強迫性障害で疲れる原因と自力でできる3つの対処法




強迫性障害とは、異常な不安や恐怖をやわらげるための自分の行動により、日常生活に支障をきたしている状態のことです。

たとえば、

「家の戸締まりをしたか不安で何度も家に戻る」
「あらゆるものが汚く感じ、何かを触ったら毎回手を洗う」
「日常生活で4や9などの不吉な数字を必要以上に避ける」

といった行動が挙げられます。

そんな強迫性障害の症状で「もう疲れた」と感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、強迫性障害による不安への対処法を紹介します。ぜひ参考にしてくださいね!

強迫性障害で疲れる理由【なぜ強迫行為がおこるのか】

強迫性障害で疲れる理由【なぜ強迫行為がおこるのか】

強迫性障害で疲れる原因は、自分の意思とは無関係におこる異常な不安や不快感(強迫観念)です。

自分では「強迫行為をやめたい」と思っていても、不安は次々やってきてしまいます。

結局、それらを解消するために、同じ行動(強迫行為)を繰り返してしまうのです。

また、同じ行動を繰り返さないように、強迫観念を回避しようとすることも精神的に疲れる原因となっています。

強迫性障害で疲れたときの対処法【自分でできる対策3ステップ】

強迫性障害で疲れたときの対処法【自分でできる対策3ステップ】

強迫性障害を克服するために、以下の対処法を試してみてはいかがでしょうか。

  1. 自分の症状を再認識する
  2. 自分の1日の行動を書き出す
  3. 気持ちをコントロールする

それぞれ詳しく解説していきます。

① 自分の症状を再認識する

まず、自分にどんな症状がおこっているのかを知るのが大切です。

強迫行為により一時的な安心感を得られるものの、これは根本的な解決とはなりません。

むしろ、強迫行為は以下の図のように悪循環となり、何度もくり返される傾向があります。

出典:強迫性障害(強迫症)の認知行動療法マニュアル

強迫性障害にふり回され「疲れた」と感じているときに、自身におこっている強迫観念を再認識することはつらいかもしれません。

ただし、悪循環から抜け出すためは自分の症状を知ることが大切です。

具体的には、不安や恐怖を感じることと、それを打ち消すために自分がどのような行動をしているかを書き出します。

たとえば、以下のようなものがあります。

不安や恐怖に感じていること不安や恐怖を打ち消すためにどんな行動をしているか
自分以外のものがすべて汚いものと感じてしまう自分以外の何かに触れたら手を何度も洗う
施錠をしたか常に心配がつきまとっている外出しても何度も自宅に戻り施錠の確認をする

上のような具体的なエピソードを書き出してみましょう。

② 自分の1日の行動を書き出す

続いて、1日の流れを以下の表のように書き出してみましょう。

行動と症状を照らし合わせることで、どういった場面で強迫観念が出現し、強迫行動に至っているのかがわかります。

【記入例】

時刻自分の行動具体的な症状
6:30起床起きてすぐに、スマホの消毒と手洗いをする。
7:00朝食朝食前に、手を洗う。
いざ朝食を食べようと思ったがテーブルに手が触れてしまったため、ふたたび手を洗いに行く。
7:30電車で通勤電車の手すりに手が触れ、アルコール手拭きで手を拭く。
8:00会社の最寄り駅へ到着すぐにトイレにかけ込み手を何度も洗う。1度ではきれいになったと感じず10回ほどくり返す。
8:20出勤まずは自分のデスクの消毒から始め、終わったら入念に手洗いをする。

上記の記入例をもとに、1日の行動と症状を洗い出して分析してみましょう。

③ (強迫行為をしないよう)気持ちをコントロールする

強迫性障害では、強迫観念に立ち向かい強迫行為をしないよう、気持ちをコントロールする必要があります。

自分が不安や恐怖に感じている状況にあえて立ち向かい、それに慣れていくために以下の手順を取ります。

  1. ①②で洗い出した自身の行動や実際におこっている症状を頭に置いておく
  2. 強迫行為をしそうになったら、いちど立ち止まり「これで大丈夫」と考え直すようにする

たとえば「自分以外のものがすべて汚い」という強迫観念があるのであれば、

  • 自宅内で自分以外のものに触れても手を洗わないようにする
  • テーブルや椅子を触っても手を洗わないようにする

のように、小さなことからはじめてみましょう。

強迫性障害を克服するために必要なこと【回復のきっかけは?】

強迫性障害を克服するために必要なこと【治るきっかけは?】

強迫性障害を治すためには、強迫観念に慣れることが大切です。すると、強迫行為をしなくても心おだやかでいられるようになります。

強迫性障害の治療の一つである暴露反応妨害法(不安だと思ったことも、時間がたてば慣れることを体験する治療法)は、これまで回避していたことにあえて立ち向かう治療法です。

そこで、不安を解消するためにおこなっていた強迫行為をしないように、くり返し練習していくのです。

これまで不安だと思っていたことも、何度も繰り返し直面することで、自分の思考が変化し、治るきっかけへとつながります。

強迫性障害が治らないときの原因2選

強迫性障害が治らないときの原因2選

強迫性障害の治療をおこなっているのにもかかわらず、症状が改善されない場合、以下の2つの原因が考えられます。

・他の精神障害を併発している
・治療方法が合っていない

強迫性障害では、うつ病を合併することが多いのが特徴です。

うつ病をはじめとした他の精神障害を併発している場合には、それらの治療を並行して進める必要があります。

また、強迫性障害の治療方法は個々によって異なります。

治療を受けているのにもかかわらず症状の改善がみられない場合には、治療方法の見直しや違ったアプローチを検討してみましょう。

強迫性障害に疲れたと感じたときに相談できる環境づくりが大切

強迫性障害に疲れたと感じたときに相談できる環境づくりが大切

強迫性障害で疲れたと感じる方は、自分の症状を認識し気持ちをコントロールできるよう努めましょう。

治療を続けているのに症状が良くならない場合は、他の疾患を合併している可能性があります。

また、個々によって適切な治療は異なるため、違った角度からの治療を試してみるのもよいでしょう。

いつでも相談できるように、気軽に相談できるメンタルクリニックを探しておくのをおすすめします。

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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