ゾピクロン:アモバン【口の苦みがヤバい】ルネスタやマイスリーとの違い




今回の記事では、非ベンゾジアゼピン系で超短時間作用型の「アモバン(ゾピクロン)」について、特徴や副作用、依存性をわかりやすく解説します。

アモバンはマイスリーと同様「寝つきが悪い」という入眠障害によく使われる薬です。

こころちゃん
こころちゃん

「苦みがヤバい」
って聞いたけどホント?

浅田先生
浅田先生

たしかに
苦みはよくある副作用のひとつだよ!

※苦みについてすぐに読みたい方はこちら

アモバンや睡眠薬に関する不安をお持ちの方は、最後まで読んで参考にみてください。

アモバン(ゾピクロン)とは【非ベンゾジアゼピン系の睡眠障害改善剤】

アモバン(ゾピクロン)とは【非ベンゾジアゼピン系の睡眠障害改善剤】

アモバン(ゾピクロン)は非ベンゾジアゼピン系の睡眠障害改善剤として知られています。

半減期はおよそ4時間で「超短時間作用型」に分類されており、おもに寝つきが悪い方に使われる薬です。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬には、他にルネスタ(エスゾピクロン)マイスリー(ゾルピデム)などがあります。

これらは、いずれもアモバンと同じ「超短時間作用型」の入眠剤として知られています。

アモバンは非ベンゾジアゼピン系の睡眠障害改善剤

アモバンは、非ベンゾジアゼピン系の睡眠障害改善剤で、おもに「入眠障害」に使用される薬です。

不眠症の症状は、以下のようにさまざまです。

  • 寝つきがわるい「入眠障害」
  • 夜中に目がさめる「中途覚醒」
  • 早朝に目がさめる「早朝覚醒」

薬の効き目には差はないものの、非ベンゾジアゼピン系の方が副作用が少ないといわれています。

2つの比較を表にまとめました。

非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン系
長期投与の効果の持続(耐性不形成)ありなし
高齢者の原発性不眠症に対して推奨する推奨しない
非ベンゾジアゼピン系とベンゾジアゼピン系の違い(睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療療ガイドラインから作成)

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、6〜12ヵ月の長期服用データが集まっており、ベンゾジアゼピン系睡眠薬より格段に安全性が向上していることが確認されています。

アモバンとルネスタ / マイスリーを比較

非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬には、アモバンの他にルネスタ、マイスリーがあります。

各薬剤の概要は、以下表の通りです。

商品名アモバンルネスタマイスリー
一般名ゾピクロンエスゾピクロゾルピデム
作用時間超短時間作用型
半減期(hr)45~62
用量(mg)7.5~101~35~10
効果・効能不眠症
麻酔前投薬
不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)不眠症
睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療療ガイドラインから作成

いずれの睡眠薬も、超短時間作用型に分類されます。

アモバンの効能効果には、不眠症の他に「麻酔前投薬」があります。

麻酔前投薬とは、手術前夜に使用することで麻酔薬や手術による副作用を軽減するものです。

アモバンのジェネリック(後発品)の薬価

アモバンと後発品の薬価は以下の通りです。

先発品錠7.5mg / 10mg( 13.1円 / 14.5円 )
後発品錠7.5mg / 10mg( 6〜6.5円 / 6.7〜7.3円 )

※ここで紹介する薬剤名および薬価は一例です。同じ有効成分の後発薬でも、メーカーによって価格は異なります。

アモバンの副作用【口の中の苦みや依存性・離脱症状は?】

アモバンの副作用【口の中の苦みや依存性・離脱症状は?】

アモバンの苦味

頻度が1%以上の主な副作用は以下の通りです。

  • ふらつき、眠気、頭重、頭痛
  • ALTの上昇
  • 口中の苦み( 8.06% )、口渇
  • だるさ

アモバンは「口中の苦み」という独特な副作用が、8.06%の頻度で報告されています。

薬を飲むときだけではなく翌日に苦みを感じることもあり、食べものや飲みものの味が変わる人もいるようです。

これはアモバンの苦味成分が、唾液から分泌されるからと考えられています。

つまり、多めの水で服用したり、翌日にあめやガムを食べたりしても苦みを防ぐことはできません。むしろ、唾液の分泌が増えると苦味が強まる可能性もあるため注意しましょう。

