自律神経失調症に効く漢方薬7選|ツムラとクラシエの違いも解説




「最近、原因不明のめまいや頭痛に悩まされている」

「自律神経失調症に効く漢方薬には何があるの?」

このようなお悩みや疑問を抱えていませんか?

めまいや頭痛、不安、イライラなどの症状があるのに、検査をしても原因がわからない場合は自律神経失調症かもしれません。

この記事では、自律神経失調症に効く漢方薬の種類や特徴、漢方薬の大手メーカーであるツムラとクラシエの違いについても解説します。

日常生活のなかでできる、自律神経を整える工夫についても紹介するのでぜひ参考にしてみてください。

自律神経失調症について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

自律神経失調症とは

自律神経失調症とは、ストレスや生活習慣の乱れによって自律神経のバランスが崩れることで生じる、さまざまな不調のことです。

自律神経失調症では、頭痛やだるさ、イライラなど、心とからだの両方に不調があらわれる傾向があります。

原因

自律神経失調症になる主な原因には、身体的・精神的ストレスが挙げられます。

そのため、真面目な性格で神経過敏な方はストレスを感じやすく、自律神経が乱れやすいといえるでしょう。

また、生活習慣の乱れや、更年期における女性ホルモンの乱れなどがきっかけで不調が生じる場合もあります。

症状

自律神経失調症でみられる主な症状は次のとおりです。

精神的な症状
全身のだるさ・疲れやすさ・頭痛・動悸・不眠・ほてり・食欲不振 など
身体的な症状
イライラ・気分の落ち込み・不安感・やる気や集中力の低下 など

上記のような症状を「不定愁訴(ふていしゅうそ)」といい、西洋医学的な検査をしても異常がみられないことが特徴です。

原因がわからないゆえに、なかなか建設的な治療を受けられないこともあります。

自律神経失調症に漢方薬が効く理由

東洋医学における自律神経失調症の主な原因は、からだのエネルギーである「気(き)」や、からだの栄養である「血(けつ)」のトラブルだと考えます。

漢方薬のなかには「気」「血」の状態を改善できるものがあるため、自律神経失調症によるさまざまな症状の緩和が期待できるのです。

自律神経失調症に効く漢方薬7選【ツムラの何番かを記載】

自律神経失調症に効く漢方 ツムラ

ここでは、自律神経の乱れを整える漢方薬を7種類紹介します。

それぞれの漢方薬の特徴や、適している方の特徴などについて解説するのでぜひ参考にしてみてください。

酸棗仁湯(さんそにんとう)|103番

酸棗仁湯は、精神不安や神経過敏、不眠症の治療などに用いられる漢方薬です。

自律神経失調症や神経症による不眠の治療に対して処方されることもあります。

体力が低下しており、心身が疲れている方に向いています。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)|16番

気分がふさぎこみ、のどに物がつまったような感じや、息苦しさがあるような場合によく処方されます

からだのエネルギーである「気」の巡りをよくすることで、ふさいだ気分やのどの異物感を和らげます。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)|39番

苓桂朮甘湯は、めまいや頭痛、動悸などの治療に用いられる漢方薬です。

胃腸の水分代謝を促すことで余分な水分を取り除き、自律神経の乱れから生じるめまいや耳鳴りなどの症状を和らげます。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)|12番

