大きい音が怖い【聴覚過敏】はうつ病の前兆?対策を解説




「大きい音が怖いのはうつ病と関係がある?」

こんなふうに悩んでいる方はいませんか?

大きい音が怖いと日常生活に不安が付きまとい、心身が疲れてしまいますよね。

浅田先生
浅田先生

「大きい音が怖い」というのは、聴覚過敏といわれる状態です。

そこで今回の記事では、うつ病にともなう聴覚過敏の対処法や治療法について解説します。大きい音への恐怖を取り除き、少しでも生活が楽になるお手伝いができれば幸いです。

「大きい音が怖く感じる」のはうつ病のサインかも

「大きい音が怖く感じる」のはうつ病のサインかも

「今までは平気だったのに、急に大きい音が怖く感じる」というのは、うつ病のサインかもしれません。うつ病では、痛みや聴覚などの感覚が敏感になるため、日常の音に恐怖を感じる場合があります。[1]

今までは気にならなかった「ドアがバタンと閉まる音」や「話し声が大きい人」などに不安を感じるようになり、戸惑っている方もいるでしょう。

自分の感覚の変化に気づいたら「もしかしたら心が疲れているのかも」と捉え、早めに休養をとるようにしてください。

うつ病により聴覚過敏が起こるメカニズム

うつ病により聴覚過敏が起こるメカニズム

うつ病と聴覚過敏は大きく関係しています。

以下では、聴覚過敏の概要や、原因、治療法などについて解説します。チェックリストもあるため、自分に当てはまるかどうか確認しながら読み進めてみてくださいね。

聴覚過敏とは

聴覚過敏は、音が頭に響いたり耳が痛んだりする状態です。多くの場合で不安やイライラなどの不快感を伴います。

うつ病では、セロトニンの分泌量低下や心の防衛反応により感覚が過敏になるため、聴覚過敏の症状が出やすくなるのです。

赤ちゃんの泣き声や食器が触れ合う音などが頭に響き、頭痛やめまいなどの身体的な不調を誘発することもあります。[2]

健常者との違い

聴覚過敏の人とそうでない人では、音の感じ方に違いがあります。

「聴覚過敏の人は特別に耳がよい」というわけではありません。

聞こえている音量は同じでも、音の感じ方に違いがあるのです。[1]

多くの人が気にしない音により心身の調子を崩すため、そのつらさが周囲に理解されづらい傾向があります。

聴覚過敏の原因やきっかけ

聴覚過敏の原因やきっかけは人によりさまざまです。

聴覚過敏は、聴覚路(音を脳に伝える経路)と、非聴覚路(記憶や情動、認知など)が相互に影響し合って現れます。ストレスやうつなどの精神疾患では、非聴覚路の働きが高まり音の認知が敏感になる場合があります。[3]

また、睡眠不足やストレスが続くと自律神経のバランスが乱れ、聴覚過敏が出やすくなるため心身の休養が大切です。

聴覚過敏の症状

聴覚過敏は、周囲のザワザワ感など全ての音に過敏な人もいれば、ある特定の音のみに過敏な人もいます。具体的には、以下のような症状がみられます。

  • 人込みや駅でのザワザワ感に疲れ、帰宅後に寝込んでしまう
  • 他人の話し声と目の前の人の話し声が同じ大きさに感じ、会話がしづらい
  • 子どもや赤ちゃんの泣き声が頭に響き、耐えられない
  • 掃除機の音に不快感があり、その場から逃げ出したくなる

上に挙げたように、音への反応には個人差が大きいのです。

聴覚過敏の治療法

聴覚過敏の症状を個性と捉え付き合っていくか、積極的に治療していくかは本人次第です。

聴覚過敏のために仕事や生活に支障をきたしている場合は、薬物療法や心理療法などで治療していきましょう。聴覚過敏は、睡眠不足により症状が強くなるため、睡眠障害は薬物療法を用いて積極的に治療していきます。

不安やうつの症状が強く、感覚の過敏性が高まっている場合は、抗うつ薬を用いて不安やうつの症状を緩和し、聴覚過敏の症状を抑えていきます。

聴覚過敏により不安やうつの症状が悪化している場合は、認知行動療法などの心理療法が有効です。[4]

