抗うつ薬の飲み忘れに気づいたとき、次の服用までに時間がある場合はすぐに飲みましょう。なぜなら、抗うつ薬はきちんと飲まないと離脱症状が出たり、効果を十分に得られない可能性があるからです。
この記事では「抗うつ薬を飲み忘れると何が起きるか」「抗うつ薬を飲み忘れたときの対処法」「抗うつ薬を飲み忘れたときの注意点」といった内容について解説します。
記事の後半には抗うつ薬に関する質問への回答もまとめているので参考にしてください。
抗うつ薬を飲み忘れると何が起きる?
飲み忘れると何が起きるのか解説します!
吐き気などの離脱症状が出る可能性
抗うつ薬を飲み忘れると、離脱症状が出る可能性があります。
離脱症状とは、薬の使用を中止したり、使用量がいつもより減ったりしたときに生じる症状のことです。
いろいろな不快な症状が出ますが、抗うつ薬で起きる可能性のある離脱症状は以下の通りです。
- めまい
- 頭痛
- 吐き気
- だるさ
- しびれ
- 耳鳴り
- イライラ・不安・不眠
- ソワソワ感
- シャンビリ感
シャンビリ感とは、金属音のような「シャンシャン」という耳鳴りと、電気が流れたような「ビリビリ」というしびれる感じが両方あることです。これはSSRIの離脱症状によく見られます。
期待する効果が得られなくなる可能性
抗うつ薬を飲み忘れると、期待する効果が得られなくなる可能性があります。
抗うつ薬はいつも決まった時間に飲んでいると、血中濃度が安定して、いつも同じ血中濃度を保つことができます(定常状態)。
薬を飲み忘れると血中濃度は一旦下がり、元の状態に戻るまでに数日必要となります。
治療効果があるのは、有効成分の血中濃度が保たれているからであり、これが崩れると上手く薬効が得られない場合があるのです。
治療中断につながる可能性
抗うつ薬を飲み忘れると治療中断につながる可能性があります。
抗うつ薬は再発防止の意味も含めて、ある程度の長期間飲む必要のある薬です。
内服治療を始めてすぐは薬の効果が発揮される前である可能性が高いでしょう。
そこで「飲み忘れても飲んでいるときとあまり変わらない」「飲んでいるときよりも調子が良い」などと感じてしまうことがあります。
飲み忘れをきっかけに自己判断による服用中止のリスクがあるのです。
抗うつ薬を飲み忘れたときの対処法は?
もし飲み忘れちゃったらどうしたらいいの?
飲み忘れたときのポイントを解説するよ!
次の服用までに時間ある場合はすぐに飲む
抗うつ薬を飲み忘れたことに気づいたら、次の服用までに時間があるならすぐに飲みましょう。
一方、次の服用時間が近い場合は1回飲むのをやめるようにします。
もしくは、すぐ服用して次に服用するまでの間隔を伸ばすのも選択肢の一つです。
その場合に「空けるべき間隔の目安」は以下の通りです。
- 1日3回飲む場合:4時間以上
- 1日2回飲む場合:5時間以上
- 1日1回飲む場合:8時間以上
抗うつ薬は食事の影響を受けにくい薬です。
もし食後服用の薬であったとしても、飲むのが空腹時になっても構いません。
胃腸が弱く不安な方は、クッキーなどを少し食べてから飲むと良いでしょう。
次の診察時に主治医に報告する
飲み忘れたことを、次の診察時に主治医に報告しましょう。
主治医は「きちんと服用していること」を前提に診察します。
きちんと服用しているのに効果が十分ではないと判断すると、薬の増量を検討する可能性もあります。
絶対に飲み忘れない人なんていません。飲み忘れてしまったからといって、怒られるわけではありません。
飲み忘れたことを正直に報告することも、今後の治療にプラスになることもあります。主治医と一緒に今後の飲み忘れ対策を考えることも大切です。もし、飲み忘れたら主治医の先生に相談してみましょう。
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抗うつ薬を飲み忘れたときの2つの注意点
抗うつ薬を飲み忘れたときの注意点を2つ解説します。
【注意点1】飲み忘れたからと2回分を1回に飲まない
「飲み忘れたから」といって、2回分をまとめて飲まないでください。
抗うつ薬は食後に服用する場合が多いですが、本来、食事の影響を受けにくい薬です。
空腹時でも良いので時間を空けてか飲みましょう。
【注意点2】あらかじめ飲み忘れたときの対処法を医師・薬剤師に確認しておく
うつ病の程度やその他の健康状態、服用している抗うつ薬の特徴に詳しい医師や薬剤師にあらかじめ飲み忘れたときの対処法を確認しておきましょう。
Q1.健康な人が抗うつ剤を飲んだらどうなる?
健康な人が抗うつ薬を飲んでも、通常通りに生活できます。
ただし、うつ病の人と同程度に副作用が現れる可能性があるでしょう。
だからと言って、家族や友人が服用している抗うつ薬を譲り受けて服用するのは止めましょう。思いもしない副作用が現れるかもしれません。
Q2.レクサプロを飲み忘れるとめまい症状は起きる?
めまい症状は離脱症状である可能性があります。
レクサプロを含むSSRIという種類の抗うつ薬は離脱症状が起きやすいということで知られています。1回の飲み忘れでも起きないとは言えません。
しかし、レクサプロは、副作用でもめまい症状が起きる抗うつ薬です。
今まで服用して体内に残っているレクサプロの副作用である可能性もあります。
どちらなのか断定はできませんが、今までレクサプロを飲んでいてめまい症状がなかったのなら、おそらく離脱症状でしょう。
Q3.夜飲む抗うつ剤を飲み忘れたら朝飲んでも大丈夫?
はい、朝、気づいたときに飲んでください。
ただし、次の薬を夜に飲むときは、8時間以上の間隔を空けるようにしましょう。
たとえば、飲み忘れた分を朝10時に飲んだら、その日の夜の分は18時以降に飲むようにしましょう。
抗うつ薬の飲み忘れに気づいたらすぐ飲もう!
抗うつ薬は次の服用が近いとき以外は、飲み忘れに気づいたらすぐに飲みましょう。
抗うつ薬はきちんと飲まないと離脱症状が出たり、効果を十分に得られない可能性があり危険です。
そして、次の服用までの間隔を十分に取りましょう。
事前に飲み忘れたときの対応を尋ねておき、焦らずに対処することが大切です。
もし、事前に確認していなくても、飲み忘れたときは、早めに主治医に相談して、不安を取り除きましょう。小さな不安も積み重なると大きなストレスになります。おおかみこころのクリニックは患者さんのストレスを減らすように関わっています。あなたの相談をいつでもお待ちしています。
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参考文献
今日の治療薬解説と便覧2017(南江堂)
日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DSM-5)/ 大うつ病性障害 2016