アクチベーションシンドローム(賦活症候群)とは|症状や原因・対処を知ろう

「アクチベーションシンドロームってどんな症状が出るの?」

「もし起きたら治るのかな?対処法はあるのかな?」

このような悩みはありませんか?

アクチベーションシンドロームは抗うつ剤の服用開始や増量時に起こりやすいさまざまな症状で「賦活症候群」「ジタリネスシンドローム:Jitteriness/anxiety syndrome」と呼ばれることもあります。具体的には「攻撃性」「衝動性」「自傷行為」などが問題視され、厚生労働省やアメリカFDA(米国食品安全局)から注意喚起がされている症状です。[1]

アクチベーションシンドロームを防ぐことはできませんが、原因症状治療について知ることで、起きたときも落ち着いて対処できます。起こりやすい人や、よく比較されるセロトニン症候群との違いとあわせて見ていきましょう。

アクチベーションシンドローム(賦活症候群)の症状

アクチベーションシンドロームの代表的な症状は、以下のとおりです。[1]

  • 不安
  • 不眠
  • 衝動性
  • パニック発作
  • 焦燥(いらいら・そわそわ)
  • 敵意・攻撃性(他害行為)
  • アカシジア(体がそわそわしてじっとしていられないこと)
  • 軽躁・躁状態(普段よりも喋りすぎたり怒りっぽくなったりすること)
  • 易刺激性(少しのことで怒りっぽくなったり敏感に反応したりすること)

因果関係は明らかでないものの、アクチベーションシンドロームとともに「自殺企図」「自傷行為」が生じたという報告もあります。[2]

とはいえ、抗うつ薬の服用後にあらわれた症状がアクチベーションシンドロームなのかを判断するのが難しいケースは、珍しくありません。[1]

なぜならアクチベーションシンドロームの症状は、うつや躁などもともとの病気による症状と似ているからです。たとえば抗うつ薬を処方される患者さんには、活動的な周期と無気力な周期とを繰り返す「双極性障害」の人もいます。双極性障害による体調変化の波が、薬の飲み始めに偶然重なることもあるのです。

なおアクチベーションシンドロームによる他害行為は、以下のような男女差があるとされています。[2]

  • 男性:実際に他害行為に至る症例が多い
  • 女性:他害行為を考えるだけの症例が多い

アクチベーションシンドロームは全員に起こるわけではありませんが、見過ごすと大きな問題につながる可能性があります。

こころちゃん
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気になる症状を抱えたままだと不安やストレスになるので、早く先生に相談しましょう!

あなた本人もしくはご家族にアクチベーションシンドロームを疑う症状がみられた場合は、速やかに医師に相談しましょう。

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アクチベーションシンドローム(賦活症候群)の原因

アクチベーションシンドロームの原因には、以下のような説があります。[3][4]

  • 「抗うつ薬の血中濃度の上昇」が関係している
  • 「セロトニン」という神経伝達物質が脳内の特定の場所に結合するため起こる

日本うつ病学会もアクチベーションシンドロームに関する提言の中で、抗うつ剤の処方は「大量投与は避ける」「薬の量は少しずつ変える」とまとめています。[2]

しかしアクチベーションシンドロームの詳細な原因は分かっていない部分もあり、今後の調査や検討が待たれます。

アクチベーションシンドローム(賦活症候群)の原因になる薬と確率

アクチベーションシンドロームが起こる薬を、いくつか紹介します。[5][6][7][8][9][10][11][12][13]

先発品成分名(ジェネリック医薬品の商品名)
デプロメールルボックスフルボキサミン
レクサプロエスシタロプラム
ジェイゾロフトセルトラリン
パキシルパロキセチン
サインバルタデュロキセチン
レメロンミルタザピン
トフラニールイミプラミン
テトラミドミアンセリン

アクチベーションシンドロームは、すべての抗うつ薬にみられる副作用です。つまり、比較的新しく発売された「SSRI(例:パキシル・レクサプロ)」「SNRI(例:サインバルタ)」に限らず、昔から発売されている抗うつ薬(例:トフラニール・テトラミド)でも起こります。[2]

起こる確率は調査によって異なり「4.3%」「10〜20%」「12.3〜13%」などさまざまな説があります。[1][14][15]

