「考えたくないことをずっと考えてしまう」
「考えが頭から離れないのは強迫性障害のせい?」
考えたくないことが何度も浮かんでくると、不安になりますよね。
考えたくないことを考えてしまう原因には、強迫性障害といった病気や強いストレスなどがあります。もし強迫性障害の疑いをそのままにすると、日常生活に支障が出たり症状が悪化したりする可能性があるのです。
この記事では、考えたくないことを考えてしまう原因や対処法を解説します。あなたの状態を理解し、苦しさから抜け出す助けとなれば幸いです。
考えたくないことを考えてしまう原因
考えたくないことを考えてしまう原因として、次の3つが挙げられます。
原因を知ることで、あなたの状況を把握しやすくなります。
病気を発症している
考えたくないことを考えてしまうときは、病気を発症している可能性があります。代表的なものに、強迫性障害やうつ病などが考えられます。
たとえば、強迫性障害では意思に反して浮かぶ不快な考え「強迫観念(きょうはくかんねん)」にとらわれるのです。強迫観念の例には、下記のものがあります。[1]
- 誰かにぶつかっていないか
- 手が汚れているのではないか
- 鍵を閉めてから家を出てきたか
また、うつ病では過去の失敗やネガティブなできごとを繰り返し考える「反芻思考(はんすうしこう)」がみられます。[2]
コントロールできない考えが浮かぶときの背景には、病気が隠れている可能性も考えましょう。
反芻思考については下記の記事で詳しく解説しています。あわせご覧ください。
ストレスを抱えている
ストレスは、考えたくないことを考えてしまう原因のひとつです。
ストレスが溜まると、考えをコントロールする脳の働きが低下します。その結果、考えを抑えようとすればするほど、かえってその考えが強く浮かんでくるのです。[3]
たとえば「あの失敗を考えないようにしよう」と意識すると、脳の抑制がうまく働かなくなります。そして、失敗した記憶が何度も頭をよぎる状態になるのです。
ストレスは考えの制御を難しくさせ、考えたくないことを考えてしまう原因となります。

ストレスは溜めすぎるとよくないです💦
過去のトラウマが関係している
過去のトラウマも、考えたくないことを考えてしまう原因になります。
つらい経験に関係する記憶や感情が、生活のふとしたきっかけで意図せず呼び起こされるためです。これは「フラッシュバック」とも呼ばれます。[4]フラッシュバックは、脳が過去の危険を再体験し、警告を発している状態とも考えられているのです。
たとえば、過去につらい経験をした場所の近くを通ったり、似たような音を聞いたりすると記憶が突然よみがえります。その結果、意図せずつらい記憶を考えてしまう状態になります。
過去のトラウマがきっかけとなり、考えたくないことを考え続けさせるのです。
強迫性障害のセルフチェック
考えたくないことが浮かぶときは、強迫性障害の症状による可能性があります。
あなたの状態が強迫性障害の症状にあてはまるか、セルフチェックで確認しましょう。[1][5]
- 汚れや細菌が怖くて、手や身体を洗い過ぎる
- 手が汚れているという考えが頭から離れない
- 物が左右対称に並んでいないと落ち着かない
- 特定の文字や数字を見ると縁起が悪いと考える
- 不安や恐怖を感じる場所や状況を意識的に避ける
- 戸締まりや火の元を何度も確認しないと安心できない
- 確認や手洗いなどに時間を使いすぎて、日常生活に支障が出ている
- 誰かを傷つけた、または傷つけてしまうのではないかと不安になる
- 鍵やガスの元栓を閉め忘れたのではないかと過剰に心配してしまう
- 不安を打ち消すために、わたしだけのルールや手順にこだわってしまう
あてはまる項目が多いほど、強迫性障害の可能性があります。
「強迫性障害かもしれない」と思ったら、医師に相談しましょう。
とはいえ「いきなり病院に行くのはハードルが高い」と感じてしまいますよね。おおかみこころのクリニックでは、自宅からでも受診できるオンライン診療を実施しているので、お気軽にご相談ください。
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考えたくないことを考えてしまうときの対処法
考えたくないことを考えてしまうときの対処法として、次の3つを紹介します。
考えたくないことが頭に浮かび続けると、精神的に疲れてしまいます。とくに、強迫性障害の疑いがあるときは、病院での治療を検討してください。
以下の記事でも「気にしない自分」になる方法を紹介しています。あわせご覧ください。
病院で治療を受ける
考えたくないことを考えてしまう状態が続くとき、病院での治療が対処法となります。
考えてしまう状態が、強迫性障害やうつ病などの病気による可能性があるためです。どちらの病気も、適切な治療によって症状をやわらげられる病気です。[1][6]
ただし、放置すると症状が悪化するかもしれません。
病院で強迫性障害と診断されたら、薬物療法や心理療法などの治療が受けられます。医師やカウンセラーと相談しながら治療を進めることで、つらい症状をやわらげることができるでしょう。
考えたくない考えのため生活に支障が出ていたら、病院で治療を受けることを検討してください。

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考える時間を決める
考える時間を決めることは、考えたくないことを考えてしまう対処法のひとつです。
