強迫性障害の人は頭がいい?強迫性障害の天才有名人や脳内について解説







「強迫性障害の人は頭がいい?」

「強迫性障害には天才が多い?」

強迫性障害は不安やこだわりが強く、日常生活に影響が出てしまう病気です。世界保健機関の報告では、生活上の機能障害を引き起こす10大疾患の一つとされています。

強迫性障害の人は頭がいいと言われていますが、一体なぜなのでしょうか。

今回は強迫性障害の人は頭がいいのか強迫性障害の天才有名人について解説していきます。

強迫性障害の特性を活かして得意なことが増やせるように、ぜひ参考にしてみてください。

強迫性障害の人は頭がいいと言われる3つの理由

強迫性障害の人は頭がいいと言われる理由は、おもに3つあります。

強迫性障害の特性が活かされているため、頭がいいと言われています。

それぞれ見ていきましょう。

天才が多い

強迫性障害には「天才」と言われる人が多いです。

後ほど紹介する芸術家の草間彌生、発明家の二コラ・テスラなども強迫性障害でしたが、多くの功績を残してきました。

「こだわりが強い」「几帳面で自分に厳しい」という強迫性障害の特性が、それぞれの分野での貢献につながったのでしょう

こだわりが強い

頭がいいと言われる理由は、強迫性障害の方はこだわりが強い傾向があるからです。

こだわりの強い人は、自分の信念や粘り強さを持っているのが特徴です。好きな分野に対しては、自分が納得できるまでやり続け、努力を惜しみません。

したがって完成度の高い作品を作れたり、好きな分野で活躍できたりします

こだわりが強い人は、妥協せずに取り組んでいるので、頭がいいと言われるのでしょう。

几帳面

几帳面であることも、頭がいいと言われるのにつながるでしょう。

几帳面で真面目な人は、ルールや手順に従って行動することに安心感を覚えます。また、細かい部分にも問題がないか確かめるので、質の高いものを作り上げることが可能です。

頭がいいと言われる理由には、最後までやり遂げる真面目さがあるのです。

強迫性障害の有名人5選

強迫性障害の有名人を5人紹介します。

こころちゃん
こころちゃん

彼らの中には天才と言われる人たちもいます。
一人一人見ていきましょう。

草間彌生

草間彌生は日本の芸術家で、90歳を超えても精力的に芸術活動を続けています。作品は水玉や網の模様が反復されていて、ポップでカラフルなのが特徴です。

草間彌生は強迫性障害と統合失調症を患っていると、本人自ら語っています。

作品のトレードマークでもある水玉は、幻覚や幻聴から逃れるために絵にしたそうです。

強迫性障害の特性であるこだわりの強さが、素晴らしい作品をつくるのに貢献しているのでしょう。

グレン・グールド

グレン・グールドはカナダのピアニストです。32歳でコンサート活動を止め、その後はレコードだけを発表しました。

症状には不潔恐怖、儀式行為があったと言われています。

夏でも手袋をしており、ファンから握手を求められても断っていたそうです。また、レコーディングのときには必ずトラの皮を持ってきて、椅子に敷いていたというエピソードもあります。

やらねばならないことのリストを作成し、譜面の研究や音楽を聴くことをリストの中に入れていました。[1]リストの中身を実際にやり遂げていたのは、几帳面で完璧主義の特性があったからでしょう。

デビッド・ベッカム

デビッド・ベッカムはイングランドの元サッカー選手です。

自身が強迫性障害であると告白し、物の配置へのこだわりがあります。たとえば、缶を冷蔵庫に入れる時に一直線に置かないと気が済まないそうです。

ホテルに泊まってリラックスする前には、本やパンフレットを引き出しにしまわないと嫌だと述べています。[2]

