「ワイパックスはどのくらいで効果が出るんだろう」
「将来的にやめることはできるのかな」
このような疑問をかかえていませんか?
ワイパックスが処方され、即効性はあるのか、効果がちゃんと出るのかなどが気になるのではないでしょうか。
この記事ではワイパックスについて、効果が出るまでの時間や頓服での服用方法、離脱症状などの副作用について解説します。
薬の効果には個人差がありますが、一般的な内容を知ることで、より安心して薬を服用できます。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
この記事の内容
ワイパックス(ロラゼパム)とは
ワイパックスはロラゼパムという成分を含む、ベンゾジアゼピン系抗不安薬です。[1]
薬の分類で、ワイパックスは「マイナートランキライザー」という言い方をされることもありますが、抗不安薬とほぼ同じ意味です。[2]
ワイパックスの効能・効果
ワイパックスは、不安をやわらげ、気持ちを落ち着かせる薬です。
具体的には、神経症や心身症(自律神経失調症・心臓神経症)における「不安」「緊張」「抑うつ」などの改善に使われます。
発売前に行われた臨床試験によると、神経症に対しての有効率は52.7%、自律神経失調症・心臓神経症に対する有効率は59.3%とされています。[1]
ワイパックスの一般的な飲み方
ワイパックスの用法・用量は以下の通りです。
- 用法・用量
- 通常、成人にはロラゼパムとして1日1~3mgを2~3回に分けて経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。
飲む回数やタイミングは、個人の症状によって異なります。指示された飲み方を守って服用してください。[1]
ワイパックスの頓服での飲み方
ワイパックスの頓服での飲み方は、個人の症状によって異なります。
頓服では1回量を0.5〜1mgとして、決まって飲む量と合わせて1日3mgを超えないよう処方するのが一般的です。
飲むタイミングや量は、症状や他に飲んでいる薬から医師が個別に判断します。[1]
ワイパックスの副作用
ワイパックスの代表的な副作用を、下に紹介します。[1]
- 眠気
- 不眠
- ふらつき・めまい・立ちくらみ
- 頭重、頭痛
- 動悸
- 悪心・嘔気・胃部不快感
- 便秘・下痢
- 食欲不振
- 口渇
- 発疹
- 倦怠・脱力・疲労感 など
一番多い副作用は眠気で、6.9%の方にあらわれます。次に多いのはふらつき・めまい・立ちくらみで、発現頻度は3.2%です。[3]
眠気や集中力の低下が起こりやすいため、ワイパックスを飲んでいる間は車の運転を避けてください。
ワイパックスの重大な副作用には、以下のものがあります。
- 依存性
- 刺激興奮・錯乱
- 呼吸抑制
「依存性」はワイパックスを長く飲んでいる人に起こりやすい副作用で、「薬がないと落ち着かない状態」のことです。また、いきなり薬をやめると「離脱症状」が起こり、不安感や不眠、ふるえなどが出る可能性があります。
ワイパックスを飲んでいて何か気になる症状が出たら、すぐに医師に相談してください。
24時間予約受付中
離脱症状については、後で詳しく説明します。
気になることがあったら、すぐに病院に電話してみましょう。
ワイパックスを飲んではいけない人
持病が悪化する可能性があるため、次の人はワイパックスを飲むことができません。[1]
- 急性閉塞隅角緑内障の人
- 重症筋無力症の人
また、次に当てはまる人は「薬の作用が強くなる」「持病が悪化する」などのおそれがあるため、ワイパックスの服用に注意が必要です。
- 心障害のある人
- 脳に器質的障害のある人
- 衰弱している人
- 中等度又は重篤な呼吸不全のある人
- 腎機能障害や肝機能障害のある人
- 妊娠中・授乳中の人
- 子供
- 高齢者
ワイパックスの服用が本当に必要なのかを医師が慎重に判断し、「薬の量を少なくする」「授乳を避けさせる」などの対応も行います。
また、以下の薬を飲んでいる人も、ワイパックスの服用に注意が必要です。
- 中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体・バルビツール酸誘導体など)
- モノアミン酸化酵素阻害剤
- マプロチリン
- ダントロレンナトリウム
- プレガバリン
- クロザピン
- プロベネシド
- バルプロ酸
- リファンピシン
- 経口避妊ステロイド など
薬の量を調節するケースもあるため、飲んでいる薬がある人は必ず医師・薬剤師に伝えてください。
また、アルコールは眠気や集中力低下などの副作用を強めます。ワイパックス服用中の飲酒は避けてください。
ワイパックス(ロラゼパム)の効果が出るまでの時間
ワイパックスは、飲んでからおよそ2時間後に血液中の濃度が最大になります。そのため、少なくとも2時間以内には効果が出ると考えられます。[1]
また、血液中の薬の量が半分になるまでの時間は約12時間で、血液中から消えるまでの時間は24時間です。
ワイパックスがどの程度の時間で効き始めるかは、薬の服用量や年齢、もともとの症状の強さなどによって異なります。
不安症状のおさまり具合や眠気の出方などについて気になることがあれば、医師に気軽に相談してみてください。
24時間予約受付中
ワイパックス(ロラゼパム)の離脱症状
離脱症状とは、飲み続けていたワイパックスを減らす際に起こる副作用です。
飲むのが当たり前の状態からいきなり薬を減らすと身体が驚き、「不安」「イライラ感」「筋肉のぴくつき・けいれん」「動悸」「頭痛」「吐き気」などのつらい症状があらわれます。[4]
離脱症状の期間
ワイパックスの離脱症状は、薬をやめてから7日以内に起こるのが一般的です。
最も強い離脱症状が起こりやすいのは2〜3日以内とされていますが、個人差がある内容です。
離脱症状が出た場合は、薬の減量ペースが早すぎたと判断します。一度薬の量を少し戻し、改めてゆっくりと薬を減らしていきます。
ワイパックスを減らしてから調子が悪い場合は、我慢せずに医師に相談してみてください。
先生と相談しながら慎重にやめましょうね!
