「月経前症候群は聞いたことがあるけれど、生理後に情緒不安定になるのはなぜ?」
「生理後に気分が落ち込むのはうつ病?」
生理後に、うつ病のような症状を訴える人がいます。生理後の情緒不安定な症状は、生理後症候群かもしれません。
この記事では、生理後症候群と呼ばれる症状や原因を詳しく解説します。
生理後のこころの不調の原因を知り、つらさを軽くするお手伝いができれば幸いです。
生理中もPMSの症状が続いて気になる方は、下記の記事もご覧ください。
生理後症候群とは
生理後症候群は、生理の終わりごろから、こころや身体に表れるさまざまな不調を指す言葉です。医学的に正式な病名ではありませんが、多くの女性が生理後に身体のだるさや情緒の不安定さを経験しています。
月経前症候群(PMS)は広く知られていますが、生理後にも同じような症状が表れることがあり、生理後症候群と呼ばれることがあります。
生理後症候群って知らなかった!
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月経前症候群(PMS)との違い
月経前症候群と生理後症候群は、症状が表れる時期に大きな違いがあります。
月経前症候群は、月経前の3〜10日間に表れる精神的・身体的な症状のことです。この症状は通常、月経の開始とともに数日以内で治まるといわれています。[1]
一方、生理後症候群は月経の終わりごろから症状があらわれ、1週間ほど続く人もいます。
どちらも生理に伴う症状であることは同じですが、症状が出るタイミングに違いがあるのです。
生理後症候群の症状
生理後症候群の症状は、心身の不調が主な特徴です。日本では、月経前後に不調を訴える女性の割合が約70~80%と非常に多く、決して珍しいことではありません。[2]
生理後症候群に見られる主な症状には、以下のようなものがあります。[3][4]
- イライラする
- 気分が落ち込む
- 身体がだるく、疲れやすくなる
- 頭痛や腹痛といった痛みがある
これらの症状には個人差があり、あらわれる症状もさまざまです。
生理後症候群の原因【なぜ生理後に情緒不安定になるのか】
生理後症候群の原因は、はっきりとは分かっていません。
ただし、生理に伴う女性ホルモンの変化や貧血が原因のひとつだと考えられています。
ここでは、生理後に情緒不安定になる原因を解説します。
生理後のホルモン変動
女性の身体は、月経周期によってホルモンバランスが大きく変動します。とくに排卵期から月経前(黄体期)にかけては、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されています。しかし、これらのホルモンは月経前になると急激に減少し、脳内ホルモンや神経伝達物質に影響を及ぼすのです。これが、生理の前後にさまざまな症状を引き起こす原因のひとつです。[1]
エストロゲンには自律神経を安定させる働きがあり、女性の心身のバランスを保つ役割を担っています。一方、プロゲステロンは気分を不安定にする作用があります。
生理前後にこれらのホルモンのバランスが乱れることにより、情緒不安定になるのです。
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貧血・かくれ貧血
生理後に感じる倦怠感や気分の落ち込みは、貧血が原因となっていることもあります。
生理中は体内の血液が消費されるため、貧血になりやすい状態です。貧血はめまいや立ちくらみといった症状だけでなく、頭痛、倦怠感、気力の低下といったさまざまな症状を引き起こします。[5]
とくに注意が必要なのは、過多月経と呼ばれる月経の量が異常に多い状態です。過多月経の方は、貧血がみられることもあります。ただし、毎月のことで月経量の多さに慣れてしまい、異常を見逃している方も少なくありません。[6]
閉経前の女性にみられる貧血の約60%は、過多月経によるものといわれています。[7]
生理後症候群の症状がある場合は、貧血やその原因となりうる過多月経がないかどうかをチェックしておきましょう。
生理後症候群のセルフチェック
生理後症候群の原因のひとつとして、過多月経による貧血があります。
過多月経かどうかを確認できるセルフチェックリストを用意しましたので、参考にしてみてください。[6][8]
〈月経の量〉
✔ ナプキンやタンポンの交換頻度が高い(1~2時間ごとに交換が必要になる)
✔ ナプキンやタンポンがすぐに満たされる
✔ 夜間に何度もナプキンを交換する必要がある
〈月経の期間〉
✔ 月経が7日以上続く
✔ 月経周期が不規則
〈経血の状態〉
✔ 大きな血の塊が出る(レバー状の塊が頻繁に出る)
〈身体の症状〉
✔ 疲れやすい
✔ 顔色が悪い
✔ 息切れや頭痛がする
これらの症状にいくつかあてはまるものがあれば、過多月経の可能性があります。
月経は、ホルモンの乱れ、子宮の病気、感染症、ストレスなど、さまざまな原因によって変化します。
セルフチェックを参考にして、症状が気になる方は医療機関を受診してください。
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生理後の情緒不安定への対処法
生理後に気分が落ち込むといった抑うつ症状があるときには、以下のような対処法を試してみましょう。
自分の症状を書き留める
生理後の心身の不調への対処法として、症状日誌をつけることが有効です。日々の症状や気分の変動、身体の不調などを記録することで、自分の症状が出るパターンを知ることができます。
また、症状が生理周期に伴って出現しているのか、それとも他の原因が影響しているのかも把握できるでしょう。
