気分の浮き沈みが激しいとしんどい|双極性障害とうつとの違い

「元気なときの反動で寝込むほど気分が落ちるときがある」「気分の浮き沈みの激しさを周囲の人に心配されたことがある」

このような方はいませんか?

気持ちの変化があまりにも激しいと、自分自身がおかしくなってしまったかのように心配になりますよね。ただ、このときの気分の浮き沈みの激しさは、性格ではなく病気の症状によるものである可能性が高いのです。その中でも「双極性障害」が原因となって、気持ちの不安定さを引き起こしていることが多いとされています。

この記事では、健康的な気分の波やうつ病との違い、双極性障害以外に考えられる疾患についても解説しています。最後まで読んで気持ちの浮き沈みと上手く付き合っていけるようになりましょう!

また、同じ内容の動画も用意しています。動画の方が分かりやすい方は下記からご覧ください。

気分の浮き沈みが激しいのは双極性障害が原因かも

気分の浮き沈みが激しいのは双極性障害が原因かも

「調子がよいときと落ち込んでいるときの差が激しくてしんどい…」

自分でもコントロールできない気分の波に悩まされている方は、双極性障害という病気が原因かもしれません。

以下では、双極性障害の概要や症状について解説していきます。

双極性障害とは

双極性障害とは、気分が高揚する「躁状態」と気分や活動性が低下する「うつ状態」が繰り返される病気です。躁状態とうつ状態が入れ替わる間隔は人によりさまざまですが、躁状態よりもうつ状態が長続きする傾向があります。

それぞれの持続期間は以下の通りです。

  • 軽躁状態:数日程度
  • 躁状態:1週間以上
  • うつ状態:2週間以上

躁状態のときは調子がよく感じられるため、病気の自覚がありません。そのため、うつ状態のときに受診し「うつ病」と診断されても、治療がうまく進まないことがあります。

躁状態を自覚するのは難しいため、自分に気分の波がないか周りの人に観察してもらいましょう。「躁状態とはどんな状態なのか」について、アンテナを張ることが大切です。

双極性障害の症状

双極性障害では、以下のような「躁状態」と「うつ状態」を繰り返します。

躁状態の症状

  • 睡眠をとらなくても元気に活動できる
  • 話したいことが溢れて止まらない
  • 次々にアイディアが浮かぶが、組み立てたり、やり遂げたりはできない
  • 「自分は偉大なことを成し遂げる」など、根拠のない自信に溢れる
  • 高額な買い物をしたり、ギャンブルに散財したりする
  • 服装や化粧が派手になる
  • 性的に奔放になる

うつ状態

  • 何をしても楽しめない
  • いつもより早く目が覚める、眠れない
  • イライラする、焦燥感がある
  • 罪悪感があり、自分を責めてしまう
  • 自分が価値のない人間に思える
  • 死にたい気持ちになる

躁状態とうつ状態の周期についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。

双極性障害の気分の浮き沈みによるしんどさ

双極性障害の気分の浮き沈みによるしんどさ

双極性障害による気分の浮き沈みは、本人にも周囲の人にもしんどさを与えます。躁状態のときは本人は「絶好調」と感じていますが、無謀な行動に周囲の人が疲弊してしまうのです。躁状態をくり返すうちに「夫婦関係の悪化」「失業」「破産」といった大きな社会的損失につながる可能性もあります。

一方、うつ状態のときは気分が落ちこんだり、躁状態の自分への自己嫌悪からしんどさが大きくなってしまいます。社会的に孤立したり自分を責めてしまう前に治療を開始しましょう。

おおかみこころのクリニックでは、24時間予約を受け付けています。ささいな悩みでも構いません。ぜひあなたのお話を聞かせてくださいね。

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健康な気分の波と双極性障害の気分の浮き沈みの違い

健康な気分の波と双極性障害の気分の浮き沈みの違い

気分の波は、誰もが持つ健康的な心の動きです。幸せで気分が高揚するときもあれば、悲しくて落ち込んでしまうときもあります。それはごく自然なこころの反応であり病気ではありません。

一方、双極性障害の気分の浮き沈みは、周りの人が「様子が変だ」と気づくほど大きなものです。会社で無謀な企画を次々に提案したり、取引先の人に夜中に電話をかけたりしてしまい、社会的信頼を失うこともあります。また、家計を気にせず高額な買い物をしたり性的に奔放になったりして、家族を傷つけることもあるでしょう。

気分の波がいきすぎ、大切なのを失う可能性があるのが双極性障害の特徴です。

うつ病と双極性障害の気分の浮き沈みの違い

うつ病と双極性障害の気分の浮き沈みの違い

うつ病では、2週間以上続く気力の低下や無価値観などの気分の落ち込みがみられます。何をしても晴れない憂うつな気分が長期間続くのが特徴です。一方、双極性障害では、一定期間のうつ状態が終わると、調子がよく感じられる躁状態があらわれます。躁状態は、現実離れした高揚感があるため、周囲の人も異変に気づきやすいです。

しかし、「軽躁状態」は、自他ともに気づくのが難しい傾向があります。身体が軽くなり、活動性や自己肯定感が高まるため「調子が戻ってきた!」と感じられ、安心してしまう傾向があるのです。

ただ、この軽躁状態は長続きしません。数日程度で、再び「うつ状態」に戻ってしまいます。現在うつ病で苦しんでいる方も、周期的に数日程度、うつ状態が改善する方は、そのサインを見逃さず、診察時に医師に伝えましょう。

1日の中に気分の浮き沈みがある原因

1日の中に気分の浮き沈みがある原因

1日の中に気分の浮き沈みがあるのは、非定型うつ病の可能性があります。

従来型のうつ病や双極性障害のうつ状態では、何をしても気分が改善しません。一方、非定型うつ病では、気分の落ち込みがあっても、楽しいことや好きなことは楽しむことができます。また、1日のうちでは夕方になるにつれ、気持ちが不安定になる傾向があります。日が落ちてくるにつれ不安やイライラが高まり、具合が悪くなってしまうでしょう。

非定型うつ病の気分の浮き沈みは、周囲の人に「甘え」だと思われ、理解されづらいのが特徴なのです。

気分の浮き沈みが激しいときに双極性障害以外で考えられる疾患

気分の浮き沈みが激しいときに双極性障害以外で考えられる疾患

双極性障害以外で気分の浮き沈みの症状がある疾患は、以下のようなものがあります。

うつ病や適応障害

人前や仕事で気を張った反動で、気分の落ち込みが一気に押し寄せる場合があります。うつ病では長期にわたり気分の落ち込みが改善しないものの、適応障害では休日になると調子が戻るという変動が出ます。うつ病については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

PMS・PMDD

月経前にイライラや気分の落ち込みなどの気分の変動が出るのが特徴です。PMSについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

発達障害

ADHDやASDなどの発達障害でも、状況との相性や興味によって気分に変動がみられます。

境界性パーソナリティー障害

感情や刺激により、感情が大きく揺れ動きます。他者を巻き込んだり、衝動性が高い行動を起こしたりするため、社会的な孤立につながる疾患です。

まとめ

今回は、双極性障害を中心に、気分の浮き沈みの激しさについて解説しました。気分の浮き沈みは誰にでもある自然なものです。

躁状態は自覚しにくいため、周囲の人にも気分の浮き沈みを観察してもらい、異変を感じたら声をかけてもらいましょう。双極性障害以外にも気分の浮き沈みが激しくなる疾患があるため、しんどさや社会的な影響を感じているときは早めに医療機関を受診してください。

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執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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