「デパスをこのまま飲み続けて大丈夫なのかな?」
「デパスを減らしたり、やめたりすることはできるのかな?」
このようなお悩みや疑問をかかえていないでしょうか?
デパスを飲み続けて大丈夫か、リスクがないのかは非常に気になりますよね。将来的にはデパスの量を減らしたり、飲まずに済ませたりしたいはず。
今回は「デパスの副作用」や「飲み続けるリスク」「必要性」について解説します。デパスを減らす際の一般的な流れも合わせて説明するので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の内容
デパスとは
デパスはエチゾラムという有効成分を含む、ベンゾジアゼピン系抗不安薬です。
しっかりした効果が早くあらわれ、薬の価格も安いため、日本の内科や心療内科などで気軽に処方されてきました。
しかし、2024年3月現在、安易な処方・濫用防止の観点から第三種向精神薬に指定(2016年10月〜)されており、1回の最大処方日数も30日に制限されています。[1][2]
デパスの効果・効能
デパスは、不安や緊張をやわらげたり、寝付きや睡眠の持続を助けたりする薬です。
具体的には神経症やうつ病、心身症、統合失調症などによる「不安」や「緊張」「抑うつ」「睡眠障害」などに処方されます。
筋肉をほぐす効果(筋弛緩作用)もあるため、腰痛や首の痛みなどにも使われることもあります。[3]
デパスの一般的な飲み方
デパスの一般的な服用回数や量は、不安や緊張をもたらす原因や症状によって異なります。具体的には、次のとおりです。
<神経症、うつ病>
通常、成人には1日3mgを3回に分けて経口投与する。
<心身症、頸椎症、腰痛症、筋収縮性頭痛>
通常、成人には1日1.5mgを3回に分けて経口投与する。
<睡眠障害>
通常、成人には1日1〜3mgを就寝前に1回経口投与する。
薬の副作用によるふらつきを防ぐため、高齢者の最大投与量は1日1.5mgまでと少なめに設定されています。
また、上の用法用量はあくまで一般的なものです。
医師は患者さんの症状や年齢に合わせた量を処方しているため、指示された服用量や飲み方を守ることが大切です。[3]
自分で飲み方や量を調整するのはやめましょうね💦
デパスのジェネリック
ジェネリック医薬品とは、最初に発売された「先発品」の特許が切れた後に、別の製薬会社から発売される医薬品のことです。
有効成分が同じで、品質や効き目、安全性も基本的に変わりませんが、薬の値段(薬価)が安いのが特徴です。
デパスのジェネリック医薬品は「エチゾラム錠」で、現在は多くのジェネリック医薬品が発売されています。[4]
デパスの副作用
デパスのおもな副作用には、次のようなものが挙げられます。
- 眠気
- ふらつき
- めまい
- 口の渇き
- 便秘
- 脱力感
- 筋肉の緊張低下
- 発汗
- 排尿障害
一番多い副作用は眠気で、13.2%ほどの方にあらわれると言われています。車の運転・危険を伴う機械の操作などは避けましょう。
そもそも高齢者は、転倒による骨折で寝たきりになるリスクが高いため、よりいっそうの注意が必要です。
一方、重大な副作用には、次のようなものがあります。
- 依存性
- 呼吸抑制、炭酸ガスナルコーシス
- 悪性症候群(発熱、極度の筋緊張、頻脈、血清CK上昇など)
- 横紋筋融解症(筋肉痛、脱力感、血清CK上昇など)
- 間質性肺炎
- 肝機能障害、黄疸
デパスを服用する中でいつもと違う症状が出た場合は、医師と相談して適切な対応を取りましょう。[3]
重大な副作用のうち、依存性についてはこれから詳しく説明します。
デパスを飲み続けると起こりうるリスク
デパスを含むベンゾジアゼピン系薬剤を飲み続けると、次のようなリスクがあります。
デパスを飲み続けることに不安のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
耐性ができて薬が効かなくなる
耐性とは、薬を服用するうちに徐々に効かなくなり、同じ効果を得るために服用量を増やさなければならないことです。[5]
どの程度の期間デパスを飲むと耐性ができるのかは、現在明らかになっていません。
薬が効かなくなったからといって自己判断で薬を増やすと、副作用や次に説明する依存症のリスクが高まるので注意が必要です。
「なんだか薬が効いてない気がする…」と思ったら、先生に相談してみましょう!
