最近、急に不安感に襲われることがあるんです。
めまいや動悸もあって、何かの病気ではないかと心配なのですが…
コントロールできない不安感に襲われるとつらいですよね。
急に不安感に襲われる原因には、パニック障害やストレス、自律神経の乱れがあります。
『よくわからない』という方にもわかりやすいように解説していきますね!
本来、不安は自分を守るものですが、コントロールできなくなると自分を苦しめる「病的な不安」へと変化してしまいます。
「急に不安感に襲われるかも」というは気持ちは、より不安を強くしますよね。
今回は、急に不安感に襲われる原因について解説します。
「健康的な不安と病的な不安の違い」や「急に不安感に襲われた時の対処法」についても解説するので、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
健康的な不安と病的な不安の違い
健康的な不安は「備えよう」というメッセージを私たちに伝え、適切な行動へと導いてくれます。
本来、不安は危険から身を守るための大切な感情です。
たとえば、大事なプレゼン前の不安は「プレゼンを成功させるために準備しよう」という状態を作り出してくれるでしょう。
しかし、大きくなりすぎた不安は健康的な生活を脅かすようになります。
自分で仮定した「最悪の状況」に縛られて身動きがとれなくなったり、突拍子もない行動を取ったりするかもしれません。
また、憂うつな気分を作り出し、うつ病などの精神疾患を引き起こす場合もあります。
不安に取り込まれ、日常生活に制限が出たり心身に悪影響を及ぼしたりする場合は、病的な不安として治療する必要があります。
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急に不安感に襲われるのはパニック障害が原因かも
急な不安感には、パニック障害が関係していることもあります。
以下ではパニック障害について触れておきましょう。
パニック障害とは
パニック障害とは、前触れなくめまいや動悸、息苦しさなどの自律神経症状がおこり、非常に強い不安感をともなう病気です。
発作的な自律神経症状と不安感に繰り返し襲われるため「また発作がおこるのではないか」という強い恐怖から生活が制限されてしまう場合があります。
内科をはじめとした医療機関を受診しても、異常がみられないのが特徴です。
パニック障害の症状と診断基準
パニック障害では、以下のような症状をともなうパニック発作(激しい恐怖や強烈な不快感の高まり)がみられます。
精神疾患の診断基準であるDSM-5では、
- パニック発作が数分以内にピークに達する
- 以下の「パニック障害の症状」のうち4つ以上の症状がみられる
という条件を満たすときにパニック障害と診断されます。
パニック障害の症状
1.動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
2.発汗
3.身震いまたは震え
4.息切れ感または息苦しさ
5.窒息感
6.胸痛または胸部の不快感
7.嘔気または腹部の不快感
8.めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
9.寒気または熱感
10.異常感覚(感覚麻痺または熱感)
11.現実感消失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)
12.抑制力を失うまたはどうかなってしまうことに対する恐怖
13.死ぬことに対する恐怖
引用:高橋三郎・大野祐監訳:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院、2014
パニック障害になりやすい人の特徴
パニック障害と性格傾向に関する研究では、パニック障害になりやすい人の特徴として以下が指摘されています。
- いま現在、不安な状況にある
- 性格的に不安になりやすい
- 怒りやストレスの対処が苦手
パニック障害は性格や心身の状態など、複数の要因が重なり発症する病気です。
パニック障害になりやすい人の特徴について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
参考:パニック障害における発症年齢と人格特性の関連性についての検討. 小西喜昭ら. 不安症研究,6(1), 25–33, 2014. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsad/6/1/6_25/_pdf/-char/ja
パニック障害以外で考えられる原因とは
パニック障害以外で急に不安感に襲われる原因として、以下の2つがあげられます。
ひとつずつ解説していきます。
ストレス
ストレスと不安には密接な関わりがあります。
特に慢性的なストレスや、定期的に強いストレスを感じる方は要注意です。
心身が常に緊張状態になっているため、「脳の司令塔」といわれる前頭前野の支配が弱くなってしまいます。
その結果、感情や衝動をコントロールが困難になり、急に不安感に襲われるのです。[2]
そのため、発作的な不安感に襲われたときは、身の回りに強いストレスがないか考えてみましょう。
