双極性障害でも仕事は続けられる!無理をしないコツと向いている仕事







「どうやったら上手く仕事が続けられるんだろう」「今の仕事は自分に向いているのかな?」

このように悩んでいませんか?

双極性障害は治療をしながら仕事を続けることができる病気です。しかし、仕事を続けていくためには、服薬管理とともに自分自身と向き合うことが求められます。

双極性障害を持つ方にとって、自分に向いている仕事・向いていない仕事は何か、またその理由を知ることは大切です。

この記事の最後には「病気と向き合いながら上手く仕事を続けていくコツ」を解説しています。少しでもあなたが仕事を続けられる助けになれば幸いです。

双極性障害によって生じる仕事への影響3選

双極性障害によって生じる仕事への影響とは

 誰にでも元気な気持ちと落ち込んだ気持ちのふれ幅(感情の波)はあります。感情がいつも一定な人のほうが珍しいのです。

しかし、双極性障害の症状では、感情の波が激しすぎて社会生活に支障をきたしてしまうことが特徴としてあります。 

ここでは、双極性障害の方が仕事をする上で、どういったことに困るのか下記の3つの感情に分けて説明していきます。

➀ 双極性障害Ⅰ型【躁状態】のときにトラブルをおこす

双極性障害Ⅰ型(躁状態)のときは「最近元気だね」「仕事も絶好調じゃん」と周りにも言ってもらえるれるため、自分も病気であると気づいてないことがあります。

ここで特徴的なのが「逸脱したハイテンション」と「みなぎるやる気」です。このとき、大きな仕事や抱えきれない量の仕事を受けてしまうのです。

しかし、仕事を進めているうちに「うつ状態」に入ってしまうこともあります。その場合、仕事を完遂できず、周囲に迷惑をかけてしまうかもしれません。

躁状態では、少し気になることに対してもイライラしやすく、上司や同僚と口論になることもあります。最悪、そのまま仕事を辞めてしまうことも…

調子が良いと感じるときこそ、自分の状態を客観的に評価するようにしましょう。たとえば、自分の調子を10段階で表すとどの位置にいるのかを把握するのもおすすめです。

少し離れたところから自分を観察することで、仕事を上手く続けていきやすくなります。

② 双極性障害Ⅱ型【うつ状態】のときにミスが増えるor仕事に行けない

双極性障害Ⅱ型(うつ状態)のときには、以下のような状態がくり返されます。

  • 起床時に「仕事に行きたくない」と感じる
  • なんとか仕事に行っても、判断力や集中力に欠けミスが増える

こういった失敗の連鎖により自信を失っていき、どんどん悪循環に陥ってしまいます。

適切なタイミングで仕事を休むべきか判断し連絡することも、仕事を続けていくためには大切でしょう。

③ 躁状態とうつ状態をくり返すために職場での人間関係が悪くなる

気分の浮き沈みが激しいことが双極性障害の特徴です。

躁状態のときの攻撃性とうつ状態のときの落ち込み具合に、職場の方が対応できなくなることもあるでしょう。その結果、人間関係が少しずつ悪くなっていきます。

自分を冷静に分析することで、感情の波のふり幅を狭めることができます。

双極性障害の人に向いてる仕事・向いていない仕事

双極性障害の人に向いてる仕事・向いていない仕事とは

ここでは、双極性障害にどんな仕事が向いているのかを紹介していきます。

向いてる仕事向いていない仕事
・人との関わりが少ない
・仕事時間がいつも同じ
・体調に合わせて調整できる
・人との関わりが多い早出
・夜勤など時間に変動がある
・残業が多い

 人との関わりには予想外のことがつきものです。イレギュラーなできごとがあると、誰でも多少なりともストレスを感じてしまいます。

できるだけストレスを受けやす状況をさけるために、少人数の職場や在宅ワークなどがおすすめです。とくに在宅ワークでは自分の体調に合わせて、仕事をある程度調整できることもあります。今の職場で週に2~3日でも在宅ワークでできないか尋ねてみるのもいいでしょう。