アモバンの依存性や離脱症状

アモバンの重大な副作用は以下の通りです。

  • 依存性
  • 呼吸抑制
  • 肝機能障害
  • 精神症状意識障害
  • 一過性前向性健忘、もうろう状態( 0.06% )、睡眠随伴症状(夢遊症状等)
  • アナフィラキシー

睡眠薬を服用している方は、依存性や薬を中断したときの離脱症状が気になるのではないでしょうか。

非ベンゾジアゼピン系のアモバンにも依存性の副作用が認められています。

長期間・高用量の服用は依存性のリスクを高めるため、個人の判断で睡眠薬を使うのは危険です。

また急に服用を中断すると、薬を飲みはじめる前よりも眠れなくなる「反跳性不眠」をおこす恐れもあるので注意しましょう。

薬の量の減らし方はガイドライン上に以下のように定められています。まずは医師の指示に沿って服用・減薬することが大切です。

  1. 症状が治っている状態で服用量の4分の1量を減らす
  2. 1〜2週間様子をみる
  3. 薬を減らして不快な症状がなければ、さらに4分の1量を減らす

アモバンとルネスタの違い【構造・有効性・安全性の差は?】

アモバンとルネスタの違い【構造上・有効性・安全性の差は?】

アモバンとルネスタの一般名は以下の通りです。

商品名一般名
アモバンゾピクロン
ルネスタエスゾピクロン

同じ「ゾピクロン」が含まれている薬には、どのような違いがあるのでしょうか。

構造と有効性・副作用の2つの点からみていきましょう。

アモバンとルネスタの構造上の違い

アモバン(ゾピクロン)は、鏡像関係である「S体」と「R体」が含まれるラセミ体と呼ばれるものです。

鏡像関係とは、薬の構造は同じでも左手(S体)と右手(R体)のように立体的に2種類存在します。

睡眠薬として作用するのはS体であり、S体のみを薬にしたものがルネスタ(エスゾピクロン)です。

アモバンとルネスタの有効性・安全性の違い

アモバンとルネスタの有効性・安全性は同等であったという海外の研究結果があります。

アモバン7.5mgとルネスタ3mgを4週間服用した研究で、総睡眠時間や眠りにつくまでの時間などで、同じ効果を示しました。

また、副作用は苦味も含めて頻度は同様です。

しかしこの研究は、それぞれの薬を服用している患者さんが100名程度と限られた研究であるため、アモバンとルネスタの有効性と安全性は全く同じであると断言するには注意が必要です。

その他、睡眠薬について疑問がある方は下記の記事も参考にされてください。

まとめ

アモバンは超短時間作用型の入眠剤であり、比較的副作用が少ないとされる非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬として知られています。

服用時および翌日の「口の中の苦み」が出ることがあり、食べものの味が変わることもあります。およそ1割のケースで苦みを感じることがあるとされているため、頭に入れておきましょう。

薬の中断時の依存性は少ないとされているものの、反跳性不眠をおこす可能性があるため、自己判断による薬の減量や休薬は危険です。

アモバンをはじめとする睡眠薬の飲み方や自分に合った薬の選び方が分からない場合はおおかみこころのクリニックへご相談ください。あなたに合った薬を一緒に選んで、ストレスのない生活を目指していきましょう。

24時間予約受付中

この記事の執筆者
牧野泰尚
薬剤師ライターとして記事執筆・編集・監修に従事。

参考

睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン

e-ヘルスネット|不眠症

【短時間型睡眠薬】ゾピクロンの苦味はなぜ起こる?~原因や対策について解説~|EPARKくすりの窓口コラム

ルネスタ錠添付文書(1mg/2mg/3mg)

アモバン錠添付文書(7.5mg/10mg)

マイスリー錠添付文書(5mg/10mg)

宇田篤史ら|ゾピクロン錠とエスゾピクロン錠の苦味比較(第2報)ランダム化二重盲検クロスオーバー試験

Luciano Ribeiro Pinto Jr et al, Eszopiclone versus zopiclone in the treatment of insomnia. Clinics (Sao Paulo). 2016 Jan;71(1):5-9.

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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