抗うつ薬の種類については、下記の記事でも詳しく解説しています。

アクチベーションシンドローム(賦活症候群)になりやすい人

ここからはアクチベーションシンドロームになりやすい人として、以下の例を紹介します。

リスクが高い人を把握することで、より正確にアクチベーションシンドロームを理解できます。自分に当てはまるものがあるか、確認しておきましょう。

子供や若い人

アクチベーションシンドロームや自傷行為は、子供や若い人に起こりやすいとされています。

若い人に起こりやすい理由には「脳内の神経回路が成人よりも弱いため」という説があるものの、詳しいメカニズムは解明されていません。[4]

ただしアクチベーションシンドロームはどの年代でも起こる可能性があります。薬の変更時は、年齢にかかわらずアクチベーションシンドロームに注意しましょう。

うつ症状・不安障害・双極性障害の人

以下に当てはまる病名の人は、抗うつ薬によって他害行為が起こるリスクが高いとされています。そのため病名が「うつ病」「大うつ病」の人よりも、抗うつ剤が慎重に処方されます。[2]

  • うつ状態
  • 不安障害
  • 双極性障害
  • 脳器質疾患のうつ状態

ただし精神の病気は併発するケースもあり、たとえば不安障害とうつ病に同時にかかる人もいます。

「自分はこの病名だから大丈夫」「この病名だからリスクが高くて心配だ」ではなく「気になる症状が出たら相談する」と考えてみてはいかがでしょうか。

他に飲んでいる薬がある人

他に飲んでいる薬がある人は、抗うつ薬の処方を受ける際に必ず医師に伝えてください。

抗うつ薬の効果を強める薬を抗うつ剤といっしょに服用すると、想定よりも血中濃度が高くなり、アクチベーションシンドロームを起こす可能性があるからです。

たとえば腰痛で処方された痛み止めが、抗うつ薬の血中濃度を上げてアクチベーションシンドロームを起こしたケースも報告されています。[16]

薬の名前を覚えられない場合は、お薬手帳や薬の説明書きが有用です。抗うつ薬とは関係のなさそうな薬でも、飲んでいる薬がある場合は医師や薬剤師に伝えてください。

その他

その他にも以下に当てはまる人は、アクチベーションシンドロームになりやすい可能性があります。[2][17]

  • 過去に衝動的な行動歴のある人
  • 他の精神障害やパーソナリティ障害のある人

医師は過去の病歴も考慮して処方薬を決定します。診察時は、医師に自分の病歴を正確に伝えておきましょう。

アクチベーションシンドローム(賦活症候群)の対処や治療法

アクチベーションシンドロームを疑う症状が出た場合は、原因と考えられる抗うつ薬を中止または減量します。[1]

新しい薬が原因の場合は中止し、いつも飲んでいる薬の量を増やした場合はもとの量に戻して様子をみることが一般的です。必要であれば、「抗不安薬」「気分安定薬」「抗精神病薬」などを追加または頓用で服用し、体調の安定をはかります。

アクチベーションシンドロームがあらわれると「薬が逆効果だったのではないか」「治らないのではないか」と不安に思いがちです。しかし、速やかに医師に相談して適切に対処すれば大半のケースで治るため、安心してください。

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Q:アクチベーションシンドローム(賦活症候群)にはいつまで注意すればいいですか?

アクチベーションシンドロームは、抗うつ薬の飲み始めから2週間以内に起こりやすいとされています。[1]

ただし薬の投与開始時だけでなく増量時にも、アクチベーションシンドロームが起こる可能性はあります。そのため、薬の量が変わったときにも注意が必要です。

常に自分の体調に気を配り、気分の変化がある場合は早めに医師に伝えてみてください。

Q:アクチベーションシンドローム(賦活症候群)とセロトニン症候群の違いは何ですか?