うつ病と聴覚過敏は相互に影響し合っているため、負のループの断ち切りが必要です。

うつ病にともなう聴覚過敏が生活に与える影響

うつ病にともなう聴覚過敏が生活に与える影響

聴覚過敏の症状があると、疲れやすく体調を崩してしまうこともあるため、日常生活に制限が生じます。

例えば「ドアがバタンと閉まった音」に恐怖を感じたとき、心の中には以下のようなさまざまな考えが浮かぶでしょう。

  • 私の一言が相手の機嫌を損ねてしまったのだろうか
  • 「怒っているぞ」という私へのメッセージかもしれない
  • 私のことが嫌いに違いない

聴覚をきっかけにグルグル思考に陥り、うつ状態が悪化してしまいます。その結果、体調が不安定になったり人とのかかわりを避けるようになったりして、活動や人付き合いに不自由が生じるのです。

特に「今までは音に対する恐怖を感じなかったのに、急に音をきっかけにマイナス思考に陥るようになった」「急に大きな音が怖くなった」という方は要注意です。

うつ病のサインの可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。おおかみこころのクリニックは土日も診療をしています。予約制で一人ひとりと向き合っておりますので、お気軽にご相談ください。

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大きい音への恐怖を軽減する方法

大きい音への恐怖を軽減する方法

大きい音への恐怖を軽減するには、以下のような方法があります。自分に取り入れられそうなものから始めてください。

ひとつずつ解説していきます。

耳栓やイヤーマフを使用する

耳栓やイヤーマフは、音による苦痛を感じたときに手軽に行える対処法です。

長時間の装着は、音の認知機能を悪くする可能性があるため、短時間の装着を意識してください。[4]

職場で使用したい場合は、あらかじめ上司へ事情を説明しておきましょう。

苦手な音が出る環境を避ける

人込みや騒がしい音が苦手な方は、そのような状況が予想できる環境を避けましょう。

買い物は混雑している時間を避けたり、飲み会の参加回数を減らしたりして、心身の疲弊を防いでください。

音への恐怖感が大きく日常生活に支障がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

生活習慣の見直し

聴覚過敏は、睡眠不足や疲労の蓄積により症状が増悪します。

そのため、睡眠時間や休養の時間を確保し、ストレスや疲労の軽減を意識しましょう。

仕事量が多い方は、自分の症状について上司に説明するなどして仕事量の見直しが必要です。

上司に自分で伝えるのが難しい方は、医師の診断書を提出する方法があります。

おおかみこころのクリニックは、診断書の即日発行が可能ですのでぜひご相談ください。

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うつ病に併発した聴覚過敏の受診の目安

うつ病に併発した聴覚過敏の受診の目安

うつ病による聴覚過敏は、自力で治すのは困難です。

「最近、聴覚過敏の症状が気になる…」という方は、心が疲れているサインです。

休息をとり、気分の落ち込みや聴覚過敏が消失するようであれば、様子を見て構いません。

しかし、休息をとっても状態が改善しない場合や、思うように休息が取れず症状が悪化していく場合は、心が限界に近づいているサインです。すぐに医療機関を受診しましょう。

「仕事を休まないといけないかも…」と不安に思われる方は、もし仕事を休むことになった場合の今後の流れが分かっていると、少し安心できるのではないでしょうか?気になる方は下記の記事をご覧くださいね。

まとめ

今回は、うつ病にともなう聴覚過敏について解説しました。

うつ病の状態が落ち着くにつれて、聴覚過敏の症状の症状も落ち着きます。聴覚過敏の症状が残るうちは、イヤーマフなどのアイテムを利用したり、苦手な音や状況を避けたりしましょう。また、聴覚過敏の症状を増悪させないために、睡眠や休養をしっかりとるようにしてください。

大きい音が怖いと日常生活に制限ができたり、音のストレスによりうつ症状が悪化したりするため、早めに医療機関を受診しましょう。

おおかみこころのクリニックでは、24時間予約を受け付けています。診察は22時まで対応可能ですので、来院しやすい時間にお気軽にお越しくださいね。

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参考

[1]「キーン」と続く耳鳴りに強い苦痛を感じてはいませんか?一般社団法人日本うつ病センター

https://www.jcptd.jp/contents/contents/detail/72?categoryId=49

[2]聴覚過敏の診断と治療|2. 聴覚過敏とは何か

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/120/9/120_1184/_pdf

[3]聴覚過敏の診断と治療|3. 発現機構について

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/120/9/120_1184/_pdf

[4]聴覚過敏の診断と治療|5. 治療

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/120/9/120_1184/_pdf

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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