生理前になると、些細なことで涙が出てきたり悲しくなったりと感情の波に戸惑う経験をしたことはありませんか?
これは月経前症候群(PMS)による自然な心身の変化であり、生理前の情緒不安定をどうにかしたいと悩む女性は多いのです。
生理前に情緒不安定で泣くときは、思いっきり泣いたり、気持ちを紙に書きだしたりしましょう。ときには甘やかす時間をつくって、自分自身を大切にしてあげてください。
この記事では、生理前に情緒不安定で泣く原因、生理前の情緒不安定で泣くときの対処法などを解説します。自分の心と身体の変化を理解し、情緒と上手く付き合っていくために役立ててみてください。
生理前に情緒不安定で泣く原因
生理前に情緒不安定で泣いてしまうのは、月経前症候群(PMS)によるものです。生理の約1週間前から始まり、女性ホルモンの急激な変動がおもな原因となります。
エストロゲンとプロゲステロンの2つのホルモンが多く分泌されると、脳内にあるホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こします。その結果、感情の起伏が激しくなり、泣いてしまうことがあるのです。[1]
また、生理前は身体にも不調があらわれるため、眠気やむくみなどの症状も心を不安定にする要因となります。生理前に情緒不安定で泣くことは、多くの女性が経験する自然な現象なのです。
PMSとうつ病の違いについては、下記の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
生理前の情緒不安定で泣きやすい場面
生理前は普段なら気にならないような些細な出来事でも、感情が大きく揺さぶられて泣いてしまうことがあります。たとえば、次のような場面が挙げられます。
- 仕事で小さなミスをしたとき
- 友人との会話で傷ついたとき
- パートナーと上手くいかないと感じたとき
仕事で失敗をすると「なんで自分はできないのか」と感じ、自己嫌悪に押しつぶされそうになり泣いてしまうときもあるでしょう。
友人との何気ない会話の中で、相手の言葉を敏感に受け取り、誤解や傷つきを感じて涙を流すことも。
また、普段なら受け流せるようなパートナーの言葉や態度に強く反応し「自分を理解してくれない」と感じることもあります。喧嘩になるのを避けたいと思っていますが、感情を抑えられず涙が出てしまうのです。
生理前の情緒不安定で泣くときの対処法
生理前の情緒不安定な時期を乗り越えるためには、5つの対処法があります。
自分に合った方法を見つけて実践し、つらい時期を少しでも快適に過ごしましょう。
思いっきり泣く
思いっきり泣くことは、ストレスを解消する方法のひとつです。涙を流すことで、ストレスを和らげて気分を調整するため、心が落ち着くとされています。[2]
泣くのが難しいと感じる人は一人の時間を確保して、好きな映画やドラマを見るとよいでしょう。思い切り泣くことで、つらさや寂しさなど心に溜まった感情を解放できます。無理に明るく振る舞う必要はありません。自分の感情に正直になり、泣きたいときに泣くことで、心の浄化につながります。
思いっきり泣いてスッキリしましょう!
