「フルニトラゼパムって危ない薬なの?」
「フルニトラゼパムを飲んでも眠れなくなってきたのはなぜ?」
このような疑問をかかえていないでしょうか?
SNSやインターネットで「フルニトラゼパムは怖い、危険」といった情報を見て、不安に思っている方も少なくないでしょう。
この記事では、フルニトラゼパムが「やばい」といわれる理由に加え、依存性や副作用についても解説します。フルニトラゼパムの効果や安全性について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
フルニトラゼパム(サイレース)とは
フルニトラゼパム(商品名:サイレース)は、ベンゾジアゼピン系に分類される睡眠薬で、不眠症や麻酔前投薬に対して適応がある薬です。
フルニトラゼパムはベンゾジアゼピン受容体に結合し、神経伝達物質であるGABA(γ-アミノ酪酸)の作用を増強することで、不眠症や睡眠障害の症状を軽減します。
睡眠効果の強さ
フルニトラゼパムの睡眠効果は非常に強力です。そのため、ほかの睡眠薬の効果が不十分であった場合の切り札的な存在として使われることもあります。
フルニトラゼパムは「デエビゴ」や「ベルソムラ」などの自然に近い眠りを促すタイプの睡眠薬とは異なり、脳の神経活動を抑制することで眠気を促します。効果が強い分、副作用や依存性などに関して十分な注意が必要です。
強いお薬だから決まりを守って飲みましょうね♪
効果の持続時間
フルニトラゼパムは「中間型」に分類される睡眠薬であり、効果は入眠から起床にわたって持続します。そのため、入眠障害だけでなく中途覚醒や早朝覚醒に対しても効果が期待できるでしょう。
フルニトラゼパムが「やばい」といわれる理由
フルニトラゼパムが「やばい」といわれる理由には、次のような要因が関連しているのかもしれません。
フルニトラゼパムの使用に対して不安に思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
依存性が高い
フルニトラゼパムは効果が強い睡眠薬なので、依存性も高い傾向にあります。
たとえば、フルニトラゼパムの長期服用によってからだが慣れてしまい、服用をやめると不眠になってしまう場合があります。その結果、薬の減量ができず、同量のフルニトラゼパムの服用がやめられなくなってしまうのです(常用量依存)。
依存を防ぐためには、医師の指示に従い、漫然とした長期的な使用を避ける必要があります。
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離脱症状が出やすい
離脱症状とは、服用中の薬を中止することで起こる、不快な症状のことです。
フルニトラゼパムは睡眠効果が強力な薬なので、イライラや不安、反跳性不眠のような離脱症状が起こりやすいとされています。「反跳性不眠」とは、服用を突然中止することで以前よりも強い睡眠障害が出現することです。
このような状態になると、睡眠薬の服用をやめられなくなってしまいます。フルニトラゼパムの使用を中止する場合は、医師の指示に従って徐々に減量しましょう。
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ふらつきや健忘(物忘れ)などの副作用がある
ふらつきや健忘(物忘れ)の副作用があることも、フルニトラゼパムが「やばい」といわれる要因かもしれません。
フルニトラゼパムの服用後、十分に覚醒していない状態で車の運転や食事などをすると、その出来事を覚えていない場合があります。[1]また、フルニトラゼパムには筋弛緩作用があるため、ふらつきの副作用にも注意が必要です。とくに高齢の方の場合、夜間にトイレに起きた際にふらついて転倒骨折する恐れがあります。
フルニトラゼパムの用法用量
フルニトラゼパムの用法用量は次のとおりです。
<フルニトラゼパムの用法用量>
通常成人1回、フルニトラゼパムとして、0.5~2mgを就寝前又は手術前に経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減するが、高齢者には1回1mgまでとする。[1]
不眠症に対して使用する場合は、就寝直前に服用しましょう。
フルニトラゼパムの副作用