生理前後だけに特定の症状が表れている場合、それを知っておくことで「この時期を乗り越えれば楽になる」とポジティブに考えられるようになります。また、症状日誌は病院を受診した際に医師の診断にも役立ちます。[4]
自分の症状を客観的に見ることで、生理前後の情緒不安定に対処しやすくなるでしょう。
毎日の食生活に気を付ける
生理後症候群の症状を軽減するためには、毎日の食生活を見直すことも大切です。とくに、貧血が関係していることもあるため、鉄分を豊富に含む食事を心がけましょう。
実は、20~40代女性の約65%がかくれ貧血であるといわれています。この原因として、栄養不足やダイエットによるものがあります。[5]
赤身の肉や魚、豆類、緑黄色野菜など、鉄分の多い食材を積極的に摂取することで、貧血の予防と改善につながるでしょう。
また、カフェインやアルコールの摂取は生理後の不調に影響することがあり、生理前後では摂取を控えたほうがよいといわれています。[9]
貧血を予防、改善するために、日々の食事習慣を見直しましょう。
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薬による治療
生理後の情緒不安定が、PMSのような女性ホルモンの変動によるものであるときは、ホルモンバランスを調整する薬が有効です。場合によっては、漢方薬が処方されることもあります。
ただし、生理後症候群の原因の多くははっきりしないことが多く、確立された治療法はありません。医療機関では、症状に応じた対症療法がおこなわれます。
症状に応じて、適切に薬を使うことが推奨されています。[4]
生理周期に関係なく症状がある場合は要注意
情緒不安定な症状が、生理周期に関わらず続いている場合は、こころの病気の可能性があります。
女性は、男性に比べてうつ病になりやすいといわれています。実際、全年齢において女性のうつ病患者数は男性を上回っているのです。[10]これは、生理に伴うホルモンの急激な変化が、脳の機能に異常をきたし、うつ病を引き起こすことがあるからです。
とくに、身体的な症状に加えて、精神的な症状が強く感じられる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
おおかみこころのクリニックでは、いつでもお待ちしております。
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まとめ
生理後に感じるうつのような症状や情緒不安定さは、生理後症候群の可能性があります。月経前症候群は広く知られていますが、生理後に、同じような症状に悩まされる女性も多いのです。
これは、月経周期に伴うホルモンの変動や貧血など、複数の原因が関係していると考えられています。対処法として、症状日誌の記録や食生活の改善、必要に応じて薬による治療があります。
ただし、月経周期に関係なく症状がある場合は、こころの病気である可能性も否定できません。
とくに、精神的な症状が強く出ているときは、早めに医療機関を受診しましょう。
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参考文献
[1]月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)|日本産科婦人科学会
https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13
[2]月経について|働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/menstruation.html
[3]MDQス コアによる思春期女子の月経随伴症状に関する検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsma1939/68/3/68_3_155/_pdf/-char/ja
[4]月経前症候群(PMS)|女性の健康推進室 ヘルスケアラボ
https://w-health.jp/monthly/pms/
[5]貧血・かくれ貧血|働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/anemia.html
[6]過多月経|日本女性心身医学会
https://www.jspog.com/general/details_68.html
[7](2)過多月経への対応|日本産婦人科医会
https://www.jaog.or.jp/note/%ef%bc%882%ef%bc%89%e9%81%8e%e5%a4%9a%e6%9c%88%e7%b5%8c%e3%81%b8%e3%81%ae%e5%af%be%e5%bf%9c/
[8]過多月経/過少月経の診断と治療|第72回日本産科婦人科学会学術講演会 専攻医教育プログラム3:生殖・内分泌
https://www.congre.co.jp/jsog2020/dl/ho_09.pdf
[9]カフェイン・アルコールの影響について|働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/column-16.html
[10]女性は男性よりうつになりやすい?女性特有のうつ|働く女性の心とからだの応援サイト
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/depression.html
- この記事の執筆者
- 原田瑞季
臨床検査技師。保健学修士。在宅で医療検査の業務に関わりながら、フリーライターとして医療を中心に幅広いジャンルで執筆中。