双極性障害は薬を飲まないとどうなるのか|躁鬱(躁うつ)と付き合うポイント

こころちゃん
こころちゃん

先生、躁うつの薬ってずーっと飲まないといけないの?

浅田先生
浅田先生

再発率がとても高いから症状を見ながら調整していく必要があるんだよ。

「最近、調子がいいから薬をやめたい」「いつまで薬を飲み続けないといけないの?」と思ったことはないでしょうか。

双極性障害の治療は長期に及ぶため、薬を飲むのがつらくなることもあるでしょう。

双極性障害は薬を飲みながら、気分の波を落ち着かせ、コントロールを続けることが大切です。

そのうえで薬を飲み続ける必要性、飲まないとどうなるのかを知っておくことは、再発予防にも役立ちます。

ぜひ最後までご覧ください。

双極性障害では薬を飲まないとどうなるの?

双極性障害では薬を飲まないとどうなるの?

双極性障害は自己判断で薬をやめてしまうと、また躁とうつが、くり返しあらわれます

薬を飲まない状態が続くと、再発する周期が短くなり、1年に何度も再発してしまいます。

その結果、双極性障害が重症化し、最悪の場合、自分の命を絶ってしまうケースもあるのです。

双極性障害の治療は、気分の異常な波を落ち着かせるだけではなく、再発しないように長期間にわたりコントロールするのが目標です。

薬を飲んでいるからこそ、気分の落ち込みや、ハイテンションな状態がコントロールできているのです。

「普通に生活できるのは、頑張ってしっかり薬を飲んでいるから。」と薬を飲み続けている自分を褒めてあげましょう。

躁とうつが現れる周期が気になるかたは、以下の記事も参考にしてくださいね。

双極性障害で薬を飲みたくないと思う5つの理由

双極性障害で薬を飲みたくないと思う5つの理由

双極性障害で薬を飲みたくないという理由は人それぞれです。

上記にあげた5つの理由について、くわしく見ていきましょう。

調子がよくなったと感じるから

「なんだか調子がいい」「気分が上向きになってきた」と感じると、もう薬は必要ないと勝手に自己判断してしまう人もいるでしょう。

「調子がよくても薬を飲み続けないといけない」と理解していないと、途中で薬をやめてしまう原因になります。

また、躁状態の場合はテンションが上がった状態を調子がいいと認識しているため、健康な時のちょうどいい状態がわかりません。

周りから見ると、常にテンションが高く心配されるレベルであるのに対し、本人は「薬はいらない!無敵!」という気分になってしまっているのです。

副作用がつらいから

双極性障害の薬を飲み続けると、効果を感じると同時に手の震えやのどの渇きなど、不快な症状を自覚することもあります。

双極性障害の薬はその人の症状に合わせ、数種類の薬を組み合わせて使用するため、副作用の出かたも人それぞれです。

薬によっては、副作用で太りやすくなってしまうものもあります。

日々変わっていく容姿の変化に悩み「薬を飲みたくない」「もう薬をやめたい」と感じることもあるのです。

体への負担が気になるから

長期間、薬を飲み続けることに対し「体に悪そう」「こんなに薬を飲んでも大丈夫?」と不安や抵抗を感じてしまいます。

特に持病の薬を飲んでいると「双極性障害の薬を飲むことで持病に悪い影響が出るのではないか」と、心配になる方もいるでしょう。

実際、双極性障害の薬によっては、定期的な採血が必要なものもあります。

薬の効果は十分か、薬が効きすぎて体に影響を及ぼさないかを、採血で調べるのです。

女性の場合、妊娠や授乳に影響を及ぼす薬もあるため「薬を飲み続けたくない」と感じる方もいるのです。

周囲の人に病気を知られたくないから

双極性障害の薬は職場でも必然的に飲まなくてはなりません。

周囲に病気を公表していない場合、興味本位で「何の薬を飲んでいるの?」と同僚に聞かれたときにはドキッとしてしまいますよね。

周囲の人に双極性障害だと知られると、病気への偏見、就職やキャリア、人間関係にも悪い影響がでてしまうと考えてしまいます。

周囲に知られたくないがために、薬を飲むタイミングを逃したり、ついうっかり薬を飲み忘れたりしてしまうこともあるのです。

薬の効果を感じないから

双極性障害では、病気の状態で薬の処方も変わります。

薬によっては、効果があらわれるまでに時間を要するものもあります。

「飲み続けていても効果を感じない」「薬を変えても効果がない」と感じることもあるでしょう。

薬の相性や、効果の現れかたは人によって違います。

その結果、本人が期待する効果を感じられないと「薬を飲む意味がない」と思い、勝手に飲むのをやめてしまうのです。

双極性障害で使われる薬(炭酸リチウム・デパケン)について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

