近年、タレントや歌手、Youtuberなどの芸能人が「パニック障害」を公表して活動休止する場面を見かけることが多くなっています。
しかし、芸能人がパニック障害を患う理由を知る人は少ないのではないでしょうか。
そこで、今回はパニック障害が芸能人に多い背景、パニック障害を罹患している芸能人、パニック障害の治療が難しい理由を解説します。
パニック障害に注意すべき人の働き方や身近な人がパニック障害になった場合の対処法もご紹介するので、パニック障害への理解を深めたい場合はぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
パニック障害を罹患する確率は100人に1人
パニック障害は、動悸や呼吸困難、胸の痛みや身体の震え、息詰まり、めまいや吐き気などの身体的な症状が現れ、激しい不安に襲われる「パニック発作」が繰り返し生じる病気です。
発作が起きる特別なきっかけはなく、100人に1人の割合で引き起こされるため、誰しもが罹患する可能性があります。
パニック発作の主な原因は、脳の機能障害による内因性不安、ストレスや過労です。
強いストレスを感じると防衛反応として動悸や息苦しさなどが生じ、神経伝達物質の影響で気持ちが不安定になりやすくなり、パニック発作につながります。
発作は数分~数十分程度で落ち着くため、救急車を呼んでも病院に到着する頃には発作が治まり、身体的な精密検査をしても、結果は異常がないことがほとんどです。
そのため、自律神経失調症や過呼吸症候群、メニエール症候群などと誤って診断されるケースが少なくありません。
また、発作が繰り返される原因の一つは、再び発作が起こるのではないかと、パニック障害の病状である「予期不安」を抱えてしまうことです。
なお、パニック障害になると、逃げ場のない閉鎖的な空間や自分の意志だけでは離れにくい場所に恐怖や不安を感じる、「広場恐怖」の症状が出ることもあります。
「広場恐怖」の症状がある場合は、電車やバス、飛行機などの乗り物、美容室や映画館、人ごみなどの場所を避けるようになるのが特徴です。
生活に困ることも出てきますね💦
芸能人にパニック障害が多い背景
芸能人にパニック障害が多い理由は、仕事の特性上、一般人よりもストレスや緊張・不安を感じやすい場面に強いられることが多いためです。
パニック障害の原因と考えられる具体的な場面は、以下のとおりです。
- TVカメラや舞台の観客の前
- 長時間拘束されるロケバス
- 瞬時の判断を求められるTVの生放送収録
- ダンスなどの激しい動作をするLIVEや舞台
- 多忙なスケジュールによる睡眠不足でのTV収録やCM撮影
パニック障害になる原因は、脳の機能障害による内因性不安やストレスや過労、「予期不安」や「広場恐怖」による不安や緊張の高まりが挙げられます。
とくに芸能人は、売れっ子であれば忙しいうえに働き方が不規則になりやすいため、一般的な会社員よりもストレスや過労を抱えやすいと考えられます。
仕事内容によっては閉鎖的な空間や逃げ場のない場所に長時間いることもあるため、さらに不安を感じる人もいるでしょう。
規則正しい生活は心の健康に良いですが、お仕事によっては難しいケースもあります
パニック障害の芸能人一覧
多忙なスケジュールをこなす芸能人は、一般人よりもストレスを感じやすく、パニック障害を罹患しやすい状況です。
そんな中、パニック障害を公表して周囲の協力を仰ぎながら、活動している芸能人が多数います。
代表的な芸能人・有名人は以下のとおりです。(敬称略)
- 中川家の兄・中川 剛(お笑い芸人)
- IKKO(タレント)
- 釈由美子(女優・タレント)
- King & Princeの岩橋玄樹(アイドル)
- Sexy Zoneの松島聡(アイドル)
- KinKi Kidsの堂本剛(アイドル)
- Dragon AshのKj(降谷建志)(ミュージシャン)
- 東海オンエアのしばゆー(YouTuber)
- 元アンジュルムの室田瑞希(元アイドル)
いずれの芸能人・有名人も、臨機応変な対応が求められるTV番組やYotubeの撮影、激しいダンスを生で披露するLIVE活動を行っています。
そのため、ストレスや過労だけでなく、不安や緊張の高まりを感じやすい場面に遭遇することが多いと考えられるでしょう。
緊張する機会が多そうですよね💦
芸能人にとってパニック障害の治療が難しい理由
芸能人にとってパニック障害の治療が難しい理由は、生活リズムが不規則で長時間拘束されることが多く、治療がしづらい環境に身を置いているためです。
