なんの前触れもなく感じる息苦しさ。パニック障害は、息苦しさのほかに、動悸や汗、吐き気などの症状とともに強い不安に襲われます。
突然の息苦しさはパニック発作の一つであり、うまく対処できなければ、さらに強い恐怖を感じる恐れがあるのです。
この記事では、パニック障害で息苦しさを感じたときの対処法を解説します。たまに急に息苦しくなり、どうすればいいのかわからず不安な方は、ぜひ読んでみてください。
この記事がパニック障害の理解につながり、あなたの悩みや不安がなくなる手助けができれば幸いです。
下記の記事では、パニック障害の治し方について解説しています。気になる方は合わせてご覧ください。
パニック障害で息苦しいときの5つの対処法
息苦しさをはじめとする”パニック発作”はさらなる恐怖を生み、日常行動に支障をきたします。ここではパニック発作を防ぐべく、息苦しさを感じたときの対処法を5つ紹介します。
1.吸うより「吐く」を意識する
パニック障害で息が苦しいと感じると、息を吸おうとし過ぎて、過換気症候群になることがあります。いわゆる、過呼吸になります。[1]
過呼吸で問題になるのは「息を吸い過ぎることよりも、吐き過ぎる」ことです。
というのも、息を吐き過ぎると、身体の二酸化炭素が失われるためです。次第に、身体がアルカリ性となり、しびれやめまいなどの症状があらわれることもあります。[2]
息苦しさを感じたら、ゆっくり「吐く」ことの意識が大切です。
吸うより「吐く」を意識することを覚えておきましょう
2.意識をほかに向ける
息苦しさを感じたときは、アメをなめたり、好きな匂いを嗅いだりして、意識をほかに向けましょう。
息苦しさを自覚したときの不安感が、その息苦しさを悪化させてしまうからです。
ただし、急に息苦しくなるのがパニック発作の症状の一つです。いつも冷静に対応できるとは限りません。パニック発作はふつう数分以内に消失するため、「いずれ症状はなくなる」と知っておくと、少しは落ち着くやすくなるでしょう[2]
アメを持ち歩いておくといいですね♪
3.うつ伏せ・前かがみの姿勢を取る
息苦しさを感じたら、うつ伏せもしくは前かがみの姿勢を取りましょう。
この姿勢は、腹式呼吸をしやすいためです。[3]実際には、以下の方法を試してみてください。
<腹式呼吸>
➀ 両手をお腹に当て、背中を少し丸めます
② お腹がへこむまで、口から空気を吐きます
③ お腹が膨らむまで、鼻からゆっくり息を吸います(4秒間くらい)
④ お腹がへこむまで、口からゆっくり息を吐きます(8秒間くらい)
このとき、息を吐き過ぎて苦しくならないように注意してください。このとき「4秒吸って8秒で吐く」といった規則的な呼吸が出来ると、息苦しさが軽くなるでしょう。[4]
4.窓を開け空気を入れる
部屋の窓を開けたり、ドアを開けたりして空気を入れ替えると、息苦しさが落ち着く可能性があります。気分転換となり、不安が軽くなるためです。
息苦しさを感じたときは、自分に合った方法で気をまぎらわせ、リフレッシュしてください。
急な息苦しさは、発作への不安からくる場合もあるため、電車やバスを利用するときは出口の近くにいましょう。ほかにも、学校の授業では教室のうしろに座り「いつでも出られる」と思えると、安心でき息苦しさを感じにくくなります。
あなたの安心できる環境を作っておくといいでしょう
5.頓服薬を飲む
急な息苦しさを感じたとき、頓服薬を飲むと症状を抑えられます。不安や緊張を和らげる効果がある抗不安薬(主にベンゾジアゼピン系)が有効です。[5]
いつ、どこで息苦しさを感じるかわからないため、頓服薬を常に持っておくとよいでしょう。ただし、薬に頼り過ぎると、今度は薬が無いことに不安を感じるようになってしまいます。
医師の指示に従い、頓服薬を正しく服用しましょう。
たまに急に息苦しくなる原因と対処法
たまに急に息苦しくなる原因は、パニック障害のほかに「自律神経失調症」や「心臓疾患」「呼吸器疾患」である恐れがあります。ここでは、原因別の対処法を紹介します。
自律神経の乱れで息苦しいとき
自律神経の乱れで息苦しいときは、腹式呼吸を心がけましょう。
そもそも、自律神経の乱れはストレスが要因となり、身体のあらゆるところに症状があらわれます。その症状のひとつに息苦しさがあります。
