双極性障害をもつ友人や家族が攻撃的で困っている方へ~対処法と体験談を紹介します~




こころちゃん
こころちゃん

ねぇ先生。わたしの友だちが家族に双極性障害の方がいて、よく暴言吐かれて悩んでいるんだけど、どうしたらいいの??

浅田先生
浅田先生

そうなんだね、それはつらいね。みんな意外と知らないんだけど、日本には精神疾患になられた方の家族をサポートする保健所とか行政機関もあるし、身近なクリニックに相談もできるんだよ。家族や身近な人の悩みを解決することも、その方の病気の治療の一環になるんだよ。

双極性障害を持つ家族や恋人に、暴言やモノを投げられたりと攻撃的な態度をとられて「この状況をどうにかしたい。」と悩む方も多いでしょう。

最初は「どうしてこんなに攻撃的なの?わたし何かした?」と思っていても、これが家族や恋人など距離の近い間柄だったら、だんだんとイライラしてくるのは普通のことです。「自分は心が狭いんじゃないのか」など悩む必要はありません。しかし、その感情をそのまま本人にぶつけると更なる攻撃が返ってくるでしょう。

今回は双極性障害の方の攻撃性への対処法と、実際に攻撃された方の体験談について紹介していきます。少しでもあなたの状況を改善できれば幸いです。

躁うつの切り替わるタイミング・兆候を知る

躁うつの切り替わるタイミング・兆候を知る

双極性障害の方からの攻撃的な暴言がつらいなら、まずはその方の躁状態とうつ状態の切り替わるタイミングや兆候をチェックしてみましょう。

「最近口数が多くなった」「寝ている時間が長くなった」など、日常の中における小さな変化から双極性障害が悪化している兆候に気づくことができます。いつもと違う変化に気づいたら主治医に相談してみるのもよいでしょう。

また、このタイミングを知ることで攻撃される側は心構えができ、落ち着いて適切な対処ができるのです。 

双極性障害の方に攻撃されたときの対処法

双極性障害の方に攻撃されたときの対処法

ここでは、双極性障害の方から攻撃された場合の対処法を3つ紹介します。

それぞれ解説していきます。

しかし、双極性障害と別の疾患を併発している方は、対処法や関わり方が変わってきます。下記の記事も参考にされてください。

その場を離れる・逃げる

攻撃的な言動をとられたときには物理的に距離を取ることがおすすめです。

家族や恋人など距離の近い関係性だからこそ、ストレスを感じます。その場から逃げることができるならば逃げましょう。

毎回毎回頑張って向き合わなくても大丈夫です。きつい時やつらい時、たまには離れてもいいのです。

怒りが収まるまでそっとしておく

もし攻撃的な態度や暴言を吐かれたとしても、余計なことは言わずにグッと我慢しましょう。反撃したい気持ちも分かりますが、相手の怒りをかってしまいます。

いったん相手の思うままに怒りの感情を発散してもらい、できるだけ穏やかにその攻撃性を受け流すことがおすすめです。

また、双極性障害の方は攻撃的な態度をとった後に「あぁ…言っちゃった。やっちゃった」と自分自身を責めてしまうパターンが多くあります。そのため、あまり根に持たないようにしましょう。患者さん自身が攻撃していますが、本人の「病気の部分」がそうさせていると考えるのがおすすめです。[1][2]

医療機関の利用を考える

あまりにも攻撃的で、あなた自身が身の危険を感じる場合は入院なども検討しましょう。

これは、家族の身を守るためでもあり、患者さん本人の身を守るためでもあります。双極性障害の方の攻撃性が患者さん自身に向いたとき、自殺という選択をする可能性があるからです。「死にたい」や「自分は必要ないのでは…」など自殺をほのめかすサインが現れた場合は、すみやかに医療機関に相談しましょう。[1]