通常、パニック障害の治療には、抗うつ薬・抗不安薬を服薬する薬物療法、考え方や行動を少しずつ変える認知行動療法などの心理学的治療があります。
芸能人はスケジュールの都合で適切な時間に薬を服用できなかったり、緊張感から心理学的治療が難しかったりと、一般的な会社員と比べてパニック障害の治療がしづらい状況だと考えられます。
また、経済的に余裕がある芸能人や、毎日外に出る必要がないYotuberは、治療しなくても毎日の生活に支障はきたさないため、パニック障害を治さなければならない意識が低下します。
そのため、芸能人はパニック障害が治りづらく、一般人よりも症状が常態化する傾向があると考えられます。
こんな働き方の人はパニック障害に注意
忙しい日々を過ごす芸能人が罹患しやすいパニック障害ですが、一般人でもストレスや緊張を感じる生活が続くとパニック発作が起こる恐れがあります。
仕事を行う中でストレスが溜まりやすいのは、以下の状況に該当する人です。当てはまる場合は、パニック障害の症状が出ないよう気を付けましょう。
- 公共交通機関で通勤している
- 閉鎖的な場所で仕事をしている
- 常に緊張感を持っている
- 睡眠が十分でない
- 生活リズムが不規則である
また、経済的に困窮していない経営者や役員、外出が不要なリモートワーク形態で働いている人は、パニック障害を治さなければならないと感じる場面に遭遇するのが少ない状況です。そのため、パニック障害が長期化しやすいでしょう。
いろいろなお仕事があるので、業務上改善が難しい方も多いと思います💦
その場合は、仕事以外の部分でストレスを減らすのもいいでしょう!
身近な人がパニック障害になった場合の対処法
パニック障害は、身近な家族や友人など、誰しもが患う可能性のある病気のため、周りの人たちが対処法を理解しておく必要があります。
身近な人がパニック障害になった場合にとるべき対応は、以下3つです。
それぞれ詳しく説明します。
1.パニック障害を理解する
パニック障害になった人の不安な気持ちを理解できると、接し方が考慮しやすくなります。
また、慌てることがないようパニック発作の症状を把握しておきましょう。
代表的な症状は以下のとおりです。
- 心臓がドキドキする
- 汗が出る
- 身体が震える
- 息苦しい
- 胸の痛みや不快感
- 吐き気、お腹の違和感
- めまい、ふらつき
- 非現実感、自分が自分でない感じ
- 自分がコントロールできないことへの恐怖
- 死への恐怖
- しびれやうずき
- 寒気やほてり
知ることから始めましょう!
2.発作時は声をかけて背中をさする
パニック発作が起こった場合、「大丈夫」と声をかけて背中を優しくさすりましょう。
パニック発作が生じると強い不安に襲われますが、身体に優しく触れられると、不安やストレスを緩和する脳の神経伝達物質「オキシトシン」が分泌されるため、不安の解消につながります。
背中をさすって身体に触れることで、相手に安心感を与えられるでしょう。
3.外出時の付き添いは周りと協力する
逃げ場がない場所などに不安や恐怖を感じる「広場恐怖」の症状がある場合、一人での外出を避けて家族や友人などの付き添いがないと外出できないケースがあります。
しかし、自分一人だけで付き添いをこなそうとすると、疲れやストレスにつながってしまいます。
一人だけで全て付き添いするのではなく、周りの人たちと協力して交代しながら外出時の付き添いを行いましょう。
一緒にいてくれると「何かあっても大丈夫」と安心できますね!
まとめ
今回はパニック障害の概要、パニック障害の芸能人一覧をはじめ、パニック障害が芸能人に多い背景や芸能人の治療が難しい理由を解説しました。
パニック障害は、脳の機能障害による内因性不安やストレスや過労、不安や緊張の高まりが原因で生じるため、芸能人だけでなく誰しもに引き起こりうる病気です。
不規則な生活をしている場合は、パニック障害の原因となるストレスを感じやすいため、働き方だけでなく生活習慣を見直す必要があります。
また、身近な人がパニック障害になった場合は、今回ご紹介した対処法を参考にしてみてください。
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参考文献
不安障害|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_02.html
家族、友人として|パニック障害・不安障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)