パニック障害を公表する芸能人や有名人が増え、耳にする頻度が高くなってはいるものの、特別な病気だと思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、パニック障害は、100人中1人が罹患する確率があり、誰しもが引き起こす可能性のある身近な病気です。
そこで、今回はパニック障害の症状やパニック障害の人に言ってはいけない言葉、パニック障害の人にやってはいけないことを解説します。
最後に、パニック障害の人にかけてあげたい言葉や行動もご紹介するので、パニック障害の人が身近にいて接し方に悩んでいる場合はぜひ参考にしてみてください。
下記の記事では、パニック障害の方が安心した言葉を実際の口コミからの紹介も紹介しています。気になる方は合わせてご覧ください。
接し方によってはパニック障害が悪化する
パニック障害は、動悸や息苦しさ、めまいや吐き気などの症状が現れて、発作が繰り返し引き起こされる病気です。[1][2]
パニック発作以外にも、発作が再び起こるのではないかと不安になる「予期不安」、閉鎖的な空間や逃げ場のない場所に不安や恐怖を感じる「広場恐怖」などの症状があります。
そのため、プレッシャーや不安を与える言動をすると発作が生じたり、適切でない嗜好品を勧めると不安を助長してしまったりと、症状が悪化する可能性があります。
パニック障害の発作は、脳の機能障害による内因性不安、日頃からのストレスや働きすぎて生じる疲れが原因です。
発作が起きて救急車を呼んでも、症状は数分~数十分程度で治まるため、身体に異常はないと判断されるケースがあります。
診察する医師によっては、息苦しさや胸の痛みを繰り返す心臓神経症、胸に圧迫感を感じる狭心症、めまいや吐き気があるメニエール症候群と診断されることもあります。
パニック障害の人に言ってはいけない言葉
パニック障害に罹患すると、急な発作が起きたり、発作がいつ起きるか不安に思ったりすることがあります。
そんなパニック障害の人に、以下のような不安や緊張を感じてしまう言葉を伝えると、発作が生じる可能性があるため注意が必要です。
また発作?
パニック障害の発作は、繰り返し起こるのが特徴です。学校や職場などで何度もパニック発作に遭遇すると、「また発作か」という呆れた気持ちになっても不思議ではありませんが、パニック障害を罹患している本人に伝わってしまうと不快な気持ちになってしまいます。
身近な人がパニック障害を罹患している場合は、パニック障害の症状を正しく理解し、当人が健やかに毎日を過ごせるよう協力しましょう。
気持ち次第じゃない?
パニック障害は、気の持ちようで罹患したり治ったりする病気ではありません。
パニック障害になっている人の気持ちや状況を考えずに、無神経な発言をするとストレスやプレッシャーを与えかねません。
この言葉以外にも、「悩んでるフリをしてるだけでしょ」や「どうせ無理だよ」などの不適切な言葉を伝えると、相手を傷つける可能性があります。
もっと落ち着いて
上司や先輩など目上の立場の人が「落ち着いて」と声をかけられると、パニック障害の人はさらに緊張が高まり追い詰められてしまう可能性があります。
緊張や恐れが高まるとパニック発作の症状が出ることがあるため、言葉で心に圧力をかけないよう相手に配慮してコミュニケーションをとりましょう。
心配しすぎだよ
パニック障害になると、発作がまた起こるのではないかといった「予期不安」や、発作が出るのが恐くて外出できない「広場恐怖」の症状が生じます。
罹患していない人からすると考えすぎなように見えますが、味わった発作の苦しさや痛み、羞恥心がトラウマとなって外に出たくても出られないため、「心配しすぎだよ」という発言は相手に対して無神経な言葉でしょう。
キツイ気持ちに寄り添いましょう
あなたには価値がない
パニック発作が気になり乗り物に乗れなかったり外出しづらかったりと、行動が制限されてしまい、健常な人よりもできることが少なくなることがあります。
そんな中で「価値がない」と相手を批判するような言葉を伝えると、自尊心が傷つき自己肯定感が下がることにつながり、発作の原因であるストレスになる可能性があるでしょう。
辞められたら困るよ
相手を追い詰めるような、逃げ場のない状況に追い込む言葉をパニック障害の人に伝えると、不安やストレスを感じ、精神的に負担を与えてしまう場合があります。
「辞められたら困るよ」は、勤務先やサークルなどで人員不足が生じてさらに人が減ると困る場面で使われる言葉ですが、パニック障害の人に言うのは控えておきましょう。
そんなことも出来ないの?