双極性障害とうまく付き合う生活の3つのポイント

双極性障害とうまく付き合う生活の3つのポイント

双極性障害の治療目標は、異常な気分の波を抑え、再発を起こさないことです。

そのためには毎日の服薬はもちろん、双極性障害と長期間付き合っていくにはどうすればいいかを考えなければなりません。

ここでは、双極性障害とうまく付き合う3つのポイントをご紹介します。

生活リズムを整える

双極性障害は睡眠時間が短くなったり、一晩徹夜するだけでも、急に躁状態になることがあります。

睡眠をしっかりとると自然と体内のリズムが整うため、双極性障害の再発・悪化予防には良質な睡眠が欠かせません

残業があり生活が不規則になりやすい方は、仕事量を減らしたり、仕事の進め方を上司に相談したりして、疲れをためないように心がけましょう。

「自分でもどうしてよいかわからない」というかたは、一度主治医に相談してみるのもよいでしょう。

24時間予約受付中

今の気分を客観的に知る

うつや躁状態がひどくなると、自分が病気だということを見失います。

「今日はいつもと違うな」と気づいたら、自分の今の気分をメモしておきましょう。

自分を客観的に知ることができると、感情の波があらわれる前兆に気づけるようになります。

気分の変化以外に、睡眠時間や薬の飲み忘れの有無なども記録しておくと、後から振り返ることができるのでおすすめです。

ストレスと上手に付き合う

双極性障害は、人との付き合い方にストレスを感じると、調子を崩しやすくなります

例えば、大勢が集まる飲み会なども、双極性障害の方にとっては過度な刺激になるため、再発のきっかけになってしまうのです。

人間関係でストレスを感じたら、距離を取ったり、信頼できる人に相談したりして、ストレスを長引かせないようにしましょう。

仕事が忙しくなると、余裕がなくなったり、頑張りすぎたりして、再発してしまうパターンもあります。

仕事の優先順位を決めたり、周囲に相談したりして一人で抱え込まないようにしながらストレスをためないように心がけましょう。

双極性障害で「薬を飲みたくない!」と思ったらまずは主治医に相談を

双極性障害で「薬を飲みたくない!」と思ったらまずは主治医に相談を

双極性障害は糖尿病や、高血圧と同じで生涯コントロールが必要な病気です。

病気との付き合いも長くなるため、時にはすべてが嫌になってしまうこともあるでしょう。

しかし、あきらめずに通院を続け、薬を飲み、正しい生活習慣をこころがければ、コントロールは十分に可能なのです。

「副作用がつらい」「体の負担が気になる」「効果を感じない」という悩みは誰にでも生じます。

そのようなときは、勝手に薬をやめるのではなく、まずは一度主治医に相談してみましょう。

おおかみこころのクリニックでは、飲んでいるお薬についてのご相談もお受けしています。小さなお悩みでもかまいませんので、ぜひ一度ご連絡くださいね。

24時間予約受付中

(参考サイト)

加藤忠史先生に「双極性障害」を訊く |公益社団法人 日本精神神経学会

https://www.jspn.or.jp/modules/forpublic/index.php?content_id=27

(参考文献)

日本うつ病学会治療ガイドライン  Ⅰ.双極性障害 2020 |日本うつ病学会

https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline_sokyoku2020.pdf

双極性障害(躁うつ病)とつきあうために |2021年3月16日 日本うつ病学会 双極性障害委員会 

https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/gakkai/shiryo/data/bd_kaisetsu_ver10-20210324.pdf

この記事の執筆者
小久保有希
医療ライター。看護師経験15年。4年間精神科に勤務し、病棟・訪問看護に携わる。相手の気持ちに寄り添う記事が得意。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

関連記事一覧

予約方法