双極性障害の方は、残業が多い仕事も向いていません。予定外のスケジュール変更や、職場で過ごす時間が長くなることで、気持ちの切り替えが難しくなります。

決まった時間に仕事を終わらせ、家でゆっくりと心を落ち着かせる時間は仕事を続けていく上でも大切です。

そのためには、残業しないためのタスク管理が必要です。真面目で人がいい方は仕事を頼まれることが多くなります。断る勇気を持ちましょう。

双極性障害の人が仕事を続けるためのコツ

双極性障害の人が仕事を続けるためのコツとは

ここでは、双極性障害の方が仕事を続けていくためのコツを紹介します。

上に挙げた4つのポイントについて、くわしく見ていきましょう。

いつでも相談できる環境を整えておく

躁状態のときは、あまり寝なくても元気が湧いてきます。

そのため、仕事における自分の限界値を把握しておく必要があります。自分自身について知ることが、病状を悪化させないカギになるのです。

近くの信頼できる人に、ふだんから自分の体調をチェックしてもらうようにしましょう。自分の体調を周囲から客観的に見てもらうことで、自分自身の体調の変化に気づくきっかけになります。

おおかみこころのクリニックはいつでもあなたの相談をお待ちしています。お気軽におこしください。

規則正しい生活を送る

規則正しい生活を送ることで、身体がストレスを感じにくくなります。

双極性障害には過眠や不眠などの睡眠に関する症状があるため、いつも同じ睡眠時間を確保できるわけではありません。

睡眠時間を確保し、翌日に疲れが残らないように気をつけましょう。生活リズムが乱れると頭痛やめまいなど、身体にも不調があらわれます。

「ここ数日、寝つきが悪い」「寝過ぎて生活に支障が出ている」といったケースでは、早めに医療機関を受診するのをおすすめします。

「まだ頑張れる!」のときに無理をしない

「今日はまだ頑張れる!」と思ったときこそ、そのエネルギーを自分の好きなことに使い、気分転換を図るようにしましょう。

双極性障害の方は、自分でも気づかない間に多くのことを考えてしまっています。その状態では、知らない間に小さなストレスが積み重なりやすいのです。

やる気に満ちあふれているときは、うつ状態から躁状態への転換時期である可能性もあります。少し用心深く行動しましょう。

1日の中に、何も考えない時間や気分転換の時間を作ることが大切です。

自分自身と向きあう

双極性障害の方は、うつ症状のためにできないことや失敗を繰り返し、自信を失っていることが多いです。

そのため、難しいことには「少しハードルを下げた状態」で挑戦し、小さな成功体験を増やせるようにしましょう。しだいに、自己肯定感が高まるきっかけになります。

比較する相手は、体調の悪いときの自分です。元気なときと比べると落ち込んでしまうため、自分の良いとこを褒めるようにしましょう。

たとえば、

  • 自分が躁状態であることに気づき、残業を引き受けなかった
  • うつ状態にも関わらず、朝起きて会社に行けた

といった日常の中での小さな気づきと成功体験を積み重ねていきましょう。

自己の肯定は自信の回復を促し、自分と向き合うための心の余裕が生まれます。そして、こういった良い循環がさらなる自己肯定感の向上を生むのです。。 

まとめ

双極性障害で仕事を続けていくためには、自分の気持ちと向き合い客観的に判断できるようになることが大切になります。

そのためには、自分に気づきをくれる人が必要です。近くに協力してくれる人がいるのであれば、ぜひ協力をお願いしてみましょう。

おおかみこころのクリニックは、いつでもあなたの相談をお待ちしています。

仕事で辛かったこと、自分を褒めてあげたいことなど、なんでも構いません。わたしたちにあなたのお話を聞かせてくださいね。

参考サイト

e-ヘルスネット|双極性障害
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-078.html

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター|こころの情報サイト|双極性障害(躁うつ病)https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=RM3UirqngPV6bFW0

厚生労働省|私が双極性障害になったときhttps://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_bipolar_sub1.html

厚生労働省|病気に勝とうとは思わない。引き分けに持ちこめればいいhttps://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/movie/c/exp_06.html

参考文献

朝田 隆/中島 直/堀田英樹.精神疾患の理解と精神科作業療法.中央法規出版株式会社,2006年

厚生労働省|改 休業した労働者の職場復帰支援の手引きhttps://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf

厚生労働省|うつ病の認知療法・認知行動療法(患者さんのための資料)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/04.pdf

この記事の執筆者
柚木ハル
作業療法士。精神科作業療法士として10年の臨床経験を生かし、執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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