ゾルデピム:マイスリー【アモバン/ルネスタとの違いや副作用】




睡眠薬を使っていると、「いつまで飲めばいいんだろう」「依存症とかは大丈夫かな…」といった不安を感じることもあるでしょう。

今回の記事では、非ベンゾジアゼピン系で超短時間作用型の「マイスリー(ゾルピデム)」について、特徴や副作用、依存性をわかりやすく解説します。

マイスリーは「寝つきが悪い」という入眠障害によく使われる薬です。

とんぷくでの有効性が認められているため、眠れない症状があるときにだけ使うとよいでしょう。

また、薬への耐性がつきにくく、依存性が少ないのもマイスリーの特徴です。

マイスリーや睡眠薬に関する不安をお持ちの方は、最後まで読んで参考にしてください。

マイスリー(ゾルピデム)とは【アモバンやルネスタとの違いも】

マイスリー(ゾルピデム)の効果・作用時間・半減期・用量・後発品・薬価を紹介

マイスリー(ゾルピデム)は非ベンゾジアゼピン系の入眠剤として知られています。

半減期はおよそ2時間で「超短時間作用型」に分類されていて、おもに「寝つけない」という症状に使われる薬です。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬には、他にアモバン(ゾピクロン)ルネスタ(エスゾピクロン)があります。

これらは、いずれもマイスリーと同じ「超短時間作用型」の入眠剤として知られています。

マイスリーは非ベンゾジアゼピン系の入眠剤

マイスリーは、非ベンゾジアゼピン系の入眠剤です。

不眠症の症状は、以下のようにさまざまです。

  • 寝つきがわるい「入眠障害」
  • 夜中に目がさめる「中途覚醒」
  • 朝早く目がさめる「早朝覚醒」

マイスリーは、この中でも「入眠障害」に対して使用される薬です。

ガイドラインでも入眠障害には、半減期の短い睡眠薬の使用が推奨されています。

また、非ベンゾジアゼピン系とベンゾジアゼピン系の違いを以下の表にまとめました。

薬の効き目に差はないものの、非ベンゾジアゼピン系の方が副作用が少ないといわれています。

非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン系
長期投与の効果の持続(耐性不形成)ありなし
高齢者の原発性不眠症に対して推奨する推奨しない
非ベンゾジアゼピン系とベンゾジアゼピン系の違い(睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療療ガイドラインから作成)

マイスリーとアモバン / ルネスタを比較

非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬には、マイスリーの他にアモバン、ルネスタがあります。

各薬剤の概要は、以下表の通りです。

商品名マイスリーアモバンルネスタ
一般名ゾルピデムゾピクロンエスゾピクロ
作用時間超短時間作用型
半減期(hr)245~6
用量(mg)5~107.5~101~3
睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療療ガイドラインから作成

いずれの非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬も、超短時間作用型に分類されます。

アモバン(ゾピクロン)は、鏡像関係である「S体」と「R体」が含まれるラセミ体です。

ルネスタ(エスゾピクロン)は、ゾピクロンの睡眠効果を発揮している「S体」のみを製剤化した薬剤となります。

マイスリーのジェネリック(後発品)の薬価

マイスリーは錠剤ですが、後発品には以下の剤型があり、薬価は以下の通りです。

先発品・錠5mg/10mg( 24.2円/40.2円 )
後発品・錠5mg/10mg( 10.1円/10.1〜14.6円 )
・OD錠5mg/10mg( 10.1円/14.6円 )
・ODフィルム5mg/10mg( 14.9円/24.8円 )
・内用液5mg/10mg( 35.2円/50.7円 )