柴胡加竜骨牡蛎湯は、精神不安やイライラなどの症状に対してよく用いられる漢方薬です。

からだのエネルギーである「気」の巡りを整え、体内にこもった熱を冷ますとともに心を鎮めます。

比較的体力があり、胸や脇の部分に圧迫感を感じる方や、動悸やイライラが気になる方などに向いているでしょう。

加味逍遙散(かみしょうようさん)|24番

加味逍遙散は、更年期障害や月経周期に関する精神症状に対してよく用いられる漢方薬です。

からだの栄養である「血」を補うことで、滞っていた「気」の巡りを改善し、精神不安やイライラ、不眠などの症状を和らげます。

体力があまりなく、肩こりや疲れやすさが気になる方に向いているでしょう。

加味帰脾湯(かみきひとう)|137番

加味帰脾湯は、精神不安や不眠症に対してよく処方される漢方薬です。

からだが弱くて顔色も悪く、疲れやすくて気力が出ない方や、疲れているのに眠れない方にもおすすめです。

抑肝散(よくかんさん)|54番

抑肝散には神経の高ぶりを抑える作用があり、神経症や不眠症、小児夜泣きの治療などによく用いられる漢方薬です。

「気」の巡りをよくして自律神経のバランスを整えることで、イライラや興奮といった神経の高ぶりを抑えます。

抑肝散には、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」を増やすはたらきもあります。

抑肝散とセロトニンの関係について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

ツムラとクラシエの漢方薬の違い

ツムラとクラシエの漢方薬の違いは、主に次の3つです。

  • 薬の市場規模
  • 剤型
  • 生薬の配分、量

漢方薬のメーカーといえば「ツムラ」と「クラシエ」をイメージする方が多いでしょう。

これら2つのメーカーでは、医療用漢方薬の市場におけるシェアが大きく異なり、8割以上を占めているのがツムラです。[9]

また、ツムラの漢方薬は顆粒状(荒い粒状)のものが主ですが、クラシエの漢方薬には粉薬(細かい粒状)や錠剤もあります。

また、同じ名前の漢方薬でも、ツムラとクラシエそれぞれで原料となる生薬の量、配分が異なる場合もあります。

ただし、同じ名前の漢方薬であればそれぞれの薬効に大きな違いはないと考えていいでしょう。

自律神経失調症のセルフケア

薬の服用以外にも、日々の生活のなかで次のような工夫を心がけ、自律神経を整えることは可能です。

それぞれのセルフケア方法について詳しく解説します。

生活リズムや生活習慣を整える

自律神経を整えるためには、生活リズムや生活習慣における、次のような工夫が大切です。

・朝はカーテンを開けて日光を浴びる
・眠れなくても夜はベッドに入る
・運動習慣をつける

朝に日光を浴びると、睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の分泌が抑制されるため、生活のメリハリがつきやすくなるとされています。

日頃から昼夜逆転の生活を送りがちな方は、すぐには眠れなくても夜はベッドに入る習慣をつけてみましょう。

また、自律神経を整えるには適度な運動習慣をつけることも大切です。

適度な運動は、自律神経失調症の主な原因であるストレスの解消につながるためです。

長く続けてきた生活習慣を変えることはなかなか難しいため、少しずつ改善してみましょう。

寝る前のスマホ操作を控える

寝る直前までスマホの画面を見ていると、ブルーライトの影響で睡眠がさまたげられる可能性があります。

睡眠の質が下がると、生活リズムが崩れて自律神経が乱れる原因になるため、寝る前はスマホやPCなどの画面を見ないようにしましょう。

ストレスをためない工夫をする

ストレスは自律神経を乱す大きな原因のひとつです。

しかし、日々受けるストレスをゼロにすることは不可能に近いため、自分なりのストレス解消法を複数用意しておくことが大切です。

「好きなことを楽しむ」「人と話す」「思っていることをノートに書く」「専門家に相談する」など、自分に合った方法をみつけておきましょう。

自身の症状や体質に合った漢方薬を選びましょう|まとめ

自律神経の乱れを整える漢方薬には、今回紹介したようにさまざまなものがあります。

ただし、漢方薬は病名だけでなく、症状の出方や個人の体質に合ったものを使うことが重要です。

ともに漢方薬の大手メーカーであるツムラとクラシエでは、同じ名前の漢方薬でも剤型や生薬の配分・量などが異なる場合があります。

しかし、同じ名前のものであれば治療効果に大差はないので、飲みやすさやで選ぶといいでしょう。

自律神経の乱れは薬の服用だけでなく、日々の生活の工夫でも整えられるので、まずは毎日の習慣を見直してみることがおすすめです。

日々のなんとなくつらい症状で悩んでいる方は、ぜひおおかみこころのクリニックに相談してみてくださいね。

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参考文献

[1] 自律神経失調症|e-ヘルスネット

[2] 酸棗仁湯|添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200056D1032_1_09

[3] 半夏厚朴湯|添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200122D1074_1_08

[4] 苓桂朮甘湯|添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200145D1059_1_08

[5] 柴胡加竜骨牡蛎湯|添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200050D1094_1_15

[6] 加味逍遙散|添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200017D1083_1_12

[7] 加味帰脾湯|添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200016D1054_1_12

[8] 抑肝散|添付文書

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200139D1037_1_17

[9] 国内売上高(2023年3月末時点)|数字でみるツムラ|ツムラ

https://www.tsumura.co.jp/corporate/wakaru/index.html

この記事の編集者
稲嶺 千春
薬剤師。心療内科の門前薬局での勤務経験あり。フリーライターとして医療・健康分野を専門に執筆活動中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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