考えたくないことをムリに抑え込もうとすると、その考えにとらわれやすくなります。
時間を区切ることで、その考えを管理する意識が生まれるのです。
たとえば「夜7時から10分間だけ考える時間にしよう」と決めます。タイマーをセットし時間が過ぎたら、別の作業に移ります。これを繰り返すことで、考えを引きずる時間を減らす練習になるのです。
考えをムリに消そうとせずに時間を決めて向き合うことで、考えにとらわれる状態から抜け出せるでしょう。
マインドフルネスを試す
マインドフルネスを試すことは、考えたくないことに振り回される状態をやわらげる対処法です。
マインドフルネスでは「今、ここ」の瞬間に意識を集中させます。不快な考えが浮かんでも、受け入れる練習ができるのです。
マインドフルネスのやり方は、下記のとおりです。
- 呼吸に意識を集中させる
- 考えが浮かんできたら「考えが浮かんだ」と気づく
- 再び意識を呼吸に戻す
慶應義塾大学の研究では、マインドフルネスは不安症状の軽減に有効と報告されています。[7]
マインドフルネスを実践することで、考えにとらわれる状態から受け入れる力を養えるでしょう。
病院を受診するタイミング
下記のようなサインがみられたときは、病院への受診を検討してください。
- 家族や周囲の人を巻き込んでいる
- 考えや確認行為に時間がとられて仕事や家事に支障が出ている
- 考えたくないことで頭がいっぱいでストレスを感じ続けている
とくに、家族や友人など周囲の人を巻き込んでいるときは、受診を検討するタイミングです。代わりに家族に何度も確認させたり、友人から安心させる言葉を求め続けたりすると、あなただけでなく周囲の負担も大きくなるのです。
また、不安や緊張が続き心身ともに疲れていると感じたら、医師やカウンセラーの助けを借りましょう。
強迫性障害の治療法
強迫性障害の治療には、おもに次の3つがあります。
- 薬物療法
- 曝露反応妨害法
- rTMS療法(反復経頭蓋磁気刺激療法)
薬物療法では、おもにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とよばれる抗うつ薬が用いられます。[1]薬を飲むことで、不安をやわらげる効果が期待できるのです。
曝露反応妨害法では、不安にあえて直面する練習をします。[8]医師やカウンセラーと相談しながら行うため、あなたのペースで治療を進められるのです。
rTMS療法は、磁気コイルを使って脳を刺激する治療法です。うつ病の治療では条件を満たせば保険適用となりますが、強迫性障害の治療は自費診療となるため注意しましょう。[9]
まとめ
考えたくないことを考えてしまう原因には、病気やストレスが挙げられます。
もし強迫性障害のセルフチェックにあてはまり、日常生活に支障が出ているときは、精神科や心療内科への相談を検討しましょう。
強迫性障害は、適切な治療によって症状をやわらげられる病気です。
考えたくない考えにとらわれてつらいときは、ひとりで抱え込まず病院に相談してください。おおかみこころのクリニックでは、オンライン診療を実施しています。8~22時まで開院しているので、いつでもお気軽にご相談ください。
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【参考文献】
[1]強迫性障害|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=MiyHEH6ZUZDxDeYX
[2]うつ病の認知行動療法の脳内基盤,岡本泰昌,吉村晋平,神人蘭,吉野敦雄,松永美希,山脇成人
https://www.ncnp.go.jp/mental-health/docs/nimh59_17-22.pdf
[3]思考抑制傾向とストレス経験が考え込みと反省的熟考に与える影響,服部陽介
https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/26/3/26_26.3.12/_pdf/-char/ja
[4]PTSD|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=iGkwv4PNzgWhQ9xI
[5]強迫性障害の臨床像・治療・予後 ー難治例の判定,特徴,そして対応ー,松永 寿人
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1150090967.pdf
[6]3 うつ病の治療と予後:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad003
[7]不安障害に対するマインドフルネス認知療法の効果および費用対効果研究|慶應義塾大学マインドフルネス&ストレス研究センター
[8]強迫性障害(強迫症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000113840.pdf
[9]反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)の臨床と基礎,朴秀賢
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuneurop/68/3_4/68_95/_pdf/-char/ja