依存性により薬をやめるのが大変になる
デパスは飲み続けると依存性が出て、「薬を飲まないと落ち着かない」という状態になる可能性があります。
薬を飲んでいる間は問題ないのですが、薬を減らしたり中止したりすると、不安やイライラ感が出てしまうのです。
デパスを寝る前だけ飲んでいる人にも、依存性は報告されています。[5]
急激に薬を減らすと離脱症状が起こる
デパスの服用量を急激に減らすと、「離脱症状」と呼ばれる次のような症状があらわれることがあります。
- 不安感
- いらいら感
- 筋肉のけいれん
- 発汗
- 頭痛
- 吐き気
デパスの離脱症状は、服用中止から2〜3日で強く出るケースが多く見られます。離脱症状を防ぐために、薬の減量はゆっくりと慎重に行います。[5]
デパスを飲み続ける必要性はあるのか
デパスで不安や緊張、睡眠障害が改善したのちは、様子を見ながらゆっくりと薬を減量・中止するのが望ましいでしょう。
以前は気軽に処方されたデパスですが、近年は不安症状が改善した後、どのように薬をやめるかの出口戦略も重要視されるようになりました。
そのため、症状が安定したら次のようなチェックを実施し、不安症状や睡眠障害の原因がないかを探ることもあります。
- 不眠を起こす病気(レストレスレッグス症候群、閉塞性睡眠時無呼吸症候群など)が隠れていないか
- 他に飲んでいる薬に睡眠障害を起こすものがないか
- 不安や不眠を悪化させるような生活を送っていないか
- アルコール・カフェインなどにより不安・不眠が引き起こされていないか
問題が見つかった場合は、病気の治療や生活指導、認知行動療法、心理的サポートなどを行います。
必要な治療・サポートは人によって異なるため、医師の指示に従うことが大切です。[5]
あなたが生活で困っている症状を治すことが大切です
デパスはやめられるのか【減薬・中止の一般的な流れ】
デパスの減薬・中止は、症状が落ち着いているときに医師と相談しながら行います。
一般的な方法は「薬の1回量を少しずつ減らす」「薬を飲む間隔を長くする」「他の薬に少しずつ置き換える」の3つです。
急激に薬を減らすと離脱症状が起こりやすいため、減薬・中止はゆっくりと慎重に行います。[5]
Q: デパスを飲んでいると全員が薬をやめられなくなるのですか?
デパスを飲み続けている方全員が、薬をやめられなくなる訳ではありません。
デパスを長く飲んでいても、問題なく薬をやめられる人もいます。
とはいえ、自己判断での減薬・中止は症状の悪化に繋がるため、気になる点は医師に相談しましょう。
Q: デパスと一緒に飲んではいけない薬はありますか?
「併用禁忌」と呼ばれる、デパスと絶対に一緒に飲めない薬はありません。
ただし、次の薬はデパスと一緒に飲むと眠気やふらつきが強く出るおそれがあるため、注意が必要です。
- 中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体など)
- MAO阻害剤(一部のパーキンソン治療薬・抗結核薬)
- フルボキサミンマレイン酸塩
- アルコール
医師・薬剤師の両方でチェックしているため、同じ病院・医師に処方された薬は一緒に飲んでも大丈夫です。
一方、他の病院にかかる際は必ずデパスを飲んでいることを伝え、一緒に飲める薬を出してもらいましょう。
また、副作用が強く出るのを防ぐために、デパスを飲んでいる際のお酒は控えてください。[3]
Q: デパスを飲み続けると元気になりますか?
デパスを飲むと、「不安症状が強い」「夜眠れない」「筋肉の緊張がつらい」などの症状がやわらぐため、一時的には元気になります。
ただし、デパスを飲み続けると薬が効かなくなったり、やめにくくなったりします。そのため、適切なタイミングでの減薬・中止が必要です。
自己判断での中止・減薬は離脱症状を招く可能性もあるため、医師の指示に従いましょう。
自己判断での減薬・断薬はキケンです💦
Q: デパスの代わりになる漢方薬はありますか?
デパスとまったく同じ効果のある漢方薬はありません。
漢方薬は東洋医学、デパスは西洋医学の薬と、両者は不安や緊張をやわらげるアプローチ方法が異なるためです。
とはいえ、不安や緊張をやわらげる漢方薬はいくつかあり、症状や体質に合わせて処方されるケースもあります。
デパスの代わりになる漢方薬について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
デパスを飲み続けるかは医師とよく相談しよう|まとめ
デパスを飲み続けるかは、不安、睡眠障害の程度やうまく薬を減らせるかなどの個人差があります。
飲み続けると耐性や依存性が出るおそれがあるため、基本的には徐々に減らしていくことが望ましいでしょう。
ただし、自己判断で薬を減らしたりやめたりするのは危険です。離脱症状による強い不安感やイライラを感じる可能性があります。デパスの減量・中止は、医師とよく相談しながら行いましょう。
デパスを飲み続けることについて不安や心配ごとがある方は、ぜひ一度おおかみこころのクリニックへご相談ください。
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参考文献
[1] 社会保険診療報酬支払基金|保険請求の基礎知識https://www.ssk.or.jp/shinryohoshu/kiso/kiso_i/index.files/kiso_2016_12_01.pdf
[2]厚生労働省医薬・生活衛生局|薬物乱用防止に関する情報https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/oshirase/20160914-1.html
[3]デパス|添付文書https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/400315_1179025C1054_2_1
[4]日本ジェネリック製薬協会|ジェネリック医薬品とは
https://www.jga.gr.jp/general/about.html
[5]厚生労働省重複副作用疾患別対応マニュアル|ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000842887.pdf
- この記事の執筆者
- 南尾優香
薬剤師。心療内科や総合病院の門前薬局で勤務経験あり。現在は医療・健康分野を中心に、フリーライターとして活動中。