躁鬱(躁うつ)の周期はどのくらい?切り替わりのきっかけと短いときの対策




「最近、躁うつの周期が短いけど…受診したほうがいいのかな?」「受診したところで、なにか変わるのかな?」

と悩んでいませんか?

躁うつの周期について人と話す機会なんて、なかなかありませんよね。そこで今回の記事では、躁うつの周期について説明していきます。

躁うつの周期が短いと、自分自身が疲れていきます。うまく躁うつの周期と付き合っていくために、この記事の最後には「周期を長くするために気をつけること」を紹介しています。ぜひ、最後までお付き合いいただけますと幸いです。

また、同じ内容の動画も用意しています。動画の方が分かりやすい方は下記からご覧ください。

浅田先生
浅田先生

音声で学びたい方のために、動画を用意してます!

躁うつの周期はどのくらい?【Ⅰ型は1年・Ⅱ型は3ヶ月の真相】

躁うつの周期はどのくらい?【Ⅰ型は1年・Ⅱ型は3ヶ月の真相】

躁うつの周期は、治療経過や病状、性格や生活環境などによって一人ひとり違います。「双極性Ⅰ型の人は1年周期」や「30代の双極性Ⅱ型の人は3ヶ月の周期で入れ替わる」などの決まりはありません。

浅田先生
浅田先生

「最近、躁うつの周期が短くなっている気がする大丈夫かな?」と思うのではなく、「今回は短い周期なんだな」くらいで考えてみるのもおすすめです!

不安に思うことがあるときは、自分の中で悩み続けるのではなく、信頼できる専門家に相談すると良いでしょう。悩み解決の糸口が見つかるかもしれません。

躁うつの周期にはどんな周期がある?

躁うつの周期にはどんな周期がある

双極性障害は、躁状態・うつ状態をくり返すことが特徴としてあります。

その他にも、混合状態や急速交換型気分障害などがあり、この2つは躁とうつの周期の移り変わりが激しく心身ともにつかれやすいと言われています。では、どのような状況や経過でなりやすいのかも解説していきます。

躁状態・軽躁状態・うつ状態

躁状態・軽躁状態・うつ状態

双極性障害には、躁状態とうつ状態をくり返す双極性Ⅰ型と、軽躁状態とうつ状態をくり返す双極性Ⅱ型があります。

双極性障害と診断された方の多くは、双極性Ⅱ型が多く「最近なんだか調子がいいな♪」と本人が気づかないパターンが多いです。病状に気づいていないため、双極性障害の約60%の方がうつ状態になったときに体調不良に気づくと言われています。

躁とうつが同時におこる|混合状態

混合状態は、躁状態とうつ状態が同時におきている状態をいいます。この状態は、躁とうつの移行期に見られることが多いです。

躁とうつが同時におきているため、躁うつの周期が数時間のうちに入れ替わることもあります。また、躁状態では通常気分の高揚などがみられますが、混合状態の場合の躁状態では、不機嫌で興奮や怒りの状態がみられることが多いです。

短期間で周期が変わる|急速交換型気分障害

急速交換型気分障害では、躁とうつのエピソードが1年に4回以上くり返すと言われています。躁状態とうつ状態が短期間で変わるため、生活や対人関係に大きな支障をきたすことが多くなります。抗うつ薬やアルコール、甲状腺機能低下などで影響するとされています。

躁うつの周期が切り替わるきっかけは?

躁うつの周期が切り替わるきっかけは

どんなきっかけで躁うつの周期が切り替わるのか…その答えは下記の2つです。

  • 必ず「コレ!」というきっかけはない
  • 躁うつの周期は一定ではない

それぞれについて解説していきます。

必ず「コレ!」というきっかけはない

毎回同じできごとで躁とうつが切り替わるわけではありません。前回、躁うつが切り替わるときに何かエピソードがあったとしても、次に同じエピソードがあるまで躁うつが切り替わらない…という訳ではありません。

また、同じエピソードや似たようなエピソードがあったとしても、自分自身がその時そのエピソードをどのくらい負担に感じるかによって、メンタルに影響がでないこともあります。