※ここで紹介する薬剤名および薬価は一例です。同じ有効成分の後発薬でも、メーカーによって価格は異なります。

マイスリーの副作用【依存性や離脱症状は?】

マイスリーの副作用を紹介

マイスリーの重大な副作用は以下の通りです。

  • 依存性
  • 離脱症状
  • 精神症状、意識障害
  • 一過性前向性健忘 ( 0.1〜0.5%未満 )
  • 呼吸抑制
  • 肝機能障害、黄疸

睡眠薬を服用していると、依存性や休薬時の離脱症状が気になるのではないでしょうか。

非ベンゾジアゼピン系のマイスリーも依存(頻度不明)やイライラ感などの離脱症状(0.1〜5%未満)が認められています。

一方で、マイスリーには反復投与しても耐性がつきにくい(耐薬性)、依存性が形成されにくいという特徴もあります。

マイスリーの4,485例の市販後調査などの結果では、おもな副作用は以下の通りです。

  • 眠気 ( 0.5% )
  • ふらつき ( 0.4% )
  • 肝機能障害 ( 0.4% )
  • ALT上昇 ( 0.4% )
  • γ-GTP上昇 ( 0.4% )
  • AST上昇 ( 0.3% )
  • 一過性前向性健忘 ( 0.2% )
  • LDH上昇 ( 0.2% )

マイスリーなどの睡眠薬を服用する際の注意点【急にやめるとどうなる?】

マイスリーなどの睡眠薬は「反跳性不眠」といった中断時の離脱症状に注意が必要

「睡眠薬を使い始めると、ずっと使わないといけないの?」「だんだん効果が弱くなってきて、薬の量を増やさないといけなくなるの?」

睡眠薬を使うときに、こういった不安はありませんか?

ここでは、以下の2点について解説します。

睡眠薬の依存症・離脱症状 について【マイスリーを中心に】

薬への依存性はマイスリーに限らず、他のどの睡眠薬にも認められています。

いったん睡眠薬を飲み始めた後にやめると、以前よりも眠れなくなる「反跳性不眠」がおこる可能性があります。

一方で、マイスリーは頓用(飲むタイミングを症状に合わせて決めること)における有効性が認められています。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬であるゾルピデムの頓用( As-needed / Non-nightly 療法 )が定期服用時と同等の治療効果を有し、また認容性に優れていることを示す複数のエビデンスがあり、比較的軽症で治療初期の不眠症患者に対する治療選択肢の一つとなりえる

睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療療ガイドライン

マイスリーの頓用服用の研究は、延べ3,000人以上で実施されています。

これらの研究から

マイスリーの服用量が増加する傾向が認められないだけでなく、長期間の連用を防いだり、使用量が減量する傾向がみられたりと結果が得られております。

睡眠薬を減量するときの注意点

睡眠薬を長く服用した後に、飲むのをやめるときには注意が必要です。

個人の判断で薬を中止すると前より眠れなくなったり、離脱症状があらわれたりする可能性があるため、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。

このとき、飲んでいる睡眠薬を徐々に減量することで、不快な症状を軽くできる可能性があります。

具体的な方法は以下の通りです。

  1. 症状が治っている状態から服用量の4分の1の量を減らす
  2. 1〜2週間様子をみる
  3. 不快な症状が出なければさらに4分の1の量を減らす

自己判断による睡眠薬の減量で症状が悪化する可能性もあります。

「飲んでいる薬を減らしたい」と思ったときには、必ず医師といっしょに正しい方法で減薬をしていきましょう。

マイスリー(ゾルピデム)は医師の指示通りに服用しましょう

マイスリーは、比較的副作用の少ない入眠剤です。

症状に合わせて使うことができるため、依存性や反跳性不眠が少ないといわれています。

ただし、自分の判断による休薬や減量が思わぬ副作用をおこす可能性もあります。

マイスリーをはじめとする睡眠薬の飲み方・減らし方でわからないことがあればなんでも相談してくださいね!

参考

睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン

ルネスタ錠添付文書(1mg/2mg/3mg)

マイスリー錠添付文書(5mg/10mg)

マイスリー錠「再審査結果および使用上の注意改訂のお知らせ」

PR TIMES「睡眠に関する実態調査」

Göran Hajak et al, Experience with zolpidem ‘as needed’ in primary care settings. 2004;18 Suppl 1:35-40; discussion 41, 43-5. (2023-07-19 閲覧).

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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