双極性障害は一生治らないのは本当?再発を防ぐために心がけること










「双極性障害って一生治らないの?」
「一生この症状とつき合っていかないといけないのかな」
このような不安を感じていませんか?

双極性障害が一生治らないと言われるのには理由があります。その理由を知り、あなたに適した治療を行うことで今までのように穏やかな生活を送ることができるでしょう。

まずは、双極性障害について正しい知識をもち、あなたが気をつけるべきことを知っておくことが大切です。

この記事では、双極性障害が一生治らないと言われる要因や、気分の波をコントロールする方法再発しないために気をつけるべきことについて解説します。

「双極性障害は一生治らないの?」という不安を取り除くきっかけになりますと幸いです。

双極性障害は一生治らないのか

双極性障害は、一生治らないわけではありません。

正しい治療を行い症状をコントロールすることで、こころ穏やかな生活を送ることができます。[1]

双極性障害は、気分が高まる「躁状態」と、落ち込んで元気の出ない「うつ状態」を何度も繰り返す病気です。これを、気分の波躁うつの周期と呼びます。

症状の現れ方や気分の変わる期間には個人差があります。「躁うつの周期って何だろう?詳しく知りたいな」と思う方は下記の記事を先に読まれると、この記事がより理解しやすくなるでしょう。

双極性障害の症状を落ち着かせるためには、気分の波をうまくコントロールすることが大切です。

では、なぜ双極性障害は一生治らないと言われるのでしょうか。次で解説します。

双極性障害が一生治らないと言われる理由

双極性障害が一生治らないと言われる理由は下記の2つです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

再発のしやすさ

双極性障害が再発しやすい理由は、軽い躁状態のときに治療をやめるためです。

軽い躁状態のときは、本人も家族も「最近ほどよく明るく頑張れている」と、双極性障害が治ったと感じやすくなります。[2]

そして、薬を飲まなくなったり予約していた診察をキャンセルしたりして、自己判断で治療を中断するのです。

治療を中断して軽い躁状態で過ごしていると、少しずつ「なんだかテンション高すぎないかな?」とさらに躁状態になったり、逆にうつ状態になったりします。

そして、治療により気分の波をコントロールしていたのにも関わらず、再びうつ状態と躁状態を繰り返すようになるのです。

こころちゃん
こころちゃん

通院をやめたくなったら、そのことを先生に相談してみましょう!

完治ではなく寛解

双極性障害に限らず、精神疾患では障害の回復度合いを完治ではなく寛解と表現します。[3]

寛解とは、躁状態やうつ状態などの症状がない状態です。[1]

寛解には、部分寛解と完全寛解があり以下のような違いがあります。

  • 部分寛解:なにもエピソードがない状態が2か月未満
  • 完全寛解:なにもエピソードがない状態が2か月以上

寛解は障害の回復度合いであるため、寛解状態でも再発する可能性があり「双極性障害は一生治らない」と言われるのです。

双極性障害の気分の波をコントロールする方法

気分の波をコントロールするためには、以下の2点が大切です。[4]

  • あなた自身の状態をよく知る
  • 主治医と治療目標を明確に共有する

軽い躁状態のあなたを本来のあなたと勘違いしてはいけません。

たとえば、以下のようなテンションには気をつけてください。

  • 仕事のアイディアがポンポン浮かび、先輩に褒められる
  • 本当は慎重派なのに仕事で大胆な行動ができて気分がよい
  • いつもは週末しか出かけないのに、平日も毎日出かけている

躁状態を治療の目標にすると「バリバリ仕事ができる状態を目指さなくては!」と焦ってしまいます。い

その結果、疲れてしまいうつ状態になったり、さらに躁状態になったりします。本来のあなたらしい状態を知り、適切な治療目標を立てることが大切です。

あなたの状態をよく知ることは、気分の波を調整するためにも欠かせません。

たとえば、少し元気になっている場合は、自宅でゆっくり過ごす時間を増やしたり人との関わりを減らしたりするのです。

自分だけでは把握が難しい場合は、家族や周囲の人に「ちょっと様子がいつもと違うと思ったら教えてね」と事前に伝えておくとよいでしょう。

こころちゃん
こころちゃん

正しい目標を知ることで、あなた自身がツラくならずにすみますよ

双極性障害の再発しにくくするために心がけること

「双極性障害は一生治らない」から脱却するには、再発しにくくする必要があります。

具体的な方法は以下のとおりです。

それぞれ詳しく解説します。

規則正しい生活を送る

生活リズムが乱れると、躁状態に入りやすくなります。[4]

たとえば、残業続きで睡眠時間が短くなったり、夜中にゲームにはまったりすると生活リズムが崩れてしまい躁状態のきっかけになるのです。

睡眠時間や食事時間など生活リズムは、一人ひとり違います。

あなた自身の生活リズムを知るために、睡眠・覚醒リズム表を活用するとよいでしょう。[4]

睡眠・覚醒リズム表を記入することで、気分の波と日常生活の関係を知ることができます。

日常生活は家族や親しい人にも記入してもらうことで、自己評価と周囲の評価の違いを見つけることにも効果的です。

自己判断で薬をやめない

双極性障害に限らず「調子がよくなった気がするからもう薬は飲まなくても大丈夫だろう」と考える方が多くいます。

これは再発のきっかけになったり、症状が悪化したいするためやめましょう。

「薬をやめてもよいかな」と悩んだら、まずは医師に相談することが大切です。

双極性障害の方が薬を飲まなくなるとどのようになるのかは、下記の記事で詳しく解説しています。

ストレスをため込まない

双極性障害を持っている方は、ストレスをきっかけに調子を崩すことが多くあります。[4]

適度に運動したり好きなことをしたりして、ストレスを発散することが大切です。

また、やらなくてはいけないことをひとりで抱え込んでムリをしないようにしましょう。

具体的な方法は以下のとおりです。

  • ものごとに優先順位をつける
  • ひとりで抱え込まず身近な人に相談する
  • 「やるべきこと」と「やらなくてもよいこと」を分ける

たまには周りを頼り、あなた自身を大切にしてあげてください。

まとめ

双極性障害は一生治らないわけではありません。

以下の2つに気をつけることで、こころ穏やかな日常を送ることはできます。

  • 再発しないように心がける
  • 早期に適した治療をおこなう

気分の波をコントロールするためには、主治医と治療目標を共有することと今のあなたの状態を正しく知ることが大切です。

しかし、ひとりでは難しいことが多くあります。家族や身近な人にも協力してもらいましょう。

どうしたらよいのか悩んだときは、おおかみこころのクリニックへお越しくださいね。

おおかみこころのクリニック

【参考文献】
[1]日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症)2023|日本うつ病学会
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/guideline_sokyoku2023.pdf

[2]双極性障害(躁うつ病)|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=RM3UirqngPV6bFW0

[3]寛解と治癒|厚生労働省 こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1532

[4]双極性障害(躁うつ病)とつきあうために|日本うつ病学会 双極性障害委員会
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/gakkai/shiryo/data/bd_kaisetsu_ver10-20210324.pdf

この記事の執筆者
柚木ハル
作業療法士。精神科16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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