「双極性障害で周期が一日で変わることがある」
「周期が短いので躁とうつの差が大きくてつらい」
と悩んでいる双極性障害の人はいませんか。
双極性障害の周期は人によって異なりますが、1日で変わる人も中にはいるでしょう。躁状態とうつ状態の期間が1年で4回以上切り替わるものは「急速交代型(ラピッドサイクラー)」と呼ばれます。
この記事では、双極性障害の周期は1日で変わるのか、1日で変わるときの対策について解説します。治療法についても紹介するので、双極性障害の症状を改善するために役立ててください。
双極性障害の周期については、下記の記事も合せてご覧ください。
双極性障害の周期は1日で変わるのか
双極性障害の周期は人によって異なるため、1日で変わることもあります。10歳前後以下に発症する「児童期発症型」では、周期が1日以下のこともあるとされているのです。[1]
周期が短いタイプの中には、躁状態とうつ状態の期間が1年で4回以上切り替わる「急速交代型(ラピッドサイクラー)」があります。急速交替型は再発のリスク要因となっているため、治療を受け続けることが大切です。[2]
双極性障害には、躁状態が強く出やすい「双極Ⅰ型障害」と、躁状態が軽い「双極Ⅰ型障害」の2種類があります。双極Ⅰ型障害では躁症状が7日以上、双極Ⅱ型障害では、軽い躁状態が少なくとも4日間、ほぼ毎日続くとされています。[3]
気分の浮き沈みが激しいとツライですね💦
双極性障害の周期が1日で変わるときの対策
双極性障害の周期が1日で変わるときの対策は、以下の3つがあります。
順番に見ていきましょう。
睡眠を十分にとる
双極性障害の改善には、睡眠を十分にとることが大切です。[2]
躁状態のときには、睡眠時間が短くなったり、寝なかったりする状態でも、平気で活動ができてしまいます。「寝ている時間がもったいない」とも感じてしまうため、やる気に満ちあふれていても、体は休めていないので疲れているのです。[4][5]
睡眠時間は6時間以上とるようにしましょう。6時間未満では、さまざまな病気を発症する可能性があります。スマートフォンやタブレットなどは体内時計に影響を与える「ブルーライト」が多く含まれています。寝室には持ち込まず、できるだけ部屋を暗くして寝ると、よく眠れます。[6]
無理をしない
周期が1日で変わるときは、無理をしないようにしてください。
躁状態になると、気分が高まって自信に満ちあふれ、なんでもできるような気持ち気持になります。しかし、無謀なことを実行して失敗したり、高額な買い物をして散財したりすると、うつ状態になったときに自己嫌悪に陥ってしまいます。[4]躁状態のあとのうつ状態は、自殺のリスクが高くなるため、注意しなければなりません。[5]
躁状態のときは、自分を過信せずに「まだ頑張れそう」をやめる勇気をもってください。普段の目標よりも、少しハードルを下げるといいでしょう。どうしても頑張ってしまうという人は、周囲や医療機関に相談すればアドバイスをくれるでしょう。
日記などを書いて自分の日々の様子を客観的にみるのもよいでしょう。
周期が短いことを気にしすぎない
双極性障害の周期は人それぞれ異なるため、短いことを気にしすぎないようにしましょう。
「周期が短いから悪い」というわけではありません。たとえば、周期が3ヶ月ごとだったのが、次は半年になることもあるでしょう。また、躁状態は1ヶ月だったが、うつ状態は3ヶ月続いているということもあるのです。
双極性障害の人全員が同じ周期ではないので、安心してください。周期は一人ひとり違うと覚えておくと、少し気持ちが楽になるでしょう。
双極性障害の周期が1日で変わるときの治療法
双極性障害の周期が一日で変わるときの治療法には、おもに2つあります。
1つずつ解説します。
薬物療法
薬物療法では、「気分安定薬」と「非定型抗精神病薬」を服用します。
気分安定薬は躁やうつの症状を和らげたり、再発を予防したりする効果があるとされています。気分安定薬の種類は「炭酸リチウム」「ラモトリギン」「カルバマゼピン」「バルプロ酸」などです。中でもよく服用される炭酸リチウムは、脳の神経細胞の興奮を鎮める抗けいれん作用があり、服用を始めてから効果が出るまでに1週間~10日ほどかかります。さらに、衝動性を減らして自殺を予防する効果もあるとされているのです。炭酸リチウムの副作用は「手の震え」「食欲不振」「下痢」「口の渇き」などがあります。[2]
非定型抗精神病薬には「オランザピン」「クエチアピン」「リスペリドン」などがあります。双極性障害は躁・うつ状態の症状が多く、薬の使い分けが難しいです。薬の服用について、医療機関としっかり相談をして、処方された量と回数を守ってください。[2]
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精神療法
精神療法には、以下の3つの方法があります。
- 心理教育
- 認知行動療法
- 対人関係・社会リズム療法
心理教育では、双極性障害に関する知見を深め、再発の可能性があることを理解してもらいます。薬を服用する大切さや副作用について学び、正しい服用習慣を身につけるために指導されます。[2]
認知行動療法とは、ものごとの捉え方を改善してストレスを減らす精神療法です。双極性障害に対しても有効性が認められている精神療法のひとつです。ストレスは双極性障害の悪化・再発リスクを高める原因なので、自分の認知・行動パターンを改善することで、自分の感情をコントロールできるようにします。[2]
対人関係・社会リズム療法とは、自分のまわりとの関係性を改善する「対人関係療法」と自分の社会リズムをつかむ「社会リズム療法」を組み合わせたものです。薬物療法と併用することで、躁状態やうつ状態の予防効果、うつ状態の治療効果があるとされています。[2][7]
主治医の先生が、あなたに合った治療法を提案してくれるでしょう。
まとめ
双極性障害の周期は人それぞれのため、1日で変わる人も中にはいます。
もし周期が1日で変わるときは、睡眠を十分にとって無理をせず、周期が短いことを気にしすぎないようにしてください。双極性障害を治すためには、薬物療法と精神療法を併せておこなうことが大切なので、途中で治療をやめないようにしましょう。
おおかみこころのクリニックでは、24時間来院予約を受け付けています。周期が短くて気分の波が激しくつらいと悩んでいる人は、ぜひ一度相談にお越しください。カウンセラーもいますので、悩みや心配なことがあれば、お話を聞かせてください。
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【参考文献】
[1]児童期双極性障害をめぐる状況と臨床的課題
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbpjjpp/21/3/21_189/_pdf
[2]日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症)2023|日本うつ病学会
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline_sokyoku2023.pdf
[3]うつ・適応障害・双極性障害 心の名医7人が教える最高の治し方大全 (健康実用) ,三村 將,奥平智之,野村総一郎,貝谷久宣,中村敬,文響社
https://amzn.asia/d/2WoxOEM
[4]双極性障害(躁うつ病)|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=RM3UirqngPV6bFW0
[5]双極性障害(躁うつ病):用語解説|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1636/
[6]健康づくりのための睡眠ガイド 2023|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
[7]双極性障害(躁うつ病)とつきあうために|日本うつ病学会 双極性障害委員会
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/gakkai/shiryo/data/bd_kaisetsu_ver10-20210324.pdf