「うつ病の治療中でメイラックス飲んでいるんだけど、アルコールは飲んじゃダメ?」「少し時間を空ければ大丈夫なんじゃないの?」と抗不安薬や抗うつ剤で治療中の方は考えてしまうのではないでしょうか。
アルコール(お酒)を飲むのは、抗不安薬(精神安定剤)を服用中は控えましょう。アルコールも薬の一種であり、抗不安薬の作用へ影響するからです。
この記事では「アルコールは薬へどう影響するか」「どんな薬がアルコールの影響を受けやすいのか」「アルコールと一緒に飲んでいい薬はあるのか」といった内容について解説します。
アルコールと抗不安薬の間隔は1〜2日間必要
アルコール(酒)を飲んだ場合、1~2日間は抗不安薬の服用は止めましょう。つまり、抗不安薬で治療している期間はお酒を控える必要があります。どうしても飲みたい場合は、ノンアルコールビールなどのノンアルコール系飲料を飲みましょう。
抗不安薬にアルコールはどう影響する?
アルコールの薬への影響は、アルコールをたまに飲む場合と常飲者(毎日清酒で3合以上)とで違います。
たまに飲む人では効果が強くなる
アルコールは脂肪との親和性が高いため、脂肪組織の多い脳や中枢神経に影響します。アルコールは基本的に抑制作用※であり、飲んだ量によってその作用は強くなります。
※抑制作用:脳を麻痺させて気分を鎮めたり眠らせたりするもの
抗不安薬とアルコールを併用すると、肝臓での代謝が競合します。
ふだんより代謝されにくくなるんだね!
つまり、両方の血中濃度が高いままになり、作用が強く出るために注意が必要です。
また、副作用で寝る前や途中覚醒時のできごとを忘れる「健忘」という症状が生じやすく、万が一、呼吸に作用すると死に至る恐れもあります。
よく飲む人では効果が弱まる
ふだんからお酒をよく飲む人は肝臓の代謝が活性化されているため、薬も代謝されやすくなります。
そのため、抗不安薬を飲んだとしても、通常より効果が弱まってしまう可能性があるのです。
どんな薬がアルコールの影響を受けやすいのか?
中枢神経に対して抑制作用をもつ薬剤と併用する際には注意が必要です。
以下の薬がアルコールの影響を受けやすいといえます
ベンゾジアゼピン系薬
ロラゼパムなどの抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などが該当します。
これらの薬剤と一緒にアルコールを摂取すると、薬とお酒の両方の作用が増強します。
また、副作用である眠気・精神運動機能低下、前向性健忘(寝る前や途中覚醒時のできごとを忘れる)、意識障害、呼吸・循環抑制などが現れやすくなります。
抗ヒスタミン薬
かぜ薬、花粉症治療薬などの抗ヒスタミン薬では、眠気が出たり頭が上手く働かなくなったりといった副作用が強く現れる可能性があります。
とくに薬の飲み始め数日間のアルコールとの併用によって予想以上に作業能力や判断力が低下する危険性があり、注意が必要です。
アルコ-ルの影響の大きさは、薬の種類や薬が本来持つ性質によって異なります。
自動車を運転したり機械作業に従事している方では、アルコールとの併用は避けるべきでしょう。
アセトアミノフェンを含む解熱鎮痛薬・かぜ薬
こちらでは通常のアルコール摂取であれば問題ありません。
しかし、アルコールの量がかなり多い、もしくは高用量(4g/日以下)を常用しているケースでは、重篤な肝障害をおこす危険性があります。
糖尿病薬
アルコールの作用と糖尿病薬の作用の両方が強く出るので、酔いがとても強くなり悪酔いしやすくなります。
また、糖尿病薬の効き過ぎにより、低血糖がおこる可能性があります。
アルコールと一緒に飲んでいい薬はあるのか?
結論、アルコールと一緒に飲んでもいい薬はありません。
抗不安薬を処方されている間は、お酒を飲むのは控えましょう。
どうしても飲みたい場合はノンアルコール系飲料を選ぶようにしてください。
薬によっては、生きている限りずっと服用しなければならない薬もあります。
一方、抗不安薬は症状が改善すれば、少しずつ減らして最終的にはゼロにすべき薬です。
内服治療中はお酒を我慢し、薬を卒業してから飲むようにしましょう。
抗不安薬を飲んでいる場合はアルコールは控えて、療養に専念しよう!
アルコールというと、嗜好飲料の日本酒やビール、ウィスキーなどを思い浮かべますが、以下のようなものにも含まれる場合があります。
- 市販の栄養ドリンク剤
- アルコールを使ったお菓子
- 酒粕を使用した加工食品
量は少ないですが、医薬品との併用を考える場合には無視できません。
購入時には薬剤師に相談する、商品包装を確認するなどを行うようにしましょう。
アルコールも薬の一種です。抗不安薬など精神科で処方される薬と一緒に飲むと、作用や副作用が強く現れる可能性があります。したがって、病気療養中はアルコールを控え、どうしても飲みたい場合はノンアルコール系飲料などにしましょう。
参考文献