パニック障害の人に、「そんなことも出来ないの?」などと相手の存在を否定するような発言をすると、傷ついてストレスや圧力をかけてしまう恐れがあります。
パニック障害の発作や罹患している人の気持ちを踏まえて、発する言葉には十分気を付けましょう。
誰に言っても失礼になります💦
パニック障害の人にやってはいけないこと
パニック障害の人には、かけてはいけない言葉だけではなく、してはいけない行動もあります。
具体的な行動は以下4つです。
カフェイン・アルコールの摂取をすすめる勧める
パニック障害になると、カフェインやアルコールの摂取により神経伝達物質が影響を受けて、不安が助長され発作が起きる可能性があります。
パニック障害の人と一緒に食事をする際には、ノンカフェインの麦茶、ノンアルコールカクテルやノンアルコールビールを勧めましょう。
喫煙をすすめる勧める
喫煙者は喫煙経験がない人よりも、パニック発作の発生率が2〜4倍高いことがわかっています。
これは、喫煙による肺機能の低下が影響しているためです。
気分転換になるから良かれと思って、パニック障害の人に喫煙を勧めないようにしましょう。
換気の悪い場所に連れて行く
満員電車などの換気の悪い空間にいると、パニック発作が起こる可能性があります。
閉鎖的な空間のため不安や緊張を感じやすいだけでなく、人がたくさんいて酸素が少ないため動機や息苦しさが助長されてしまい、発作につながります。
パニック障害の人と出かける際は、人が少なく広々とした場所のほうがいいでしょう。
ゆったりリラックスできる場所が良いでしょう
睡眠を妨げる
パニック障害の症状は、メンタルだけでなく身体的な疲れも影響します。
不規則な生活や睡眠不足に陥ってしまうような、深夜帯での長時間の外出は避けて、日中に一緒に出かけるようにしましょう。
パニック障害の人にかけてあげたい言葉や行動
パニック障害の症状を助長する言動がある一方、不安を和らげる言葉や行動も存在します。
身近な人がパニック障害に罹患している場合は、以下のような言葉をかけるだけでなく、合わせてその言葉に伴った行動をすることで、相手に安心感を与えましょう。
きついときは遠慮なく言ってね
パニック障害の人と一緒に外出したり家で過ごしたりする場合は、あらかじめ「きついときは声をかけてね」と言うと安心感を与えられます。
発作が起こるかもしれない不安や、気軽に外に出られない症状を抱えていることが気がかりな罹患者もいるため、辛いときはいつでも知らせてもらえるよう伝えておきましょう。
気持が軽くなりますね
心配しなくて大丈夫だよ
パニック発作が起きると本人は不安な気持ちでいっぱいです。
そのため、「大丈夫だよ」と声をかけることで不安や恐怖が軽減されます。
また、身体に触れるとストレスが緩和されるため、声をかけるのと同時に背中をさするとさらに症状が落ち着くでしょう。
接し方は変わらないよ
パニック障害の人は、健常者よりも気を遣って接する必要があると思っている人もいるかもしれません。
しかし、感情が不安定にならないように慎重に扱うような振る舞いは、パニック障害の罹患者にとって逆にストレスになる恐れがあります。
カミングアウトされた場合は、接し方は変わらないことを伝えて、症状を理解したうえでいつも通りの態度で接しましょう。
いつでも味方だよ
パニック障害になると、発作が起きるのが不安で外出を避けるようになることがあります。
その場合は、パニック障害の人にいつでも味方であることを伝え、付き添って一緒に外出しましょう。また、付き添いは誰か一人だけに任せて負担をかけるのではなく、身近な家族や友人たちで交代で行いましょう。
すごく安心できますね!
まとめ
今回はパニック障害の概要やパニック障害の人に言ってはいけない言葉、パニック障害の人にしてはいけないことを解説しました。
パニック障害は、脳の機能障害による不安、日頃のストレスや過労が原因で引き起こされる病気です。
身近な家族や友人がパニック障害を罹患している場合は、症状を理解したうえで安心感を与えたり不安を和らげるような言動を心がけましょう。
また、今回ご紹介したパニック障害の人にかけてあげたい言葉や行動もぜひ参考にしてみてください。
24時間予約受付中
参考文献
[1]パニック障害とは|パニック障害の治療の進め方|東京大学大学院医学系研究科・熊野宏昭氏
http://hikumano.umin.ac.jp/PD&SSRI.pdf
[2]パニック発作の症状|パニック障害の治療の進め方|東京大学大学院医学系研究科・熊野宏昭氏
http://hikumano.umin.ac.jp/PD&SSRI.pdf
[3]パニック障害の発症・維持原因|パニック障害の治療の進め方|東京大学大学院医学系研究科・熊野宏昭氏
http://hikumano.umin.ac.jp/PD&SSRI.pdf
[4]喫煙者はパニック発作を起こしやすい|神経疾患|日本禁煙医師歯科医師連盟
http://www.nosmoke-med.org/ronbun_shinkeishikkan
[5]家族や友人がパニック障害になったとき|こころの情報サイト|国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所(旧運営:みんなのメンタルヘルス総合サイト・厚生労働省)