セディールを頓服したときの効果|副作用や寝る前の服用についても解説




不安や緊張をやわらげてくれる抗不安薬。正しく服用すれば、生き生きとした毎日を送るための強い味方になります。

とはいえ、初めて処方された薬は効果や副作用、実際に自分に効いてくれるのかなどが気になることでしょう。

この記事では効能・効果など、セディールに関して知っておきたい基本的な内容を解説し、セディールについての悩みにも薬剤師が回答します。

セディールの効果や安全性が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

セディール(タンドスピロン)とは

セディールは、タンドスピロンという成分を含む抗不安薬です。

住友ファーマ株式会社という日本の製薬会社から1996年に発売され、多くの患者さんに処方されています。[1]

ここでは、セディールの基本的な情報について以下にまとめます。

セディール(タンドスピロン)の効能・効果

セディールは「幸せホルモン」とも呼ばれる「セロトニン」の働きをよくすることで、不安症状をやわらげる薬です。

具体的には、不安障害(神経症)における「抑うつ」「恐怖」の改善や、自律神経失調症を含む心身症における「抑うつ」「不安」「焦躁」「睡眠障害」などの改善に使われます。[1]

セディール(タンドスピロン)の一般的な飲み方

セディールの用法用量は次のとおりです。

セディールの用法用量
通常、成人には1日30mgを3回に分け経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減するが、1日60mgまでとする。

高齢者は作用が強く出る可能性があるため、少ない量から始める場合もあります。[1]

セディール(タンドスピロン)と他の薬の比較

セディールはセロトニンに作用し、抗不安薬としてよく使われるベンゾジアゼピン系薬剤(デパス・リーゼなど)とは違った方法で不安症状をやわらげます。

そのため、ベンゾジアゼピン系薬剤で問題となる依存症(薬をやめにくくなること)がほぼ起こらないのが特徴です。

ただし、セディールは不安症状をやわらげる効果が比較的弱いとされています。

症状が長く続いている方や強い方には効果があらわれにくいので、セディールが効かない場合は他の薬に変更して治療を行います。[1]

セディールを含む抗不安薬の比較・使い分けについては、下記の記事も参考にしてください。

セディール(タンドスピロン)の効果時間

セディールを服用すると、0.8〜1.4時間後に血液中の薬の濃度が最大になります。そのため、理論上は飲んで1時間ほどで効果が出ると言えます。

また、血液中の薬が半分になるまでの時間は1.2〜1.4時間で、効果が切れるのも早い薬です。

しかし、実際にはセディールの即効性は弱く、安定した効果を得られるまで2週間ほど掛かります。[2]

飲んですぐの効果を感じにくいこともあり、「薬が効いている」という感覚のないまま自然に症状が改善する方もいます。[3]

こころちゃん
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「すぐ効くけど、早く効果が切れる」ということですね。

セディール(タンドスピロン)の副作用

セディールのおもな副作用には、次のものが挙げられます。[1]

  • 眠気
  • ふらつき
  • もうろう状態
  • 頭痛・頭重
  • めまい
  • 四肢のしびれ
  • 霧視
  • 不眠
  • 食欲不振
  • 便秘
  • AST・ALT・γ-GTP・ALPなどの上昇
  • 動悸・頻脈
  • 悪心・嘔気・嘔吐
  • 口渇
  • 倦怠感・脱力感
  • 気分不良 など

一番多い副作用は眠気で、1.56%の方にあらわれます。自動車の運転を含む危険な機械の操作は避けてください。[4]

また、重大な副作用には次のようなものがあります。

  • 肝機能障害・黄疸
  • セロトニン症候群
  • 悪性症候群

発熱やふるえ、意識がはっきりしない、皮膚の色がいつもより黄色いなど、普段と違う症状があらわれた際はすぐに医師に相談してください。

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こころちゃん
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ここからは質問に答えていくね!

Q:セディール(タンドスピロン)に頓服の効果はありますか?