腹式呼吸をする
腹式呼吸は、心を落ち着かせるために効果的な方法です。呼吸に集中することで余計なことを考えなくなり、今この瞬間に意識を向けられます。
鼻から息を吸ってお腹を膨らませ、口からゆっくりと息を吐いてお腹をへこませましょう。この動作をそれぞれゆっくり3秒ずつ数えながら、5分ほど続けてみてください。自律神経が整い、少しずつ心が落ち着いてきます。[3]
就寝前や感情が高ぶったときに実践することで、穏やかな気持ちを取り戻すのです。好きなアロマをたいたり、間接照明に変えたりするなどリラックスした環境で行うと、より気持ちを落ち着かせられます。
好きな音楽を聴く
音楽には気持ちを和らげる効果があります。音楽を聴くと、脳内のセロトニンやドーパミンなどの幸せホルモンが分泌されるのです。[4]
落ち込んでいるときは、明るい曲を聴いて気分を上げたり、静かな曲を聴いてリラックスしたりしましょう。気分に合わせて選曲すると、感情をコントロールしやすくなります。また、音楽に合わせて体を動かせば、さらなるストレス解消の効果も期待できるでしょう。
お気に入りの曲をプレイリストにまとめておくと、気持ちが不安定になったときにすぐに活用できます。音楽を聴くことは、場所を選ばずに楽しめるセルフケア方法です。
気持ちを紙に書きだす
自分の気持ちを書くことは、頭の中を整理する効果的な方法です。モヤモヤした感情を言葉にすると、心がスッと軽くなります。
日記やノートに、今の気持ちを自由に書き出してみましょう。誰かに見せる必要はないので、感じたままを素直に書いてみてください。書くことで感情が整理され、自分の状態を客観的に見つめ直すことができます。[5]定期的に書き続けると、どんなときに自分の感情が動くかを理解できるでしょう。
いらない紙に気持ちを書き出したら、捨てる方法も良いです。ネガティブな感情を書いた紙を捨てることで、気持ちにけじめをつけられます。
紙に気持ちを吐き出してみましょう!
自分を甘やかす時間をつくる
生理前は自分を甘やかす時間をつくって、いつも以上に自分を大切にしてあげてください。たとえば、次のような方法を試してみましょう。
- 好きなお菓子を食べる
- マッサージを受けに行く
- お気に入りの入浴剤を入れたお風呂に入る
身体を温めることは、心を落ち着かせるのに有効です。バスタイムはリラックス効果があり、ホルモンバランスの乱れを整えるのにも役立ちます。
自分へのご褒美時間をつくることで、心の安定を取り戻せます。生理前だけの特別なセルフケアタイムと考えて、積極的に取り入れましょう。
生理前に情緒不安定で泣いてしまうときの周囲への伝え方
生理前の情緒不安定で泣いてしまうとき、次のポイントをおさえて周囲に伝えるようにしましょう。
- 素直に状況を話す
- してほしいことを伝える
- 自分の感情について触れる
相手に自分の状況を正確に理解してもらうために「生理前で情緒不安定だから泣いてしまう」と素直に話しましょう。誤解を避けることができ、周囲もあなたに配慮しやすくなります。
また「気持ちがつらいから話を聞いてほしい」「一緒にお茶を飲む時間が欲しい」など、具体的なサポートをお願いすることも効果的です。
泣いてしまうときは、相手に配慮しながら自分の感情を伝えましょう。たとえば「寂しい」「悲しい」などを伝えると、どうして泣いてしまったかを相手が考えられるようになるのです。
まとめ
生理前に情緒不安定で泣くのは、PMSによる女性ホルモンの変化が原因です。この時期は些細なことでも感情が揺れやすく、涙を流すことが増えます。
泣くときの対処法は「思いっきり泣く」「好きな音楽を聴く」など、自分に合った方法を見つけることが大切です。また、周囲に自分の状態を伝えて必要なサポートを求めることで、より快適に過ごすことができます。
自分の心と身体の声に耳を傾け、優しく受け止めながら過ごしていきましょう。必要に応じて婦人科に相談することで、より専門的なアドバイスを得ることもできますよ。
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【参考文献】
[1]月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)|公益社団法人 日本産科婦人科学会
https://www.jsog.or.jp/citizen/5716
[2]Is crying a self-soothing behavior?,Asmir Gračanin,Lauren M. Bylsma,Ad J. J. M. Vingerhoets
https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2014.00502/full
[3]腹式呼吸をくりかえす|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_03.html
[4]Auditory stimulation by exposure to melodic music increases dopamine and serotonin activities in rat forebrain areas linked to reward and motor control,Michele M. Moraes,Patrícia C.R. Rabelo,Valéria A. Pinto,Washington Pires,Samuel P. Wanner,Raphael E. Szawka,Danusa D. Soares
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0304394018301460?via%3Dihub
[5]今の気持ちを書いてみる|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/self_02.html