ワイパックス(ロラゼパム)のやめ方
ワイパックスをやめる際は、身体が気付かないくらい少しずつ薬を減らしていきます。
「早く薬をやめたい」と思いがちですが、離脱症状を起こさずに薬を減らすには、焦らないことが大切です。
ワイパックスのやめ方は、以下3つの方法があります。[4]
- 1回の服用量を少しずつ減らしていく
- 少しずつ薬を飲まない日を増やしていく
- 他の薬に置き換える
状況によっては、3つの方法を組み合わせることも珍しくありません。
ただし、ワイパックスを減らしたりやめたりできるのは、不安症状が改善し、経過も安定している人です。
症状が安定しないうちに自己判断で薬を減らすと、不安感がぶり返す可能性もあります。
薬を減らす際は生活環境の見直しや、心理的サポート、認知行動療法などを行うケースもあるため、必ず医師の指導を受けましょう。
Q:ワイパックスとデパスはどちらが強いですか?
「どの薬がよく効くか」には個人差があるため、ワイパックスとデパスのどちらを強いと感じるかは人によって異なります。
たとえば、下に紹介する抗不安薬の比較表では、ワイパックスの作用強度は「強」、デパスは「中」とされています。
作用強度 | 作用時間のタイプ | |
ワイパックス | 強 | 中間型 |
デパス | 中 | 短時間型 |
しかし、分類表ではワイパックスの方が強いとされているのに、実際は「デパスの方が効く気がする」と思う方も珍しくありません。
作用時間の長さと効果のバランスが異なるため、ひとくくりに「こちらの方が強い薬です」とは言えないのです。
人によって、よく効く薬は異なります。医師と相談しながら、自分に合う薬を探していきましょう。
Q:ワイパックス(ロラゼパム)は1日何錠まで飲んでいいですか?
ワイパックスを1日何錠まで飲んでいいかは「年齢」「症状の強さ」「副作用」「他の薬の服用状況」などから、医師が個別に判断します。
1日あたり1〜3mg飲むのが一般的ですが、ワイパックスには0.5mg錠と1mg錠があります。
正確な処方が分からない状況では、「1日何錠まで飲める」という表現自体が適切ではありません。
処方されているワイパックスが0.5mg錠なのか1mg錠なのかによっても、1日に服用できる錠数は異なります。
「2倍量を飲んでしまった」「半分量しか飲んでいなかった」とならないよう、飲む錠数は必ず医師・薬剤師に確認してください。
先生が症状や他の飲んでいる薬などを考えて、あなたに合った薬の量を処方してくれてます。
Q:ワイパックス(ロラゼパム)を飲むと痩せるってホント?
副作用に「体重減少」はないため、基本的にはワイパックスを飲んで痩せることはないでしょう。[1]
ただし、以下のケースでは結果的に体重が減る可能性があります。
- ワイパックスの副作用「食欲不振」「悪心(気持ちが悪くなること)」により食欲が落ちるケース
- 不安症状から「過食」が出ていた人の症状がワイパックスでおさまるケース
- 体重が増えやすい薬からワイパックスに変更になったケース
ワイパックスを飲み始めてから食欲や体重が減った場合は、医師に相談しましょう。
まとめ
ワイパックスは即効性も期待できるベンゾジアゼピン系抗不安薬で、服用後に効果が出るまでの時間は2時間以内です。
よく出る副作用は眠気で、長く飲み続けると依存性、離脱症状などが出ることもあります。
ワイパックスの量や飲み方は、症状の強さや副作用、他に飲んでいる薬の有無などから医師が判断します。必ず医師の処方した量を守って服用してください。
ワイパックスについて気になる内容がある場合は、おおかみこころのクリニックまで気軽にご相談ください。
24時間予約受付中
参考文献
[1]ワイパックス|添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/672212_1124022F1067_3_04#HDR_ContraIndications
[2]精神安定剤/抗不安薬|厚生労働省e-ヘルスネット
[3]ワイパックス|インタビューフォーム
https://www.pfizermedicalinformation.jp/system/files/medpage_section/wpx01if_3.pdf
[4]ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000842887.pdf
[5]今日の治療薬2024 P902|南江堂
- この記事の執筆者
- 南尾優香
薬剤師。心療内科や総合病院の門前薬局で勤務経験あり。現在は医療・健康分野を中心に、フリーライターとして活動中。