フルニトラゼパムの主な副作用としては、次のようなものが挙げられます。
- 主な副作用
- ・ふらつき
・眠気
・だるさ
・頭痛
・めまい
・口の乾き
・呼吸抑制
・脱力感 など [1]
フルニトラゼパムの副作用のなかでも、とくに翌日への眠気の持ち越しや、ふらつきに注意が必要です。
重大な副作用としては、次のようなものがあります。
- 重大な副作用
- ・依存性
・刺激興奮、錯乱
・呼吸抑制
・肝機能障害
・横紋筋融解症
・意識障害
・一過性前向性健忘(もの忘れ)、もうろう状態 など [1]
フルニトラゼパムの服用中に、普段と異なる不調を感じた場合は、医師に連絡して適切な対応を取りましょう。
副作用が多いから気を付けましょうね💦
フルニトラゼパムの使用上の注意
次のような方はフルニトラゼパムの副作用リスクが高いため、とくに慎重に使用する必要があります。
- 呼吸器疾患をもつ方
- 衰弱状態の方
- 心障害のある方
- 肝機能障害をもつ方
- 腎機能障害をもつ方
- 妊娠中や授乳中の女性
- 小児
- 高齢者 [1]
また、フルニトラゼパムとアルコールの併用はなるべく避ける必要があります。併用によって中枢神経抑制作用が増強され、眠気や深い鎮静を引き起こす可能性があるためです。
次からはQ&Aです♪
Q1. フルニトラゼパムはどのくらいで効きますか?
添付文書によれば、フルニトラゼパム1mgの服用後、約1時間で最高血中濃度に到達し[1]、睡眠を促します。フルニトラゼパムには即効性があるため、不眠症の治療に使用する場合は、基本的に寝る直前に服用しましょう。
Q2. フルニトラゼパムを飲むと翌朝はどうなりますか?
フルニトラゼパムは作用時間が長い中間型の睡眠薬であるため、効果が翌朝まで残ると眠気やふらつきなどが出る可能性があります。
眠気が残っている場合は、運転などの危険を伴う機械の操作は控えましょう。高齢者では、転倒によるケガや骨折に注意が必要です。
Q3. フルニトラゼパムを飲んでもすぐ起きるのはなぜですか?
フルニトラゼパムを飲んでもすぐ起きてしまう理由は、からだの慣れによって薬の効果が減弱しているからかもしれません(常用性依存)。
また、眠れない理由には睡眠環境が影響している可能性もあります。寝室の気温や湿度、光、寝具が適しているかどうかなど、一度見直してみるといいでしょう。
Q4. フルニトラゼパム(サイレース)を長期服用するとどうなりますか?
フルニトラゼパムを長期にわたって漫然と服用すると、依存につながる恐れがあります。依存した状態で服用を中止すると、不眠が悪化し、やめられなくなってしまうでしょう。
フルニトラゼパムへの依存を避けるためにも、用法用量を守って医師の指示に従いながら服用しましょう。
Q5. フルニトラゼパムを過剰摂取するとどうなりますか?
フルニトラゼパムを過剰摂取すると、うとうと状態から昏睡などの中枢神経抑制作用に基づく症状があらわれる場合があります。[1]安全に不眠治療をするために、決められた用量用法の遵守を徹底しましょう。
フルニトラゼパムは効果が強力で即効性のある睡眠薬|まとめ
フルニトラゼパムが「やばい」といわれる理由には、睡眠効果の強さや副作用、依存性や離脱症状が出る可能性などが関係していると考えられます。
たしかに、フルニトラゼパムの使用には注意が必要ですが、医師の指示通りに用法用量を守って服用すれば、過度な心配は必要ないでしょう。
フルニトラゼパムを服用中の方で、副作用にお悩みの方や、睡眠効果があまり感じられなくなってきた方などは、自己判断で調整せずに早めに医師に相談しましょう。
不眠で悩んでいる方や、睡眠薬に対して不安をかかえている方は、ぜひ一度おおかみこころのクリニックへご相談ください。
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参考文献
[1] フルニトラゼパム|添付文書(アメル)
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/672173_1124008F1067_2_02
- この記事の編集者
- 稲嶺 千春
薬剤師。心療内科の門前薬局での勤務経験あり。フリーライターとして医療・健康分野を専門に執筆活動中。