「セロトニン症候群」はセロトニンの作用を調節する薬に起きる副作用です。おもな症状には「不安」「発熱」「震え」などがあります。[18]

アクチベーションシンドロームとセロトニン症候群はどちらも抗うつ薬によって起こる副作用ですが、症状や起こりやすいタイミングが異なります。両者の違いを下の表にまとめました。

アクチベーションシンドロームセロトニン症候群
おもな症状不安いらいら・そわそわパニック発作不眠敵意・攻撃性(他害行為)衝動性アカシジア(体がそわそわ・ムズムズしてじっとしていられない)など不安混乱いらいら・興奮体がぴくぴく動く震える汗をかく熱が出る など
あらわれやすい時期薬を飲み始めてから数週間以内薬を飲んでから数時間以内
危険な理由自殺念慮や他害につながるおそれがあるか高熱が続くと命に関わることがあるから

アクチベーションシンドロームのような「不安」「いらいら」「興奮」などに加えて「手足のぴくつき」「震え」「発汗」「発熱」などが出る場合は、セロトニン症候群の疑いがあります。通常は薬を中止すれば、24時間以内にセロトニン症候群の症状は消失します。

なおセロトニン症候群のおそれがあるため、多くの抗うつ薬は以下のMAO阻害剤と2週間以上の期間を空けなければなりません。[7]

  • セレギリン塩酸塩(エフピー)
  • ラサギリンメシル酸塩(アジレクト)
  • サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ)

他にも、躁病や片頭痛の治療薬、痛み止めなどにもセロトニン症候群のリスクを上げる薬があります。安全に薬を服用するため、飲んでいる薬のある人は医師に必ず伝えましょう。

まとめ

アクチベーションシンドロームとは、抗うつ薬の投与開始後もしくは増量後に起こる「不安」「いらいら感」「他害行為」などの症状です。SSRI、SNRIなどの新しい抗うつ薬だけでなく、古くから発売されている薬にもアクチベーションシンドロームのリスクがあります。

また因果関係は不明ですが、アクチベーションシンドロームが出た人には「自殺関連行動」のリスクも高まります。そのため、薬の変更時は気分の変化に注意を払いましょう。

おおかみこころのクリニックは、LINEやWebから24時間365日予約ができる心療内科です。患者さんの不安に応えるため休診日を設けず、毎日10時から22時まで診察を行っております。もし薬に関する相談先にお困りなら、気軽にご相談ください。

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【参考文献】
[1]日本うつ病学会|抗うつ薬の適切な使い方について
https://www.pmda.go.jp/files/000146143.pdf

[2]SSRI/SNRI を中心とした抗うつ薬適正使用に関する提言|日本うつ病学会
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/working/data/antidepressant.pdf

[3]選択的セロトニン再取り込み阻害剤フルボキサミンによる小児および青少年の活性化有害事象|Pubmed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19364290/

[4]小児および青少年における抗うつ薬誘発性活性化: リスク、認識、および管理|Pubmed
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5828909/

[5]レクサプロ|添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179054F1022_1_20/?view=frame&style=XML&lang=ja

[6]ジェイゾロフト|添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179046F1028_4_04/?view=frame&style=XML&lang=ja

[7]パキシル|添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179041F1025_2_41/?view=frame&style=XML&lang=ja

[8]サインバルタ|添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179052M1022_2_23/?view=frame&style=XML&lang=ja

[9]レメロン|添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179051F1037_2_01/?view=frame&style=XML&lang=ja

[10]トフラニール|添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1174006F1078_3_12/?view=frame&style=XML&lang=ja

[11]テトラミド|添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179033F1020_4_03/?view=frame&style=XML&lang=ja

[12]デプロメール|添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179039F1028_1_45/?view=frame&style=XML&lang=ja

[13]ルボックス|添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179039F1036_3_15/?view=frame&style=XML&lang=ja

[14]京都府薬剤師会|きょうと薬事情報
https://www.kyotofuyaku.or.jp/data/data1/6417-1.pdf

[15]治療開始時の活性化と自殺傾向評価プロファイルの開発と心理測定評価|Pubmed
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2867356/

[16]うつ病および脊椎すべり症患者における選択的COX-2阻害剤であるセレコキシブとエスシタロプラムおよびトラゾドンの同時投与によって引き起こされるイライラ/不安症候群|Pubme
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36847164/

[17]日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016
https://www.secretariat.ne.jp/jsmd/iinkai/katsudou/data/20240301.pdf

[18]セロトニン症候群|行政法人医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/files/000240139.pdf

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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