせる方法を見つけたらよいのです。

子どもに怒鳴ってしまうときの対処法

子どもに怒鳴ってしまうときは、以下の対処法を意識しましょう。

子どもに怒鳴ってしまったからもう取り返しがつかないかもしれない…と思い悩む必要はありません。できる範囲で少しずつ実践しましょう。

悪いと思ったら謝る

イライラして強く言いすぎたな…と感じたら「大きい声を出してごめんね」と素直に謝ることが大切です。[4]

親自身が完璧でないことを認め、対等な親子関係を作ることが子どもの成長によい影響を与えます。

「ママも怒らないために練習中だよ」と子どもに伝えておくと、より対等な関係が築きやすいでしょう。

子どもに悪いことをしたと思ったらすぐに謝り、自己嫌悪に苦しまないようにしてくださいね。

怒りが落ち着いてから振り返る

怒りが落ち着いてから、自分の気持ちや行動を振り返りましょう。

以下のような視点で怒りを感じた場面を振り返るのが有効です。[1]

  • 怒りの伝え方は適切であったか
  • 自分の怒りを表現した方がよい場面であったか
  • 怒りの原因となった子どもの言動は注意すべきものだったか

自分の感情や子どもへの対応を振り返ることは、子育てや自己評価にポジティブな影響を与えます。

怒鳴ってしまった自分を責めすぎず、今後の育児に活かしていきましょう。

こころちゃん
こころちゃん

振り返って、少しずつ繰り返さないようになればいいんです♪

親が落ち着けるポイントを探す

どうしたら親自身が落ち着いて過ごせるか考えてみましょう。

ポイントは子どもの言動を変えることで落ち着こうとしないことです。

子ども次第で落ち着いたり怒ったりすると、怒りの矛先がすべて子どもに向きやすくなります。

イライラを感じたときは「落ち着くために私ができることは何かな?」と考えてみましょう。

例)
■時間に余裕がなくてイライラする
  →早めに準備を開始して時間の余裕を作る

■子どもが言うことを聞かなくてイライラする
  →子どもに伝わりやすい言い方を試してみる

子どもに怒りを感じたときは自分の育児を振り返るチャンスです。

「今日はイライラしなかった」「今日は怒鳴っちゃった」を繰り返しながら、少しずつあなたが落ち着けるポイントを見つけてくださいね。

子どもに怒鳴ってしまうときに大切なこと

怒りを抑え込むと葛藤やストレスが生じやすくなります。一方で、勢いに任せて怒りすぎるのも精神的によくありません。

怒りをまったく表出しないのではなく、コントロールの仕方を考えたり適度に表出したりしながら付き合っていくことが大切です。

怒りを感じた瞬間に怒りを表すと、言わなくていいことまで口にして子どもを傷つけてしまう可能性があります。

以下のような方法で、少し冷静になってから怒りを表しましょう。

  • 別室でひとりになってから子どもと話をする
  • 感情を紙に書き出し必要なことだけ子どもに伝える

子どもに対する怒りの感情は、自分の育児を振り返ったり親子関係を調整したりする機会になります。[1]

怒りは「現状をもっとよい方向に変えたい」というこころのサインとしてとらえ、一度冷静になってから必要なことを子どもに伝えましょう。

どうしても子どもに怒鳴ってしまうときは相談を

子どもに対して怒鳴ってしまうことは、決して珍しいことではありません。

ただ、親が怒鳴る状況が続くと子どもは自宅が安全な場所と感じられなくなり、心身へ悪影響が出る可能性があります。

あなたが落ち着いて過ごしやすいポイントを探したり、怒りが落ち着いてから振り返ったりして、少しずつ怒鳴る回数を減らしましょう。

自分ではコントロールできないほどの怒りに悩まされているときは、おおかみこころのクリニックにご相談ください。

身近な方には相談しづらい気持ちを私たちに吐き出して、あなたがラクに育児できる方法を一緒に考えましょう。

おおかみこころのクリニック

【参考資料】
[1]母親の子どもに対する怒り感情の抑制と評価 子育てに関するメタ認知及び育児自己効力感との関連
https://www.jstage.jst.go.jp/article/reccej/52/2/52_KJ00009732654/_pdf/-char/ja

[2]乳幼児を育てる母親において、子育てにおける怒り表出と子育てにおける怒り表出評価、子育て観の関連

[3]厚生労働省
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/4886175b-184e-47c4-b0dc-01ecd9e9f65f/0cd09a5b/20230401_policies_jidougyakutai_keihatsu-katsudou_09.pdf

[4]東洋大学
https://www.toyo.ac.jp/link-toyo/life/angryandscold

この記事の執筆者
とだ ゆず
メンタルヘルスの記事を中心に執筆する看護師・保健師ライター。 精神科勤務での患者さんとの関わりや自身のうつ病経験から「人の心についてもっと知りたい」と思い、上級心理カウンセラーの資格を取得。 エビデンスに基づいた読者の心に寄り添う記事を心がけている。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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