攻撃的な言動をやわらげるために意識すること

攻撃的な言動をやわらげるために意識すること

双極性障害の方から暴言や攻撃的な態度をとられて困っている場合は、下記の3つを意識して対処していきましょう。

躁うつ状態を本人と家族で共通認識する

双極性障害は、躁状態とうつ状態をくり返します。テンションが高く、攻撃性も上がる躁状態と、寝込んでしまううつ状態です。本人はうつ状態がきついでしょう。しかし、家族はうつ状態の方が「寝込んでいるだけだからいい」と思うパターンが多いです。

そこで、本人と家族の間で考えの違いが生じてしまいます。これは、治療をする上で好ましくありません。

病気のことを正しく理解し、穏やかな気持ちで接することが攻撃的な言動を和らげるためには大切になります。[3]

躁うつの周期を落ち着かせるためにストレスを抱え込まないようにする

双極性障害の気分の波を穏やかにするためには、規則正しい生活を送り、軽い運動などで適度にストレスを発散することが大切です。[1]

双極性障害の周期については下記の記事をご覧ください。

また、認知行動療法などでストレスの受け方を根本的に改善することもおすすめです。認知行動療法については下記の記事を参考にされてください。

ひとりで抱え込まずに専門機関に相談する

「家族のことだし、恋人のことだし…」とひとりで抱え込まずに専門機関に相談しましょう。

心療内科・クリニック

家族会・自助グループ

保健所・保健センター

家族が精神疾患で困っている方が相談できる場所は多くあります。近くの保健所などで相談してみるのもいいでしょう。ひとりで抱え込まずに、つかえる制度や場所は使っていきましょう。[4]

おおかみこころのクリニックも、ご家族の悩み相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。

24時間予約受付中

双極性障害の方の家族の体験談

双極性障害の方の家族の体験談

Aさん(30代)、妻が双極性障害

引っ越しをしてすぐの頃、環境の変化をきっかけにうつ状態がひどくなりました。例によって主治医から抗うつ薬をもらったのですが、それがきっかけでイライラが強まり、攻撃性が増しました。

妻は私が暴力を振るうと警察や児童相談所に訴えるという行動を起こしました。行政の担当者は妻の言うこと全てを鵜呑みにして、私は完全に悪者扱いです。ほとほと困った私は主治医に相談にいきました。主治医は妻が入退院を繰り返していた頃から病状をよく知る人であり、このような行動も症状のせいだということを理解してくれ、全面的に味方をしてくれました。

病状を家族だけで管理していくということは、困難を極めます。このようなエピソードを受けて、訪問看護と訪問介護を導入することにしました。

引用文献:体験談|精神に障害がある人の配偶者・パートナーの支援を考える会

このように、家族が精神疾患で悩まれている方は多くいらっしゃいます。

ひとりで抱え込まずに、病院やクリニックを窓口として周りの協力を得ることも大切です。[4]

「ひとりじゃない」と思うことで心が救われることは多くあります。

攻撃的な双極性障害の方が身近にいる方へ|まとめ

双極性障害の方が身近にいらっしゃる方は、自分自身も大切にしてあげてください。

自分の心を満たし、余裕をもって接することで怒りが収まるまでそっとしておくことができます。 

双極性障害の方を中心に考えるのではなく、その疾患について正しく理解し向き合っていきましょう。

クリニックでは、本人でなくご家族や恋人の悩みを相談していただいて大丈夫です。おおかみこころのクリニックは、いつでもあなたのことをお待ちしています。

24時間予約受付中

参考文献

[1]家族や友人が双極性障害になったとき|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_bipolar_sub2.html

[2]双極性障害と攻撃性|精神経誌

https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1220030194.pdf

[3]躁うつ病(双極性障害)とつきあうために|日本うつ病学会 p16~p18

http://www.med.u-toyama.ac.jp/seishinkango/info/bd_kaisetsu_ver3.pdf

[4]精神障がい者家族会の組織発展と家族ピア教育プログラム「家族による家族学習会」との関連|日本公衆衛生看護学会誌

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphn/3/1/3_31/_pdf/-char/ja

この記事の執筆者
柚木ハル
作業療法士。精神科での16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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