腹式呼吸は、自律神経を調整し、身体の緊張をほぐします。リラックスさせる効果があるため、先述した腹式呼吸の方法を実践してみてください。
心臓疾患で息苦しいとき
心臓疾患が原因で息苦しさを感じることがあります。以下のような病気が考えられます。
- 心筋梗塞
- 弁膜症
- 大動脈解離
- 心不全
心臓のポンプ機能が低下して、全身に十分な酸素を届けられない状態かもしれません。これらの病気は、緊急手術が必要となることも多いです。[6][7][8]
たまにくる急な息苦しさには、死に直結する病気が隠れている恐れがあります。息苦しさのほかに、胸の激痛が数十分続いたり、顔面が蒼白になったりしたときは医療機関を受診し、医師に診断してもらいましょう。[6]
早めに病院いきましょうね💦
呼吸器疾患で息苦しいとき
呼吸器疾患が原因で息苦しさを感じることもあります。以下のような疾患が考えられます。
- 肺がん
- COPD
- 気胸
- 気管支喘息
これらの疾患は、自力では治せません。心臓疾患と同じように、重病が隠れている恐れがあります。息苦しさをはじめ、呼吸時の胸の痛みや咳があるなど気になる症状がある方は受診しましょう。[9]
パニック障害の息苦しさで受診が必要な基準【何科を受診すべき?】
パニック障害の息苦しさで受診が必要な基準は、動悸や汗、吐き気などを伴い、症状が繰り返されるときです。
このようなときは、精神科や心療内科を受診しましょう。
パニック障害は、早めの受診が大切です。適切な治療を受けなければ、症状が慢性化する恐れがあります。
早期に薬物療法と精神療法を受けると症状が軽くなるかもしれません。
繰り返される症状に悩みや不安を抱えている方は、ぜひご相談ください。
24時間予約受付中
まとめ
パニック障害の息苦しさは、吸うより「吐く」を意識したり、ほかに意識を向けたりすることが大切です。うまく対処できなければ、不安が強くなり、さらに息苦しさを感じる恐れがあります。
パニック障害は、発見が遅れると死にかかわる病気が隠れている可能性があるため、早めの治療が重要です。息苦しさや動悸、汗のほかに胸の痛みや咳などの症状があり不安な方は、一度、受診してみてください。
24時間予約受付中
[1]レジデントノート Vot.23 No.16(2月号)2022
https://gyazo.com/8307510e8c7b93a35088d63b7c3491f3
[2]I-04 過換気症候群 – I.その他|一般社団法人日本呼吸器学会, l5-7
[3]不安障害|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_02.html
[4]深呼吸をしましょう 腹式呼吸のやり方|日本医師会
https://www.med.or.jp/komichi/holiday/sports_02.html
[5]セルフメンタルヘルス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000881325.pdf
[6]抗不安薬と鎮静薬|MSDマニュアル
https://www.msdmanuals.com/
[7]狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)|e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-005.html
[8]2020 年改訂版 弁膜症治療のガイドライン|一般社団法人 日本循環器学会
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/05/JCS2020_Izumi_Eishi_0420.pdf
[9]2020 年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/07/JCS2020_Ogino.pdf
[10]気胸|MSDマニュアル
https://www.msdmanuals.com/
- この記事の編集者
- 西川正太
看護師、保健師、保育士。 2009年大学を卒業後、大学病院や総合病院で勤務経験あり。現在はフリーライターとして医療を中心に執筆中。