セディールは、頓服で飲んでも効果を感じにくい薬です。

そのため頓服で使うケースは珍しく、1日3回定期的に服用するのが一般的な飲み方です。

なお、頓服にはセディールよりも効果が早くて強い「ベンゾジアゼピン系薬剤」を使うケースが多く見られます。

もし頓服で処方されているベンゾジアゼピン系薬が合わない場合も、自己判断でセディールを飲むのは避け、医師に相談してください。

Q:セディール(タンドスピロン)を寝る前に飲むと睡眠薬になりますか?

睡眠を直接助ける作用は弱いため、セディールを頓服の睡眠薬として使うケースはほぼありません。[1]


近年はさまざまな睡眠薬が発売されており、「寝付けない」「途中で起きてしまう」など、個人の悩みに合わせた薬を処方できます。

睡眠薬が必要な場合は、医師に相談して適切な薬を出してもらいましょう。

Q:セディールは自律神経失調症に効果がありますか?

セディールは自律神経失調症による「抑うつ」「不安」「焦躁」「睡眠障害」などに効果が認められています。[1]

薬の発売後に行われた調査によると、自律神経失調症でセディールを服用した患者さんのうち、80.0%の方の体調が改善しています。[4]

また発売前の臨床試験では、1日あたり30mg未満のセディールを服用した方の49.1%、30~60mg未満の62.0%、60mgの87.5%の方に、「中等度改善」以上の効果が見られました。

とはいえ、中にはセディールの効果を感じられない方もいるため、気になることは医師に相談してください。

Q:セディールが効かない場合はどうしたら良いですか?

セディールが効かないと感じる場合は、医師に相談しましょう。

セディールの量を増やしたり、他のベンゾジアゼピン系薬剤や抗うつ薬などに処方を変えたりする対応が取られると考えられます。

また、セディールは飲んですぐに効果を感じにくいため、「効かない」と思っていても実際は少しずつ症状が改善しているかもしれません。[3]

医師に今の状態を伝えることで、セディールが実際は効いているのか、他の薬の方が適しているかなどを判断してもらえます。

症状が改善しなくてつらいときは、我慢せず病院に連絡してみましょう。

こころちゃん
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気になることがあったら先生に相談してみましょう!

Q:セディールと効果の同じ漢方薬はありますか?

全く同じ効果ではありませんが、セディールのようにセロトニンの働きを助ける漢方薬には「抑肝散(よくかんさん)」があります。[5]

セディールは西洋医学の薬、漢方薬は東洋医学の薬で、治療に関するアプローチ方法が異なります。

症状や体質によって合う薬は異なるため、漢方薬の処方を希望する方は医師に相談してください。

セロトニンを増やす漢方薬については、こちらの記事で詳しく説明しています。

まとめ

セディールは幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の働きを助けることで、不安症状をやわらげます。

一度服用しただけでは効果を感じにくいため、頓服ではなく1日3回で毎日服用するのが一般的です。2週間ほど続けて服用することで、安定した効果を得られるでしょう。

代表的な副作用は「眠気」「ふらつき」「頭痛」などで、他のベンゾジアゼピン系抗不安薬で問題視される「依存性」が起こりにくいのが特徴です。

セディールの効果・副作用について気になることがある場合は、おおかみこころのクリニックまでお気軽にご相談ください。

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参考文献
[1]セディール錠|添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/400093_1129008F1039_2_11#HDR_SeriousAdverseEvents

[2]今日の治療薬2024 P902|南山堂

[3]セロトニン作動性抗不安薬タンドスピロンの最適投与法の構築|日本医療薬学会年会講演要旨集
https://www.jstage.jst.go.jp/article/amjsphcs/12/0/12_250_1/_article/-char/ja/

[4]セディール錠|インタビューフォーム
https://sumitomo-pharma.jp/product/sediel/attachment/interv.html

[5]ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)|添付文書
https://medical.tsumura.co.jp/products/054/pdf/054-tenbun.pdf

この記事の執筆者
南尾優香
薬剤師。心療内科や総合病院の門前薬局で勤務経験あり。現在は医療・健康分野を中心に、フリーライターとして活動中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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