その時の生活状況や仕事の状況によっても、心身のストレスは変わってきます。

躁うつの周期は一定ではない

躁うつの周期は一定ではない

躁うつの周期は一定ではありません。例えば、いままでは躁うつの周期が3ヶ月間だったのが、次は1年間になることもあります。

また、躁状態が1ヶ月続いたから次はうつ状態が1ヶ月続くという訳でもありません。躁状態が1ヶ月続いた後に、うつ状態が5ヶ月続くこともあります。

これは、あくまで例えば…という話なので、一人ひとり違い、みんなが同じ周期ではありません。

躁うつの周期の関係で働き続けることがツラく、仕事を続けられるのか悩まれる方も多いです。ほんの少しポイントをおさえることで、双極性障害と診断されても仕事が続けやすくなるため、下記の記事を参考にされてください。

躁うつの周期を長くするにはどんなことに気をつける?

躁うつの周期が短いと心身ともに負担がかかります。正しい治療をおこない、躁うつの周期を長くしましょう。

そのために気を付けるべきことについて解説していきます。

薬を飲み続ける

躁うつの周期を長くして気分の波を穏やかにするためには、正しい薬を飲み続ける必要があります。

躁状態のときとうつ状態のとき…そのときのあなた自身に合った服薬管理が大切です。ちょっと調子がよくなったときに、自己判断で薬を飲むのをやめることは大変危険です。必ず主治医の先生としっかり相談して一緒に治療をしていきましょう。

自己判断で薬を飲まないとどうなるのか気になる方は、下記の記事を参考にしてくださいね。

生活リズムを整える

生活リズム、主に睡眠リズムと躁うつの周期には深い関係があります。双極性障害では、ストレスとなるできごとがあると症状が悪化するといわれます。ストレスとなるエピソードと、睡眠リズムの関係がどのように病状に影響するのか説明していきます。

例えば、このような経過をたどります。

  1. 「大切な人との別れ」というエピソードがある
  2. 大切な人との別れから眠れなくなり生活リズムが乱れる
  3. 生活リズムが乱れて病状が悪化する

このように生活リズムの乱れが、双極性障害の経過に影響を与えるという仮説があります。欧米では、この仮説をもとに「どんなときでも生活リズムを整える」ことが治療の一つとして行われています。それほど、生活リズムを整えることは大切なのです。

良くなっているときに無理をしない

双極性障害では、うつ状態から回復しているときに無理をしないことが大切です。少し体調が回復してくると「もう少し頑張れそうだな」と頑張りたくなりますが、ここで頑張りすぎてしまうと、気づかないうちにストレスがかかってしまいます。

「あとちょっと頑張れそう」をやめる勇気をもちましょう。

また、自分でどこまで頑張っていいのか分からない場合は、あなたのことをよく知っている人に相談することもおすすめです。

とくに相談相手が専門家の場合は、的確なアドバイスをくれるでしょう。

自分の中に不安を溜めない

悩みは自分の中に溜め込まずに、誰かに相談しましょう。ストレスを感じて眠れないときなど、誰かに相談してストレスの発散をすることも大切になります。

特に、専門家に相談すると、あなた自身と向き合うきっかけをくれることもあります。客観的に見るためにも、周囲の人や専門家に相談しましょう。

躁うつの周期|まとめ

この記事では、どんな躁うつの周期が数時間や数週間で変わることはあるのか、躁うつの周期を長くしていくために気をつけるポイントについて紹介していきました。

躁うつの周期は一人ひとりの個人差があり、症状や年齢によって決まりやルールなどはありません。心身への負担を減らすためにも、躁うつの周期を長くすることが大切になります。そのためには、あなたに合った治療と服薬管理が必要です。

信頼できる主治医をみつけ、相談しやすい環境を整えることからはじめましょう。穏やかな日常生活を送るための第一歩になります。

参考サイト

e-ヘルスネット|双極性障害
双極性障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

厚生労働省|こころもメンテしよう
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/helpnote/mood.html

こころの情報サイト|双極性障害(躁うつ病)
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=RM3UirqngPV6bFW0

NCNP病院 国立精神・神経研究センター|双極性障害(そううつ病)
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease02.html

参考文献

小林 夏子/精神機能作業療法学.株式会社 医学書院.2008年

上野武治/標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 精神医学.株式会社 医学書院.2001年

この記事の執筆者
柚木ハル
作業療法士。精神科作業療法士として16年の臨床経験を生かし、執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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