自律神経の乱れ
身体を動かす「交感神経」と身体を休ませる「副交感神経」のバランスの乱れも不安感の原因です。
自律神経の乱れは、イライラや不安、抑うつ感などの精神症状や、動悸やめまい、立ちくらみなどの身体症状を引き起こします。
その結果、心身のバランスが崩れ突発的な不安感に襲われるのです。
自律神経が乱れる原因は、不規則な生活やストレス、加齢によるホルモンバランスの乱れです。
夜更かしや残業、交代勤務などによる不規則な生活が続いている方は、自律神経の乱れが不安感を引き起こしている可能性があります。[3]
急に不安感に襲われたときの対処法
「また不安になってきた…」というときは、不安感が頂点に達する前に気をそらしてみましょう。
以下の2つの方法を試してみてくださいね。
ひとつずつ詳しく解説していきます。
五感に意識を集中する
不安を感じたら、味覚や触覚などの五感に意識を集中させましょう。
不安から意識をそらし体の感覚に集中することで、不安の軽減が期待できます。
コーヒーの味や温度に集中したり、足の裏の感覚に注意を向けたりしてください。
五感をじっくり味わうことで不安から距離を置き、落ち着きを取りもどせるでしょう。
見えるのものに意識を向ける
目の前のものに意識を向ける方法も不安の軽減に効果的です。
いま現在見えているものに意識を向け、現実感を取り戻せるからです。
自分の好きな色やものを探すなど、どんな方法でもOKです。
たとえば「『赤色のものを5つ探す』と決め、見つけたものを声に出してみる」という要領で試してみましょう。
「次は黄色のものを5つ探す」と繰り返しているうちに、少しずつ気持ちが落ち着いてくるのを実感できるはずです。
不安感で病院にいくべきかの受診目安
以下のいずれかに当てはまったときは、早めに医療機関を受診しましょう。
ひとつずつ解説します。
不安により憂うつな状態が2週間以上続いている
くり返し不安感に襲われ憂うつな状態が2週間以上続いている方は、早めに医療機関を受診しましょう。[4]
不安が心身に悪影響を及ぼし、うつ状態になっている可能性があります。
うつや不安症状は、早期に治療を開始するほど早い回復が望めます。
「まだ大丈夫」と頑張りすぎず、早めに医療機関に相談してください。
おおかみこころのクリニックでは、24時間予約を受け付けています。
気軽な気持ちでお話しにきてくださいね。
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不安により日常生活に支障が出ている
不安が日常生活に悪影響を及ぼしているときは、速やかに医療機関を受診しましょう。
不安を1人で抱え込むと、引きこもりや病状の深刻化などのより大きな問題へ発展する可能性があります。
外出が怖いときや家事や仕事に集中できないときは、早めに医療機関を受診しましょう。
当院ではストレスの原因を一緒に探り、気持ちを楽にするお手伝いをさせていただきます。
いつでもご相談くださいね。
まとめ
不安は身を守るための大切な感情ですが、心身や日常生活に悪影響を及ぼす場合もあります。
急に不安感に襲われる原因として、パニック障害やストレス、自律神経の乱れなどがあげられます。
体の感覚や見えているものに意識を集中させながら、気持ちを落ち着かせてくださいね。
不安による憂うつな気分が2週間以上続くときや日常生活が制限される場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
お気軽におおかみこころのクリニックにご相談ください。
24時間予約受付中
参考サイト
[1]パニック症 / パニック障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
パニック症 / パニック障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
[2]ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学
https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/029758.html
[3]自律神経失調症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
自律神経失調症 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
[4]精神障害の基礎知識とその正しい理解:気配りしてますか -上司・同僚の方へ-|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/attentive/atv002/
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
メンタルヘルスの記事を中心に執筆する看護師・保健師ライター。 精神科勤務での患者さんとの関わりや自身のうつ病経験から「人の心についてもっと知りたい」と思い、上級心理カウンセラーの資格を取得。 エビデンスに基づいた読者の心に寄り添う記事を心がけている。