几帳面であるため、サッカーの練習やトレーニングにも一生懸命励み、サッカー界にも大きな功績を残したのでしょう。

二コラ・テスラ

二コラ・テスラはオーストリア帝国の発明家です。研究や発明は多岐にわたっていて、中でも電気技術の発展に大きな影響を与えました。

症状には不潔恐怖、数字へのこだわりがありました。

「3」という数字にこだわりを持っていて、プールで泳ぐときにはプールのレーンを33往復泳いでからでないと、プールから出られなかったそうです。

さらに、亡くなるまでの間はニューヨーカーホテルの33階のスイート3327号室に滞在していました。ホテルの階数・部屋番号のどちらも3で割り切れる数字です。

二コラ・テスラはだわりの強さを活かして、偉大な業績を収めました

ハワード・ヒューズ

ハワード・ヒューズはアメリカの実業家です。20世紀を代表する億万長者として知られ、「地球上の富の半分を持つ男」と評価されました。

墜落事故による脳への損傷から、強迫性障害になったのではないかと言われています。

不潔恐怖の症状があり、極度に細菌を恐れるようになりました。

ドアノブは除菌されたハンカチで覆わないと触れなかったり、手を洗い始めると肌が擦り切れて血が出るまで止められなくなってしまいます。

年をとるにつれて症状が悪化していましたが、映画界や航空界など多岐にわたって活躍しました

強迫性障害になるのは母親が原因か

強迫性障害のはっきりとした原因はまだ分かっていません。

ただ要因は一つだけではなく、いくつもの要因が関連している可能性があると示唆されています。[3]

要因には、環境的要因・心理的要因・生理的要因の3つがあります。

環境的要因:ひきこもり、家庭内暴力など

心理的要因:ストレス、性格・気質など

生理的要因:遺伝、脳のはたらきなど

たとえば母親や父親など家族に強迫性障害の人がいる場合、子どもに強迫的な傾向が見られる割合は0~20%と言われています。[3]

また、強迫性障害の人の母親は過保護的であるという研究がありました。[4]

過保護な母親と接しなければならないというストレスも起こってしまうため、強迫性障害になるリスクは高まってしまうかもしれません。

強迫性障害の人の脳内

強迫性障害の人の脳内を調べた研究が、放射線医学総合研究所によっておこなわれています。[5]

強迫性障害の患者10人と健常者18人に、放射性薬剤の[11C]DASBを使ったPET検査によって脳内のセロトニントランスポーターの量を測定し、脳内のさまざまな部位での結合能を比較検討しました。

セロトニントランスポーターとは、神経細胞から放出されたセロトニンを細胞内に取り込むタンパク質のことです。

強迫性障害群では健常者群に比べて、大脳の一領域である島皮質(とうひしつ)のセロトニントランスポーターが30%減少していることが分かりました。

結果として、島皮質でのセロトニン神経機能が、強迫性障害の不安症状に重要な役割を担っていると示唆されました。

まとめ

今回は強迫性障害の人は頭がいいのか、強迫性障害の天才有名人について解説してきました。

強迫性障害の人が頭がいいと言われる理由は、几帳面でこだわりが強いなどの特性が活かされているからです。

草間彌生や二コラ・テスラも強迫性障害の特性を活かしていたからこそ、多くの業績を残してます。

こだわりの強さなどの特性をポジティブに捉えて、好きなこと・得意なことで貢献できると、不安な気持ちも落ち着いてくるでしょう。

一人では難しいこともあるので、専門の医療機関と相談しながら好きなことに打ち込んでくださいね。

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参考文献

[1]【1/26更新】印南敦史の「クラシック音楽の穴」 – ハイレゾ音源配信サイト【e-onkyo music】

https://www.e-onkyo.com/news/3601

[2]セレブの間では強迫性障害がステータスに?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS

https://moviewalker.jp/news/article/68825/

[3]こころのクスリBOOKS よくわかる強迫症

https://amzn.asia/d/i6fFj68

[4]Obsessive-Compulsive Disorder: a Questionnaire Survey of a Self-Help Group – R. Julian Hafner, 1988

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/002076408803400409

[5]強迫性障害患者の脳内ではセロトニンを神経細胞内に取り込むタンパク質が減少する – 量子科学技術研究開発機構

https://www.qst.go.jp/site/qms/1675.html

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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