めまいに効く漢方薬7選|自律神経からくるめまいや耳鳴りに効く漢方薬も解説




「突然、目の前がぐるぐる回転するようなめまいに襲われることがある」

「ふわふわするめまいが起きるとまっすぐ歩けなくなる」

このようなお悩みをかかえていないでしょうか?

ストレス社会といわれる現代では、めまいに悩む方が少なくありません。また、更年期やPMS(月経前症候群)が原因で生じるめまいにお悩みの方も多いでしょう。

この記事では、めまいの種類原因めまいに効果的な漢方薬について解説します。

繰り返すめまいにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

めまいの種類と症状

めまいには大きく分けて、ふわふわする浮遊性のものや、目の前がぐるぐる回る回転性のもの、立ちくらみのようなものがあります。[1]

ふわふわするめまい(浮動性)

からだがふわふわ、ゆらゆらして、まっすぐ歩きにくい点が特徴です。めまいの状態を「雲の上を歩く感じ」や「水に浮いている船に乗っている感じ」と表現する方もいます。浮動性のめまいは、脳の異常が原因で起こることが多いとされています。

ぐるぐるするめまい(回転性)

回転性のめまいが起こると立っていることが難しく、強い頭痛や吐き気を伴うことが多い点が特徴です。回転性のめまいがあるときは、平衡感覚をつかさどる耳の奥の三半規管の異常が生じている可能性があります。

立ちくらみのようなめまい

立ち上がろうとする際にクラっとしたり、目の前が暗くなったりするようなめまいが特徴です。血圧などの変動に伴って起こりやすいといわれています。

めまいの原因

めまいの主な原因は、気圧の変化や、ストレスによる自律神経の乱れ、耳や脳の病気などです。

ストレスや気圧の変化による自律神経の乱れ

疲労やストレスなどによる自律神経の乱れは、現代人に多いめまいの原因や悪化のきっかけになるといわれています。

また「天気が悪くなるとめまいや頭痛が起こる」という方も多いでしょう。気圧の変化を耳の奥にある「内耳」が敏感に感知し、その信号が脳に過剰に伝わると、自律神経が乱れてめまいが起こると考えられています。

耳や脳の病気

メニエール病や突発性難聴をはじめとする耳の病気や、脳梗塞や脳出血などの脳の病気も、めまいの原因のひとつです。

耳の病気が関連している場合は、耳鳴りや難聴などの聴覚の異常を伴うことが多くあります。また脳の病気が関連している場合は、めまいのほかに、しゃべりにくさや顔面のしびれがあらわれる場合もあります。

東洋医学で考えるめまい

東洋医学の考えでは、生命活動の維持には体内の「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスを保つことが重要であると考えられています。

それぞれ「気(き)」はからだのエネルギー、「血(けつ)」はからだの栄養、「水(すい)」はからだの水分です。

これらの要素のうち、めまいの主な原因は「水」の異常であるとされています。体内の余分な水分が脳脊髄液や耳の内リンパ液の循環に影響することにより、めまいや耳鳴りを引き起こすと考えられているのです。

めまいに効く漢方薬7選【ツムラの何番かを記載】

ここでは、めまいに対して処方されることのある漢方薬を7つ解説します。

五苓散(ごれいさん)|17番

五苓散は、天候に関係するめまいや、吐き気や嘔吐などを伴うめまいに適した漢方薬です。顔や手足のむくみ、口の渇きなどが気になる方に向いています。

真武湯(しんぶとう)|30番

真武湯は、ふわふわする浮遊性のめまいに効果的な漢方薬です。体力があまりなく、手足の冷えやだるさ、下痢、腹痛などを訴える方に向いています。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)|39番

苓桂朮甘湯は、胃腸の水分代謝を促し、めまいや頭の重だるさなどの改善に役立つ漢方薬です。めまいのなかでも、回転性のめまいにお悩みの方におすすめです。体力があまりなく、立ちくらみや動悸、息切れなどを伴う場合に適しています。

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)|37番

半夏白朮天麻湯は、胃腸が弱く、冷え性な方の回転性めまいに適した漢方薬です。[6] 

頭痛や頭の重だるさに悩む方にも適しています。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)|23番

当帰芍薬散は、更年期障害や月経周期に伴うめまいや耳鳴り、頭痛などの緩和に役立つ漢方薬です。体力が低下しており、冷え性で貧血傾向がある方に向いています。

当帰芍薬散は、下記の記事でも紹介されています。気になる方はご覧ください。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)|16番

半夏厚朴湯は、不安がある方のめまいに適した漢方薬です。一般的には喉がつかえた感じや吐き気などの精神的な症状に対して使用されています。

半夏厚朴湯の効果について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

釣藤散(ちょうとうさん)|47番

釣藤散は、高血圧の傾向があり、慢性的に頭痛がある方のめまいに適した漢方薬です。めまいや耳鳴りに加えて、肩こりやのぼせ、不眠にお悩みの方にも向いています。

こころちゃん
こころちゃん

次からはQ&Aになります♪

Q1. 五苓散はめまいに対して即効性がありますか?

五苓散は、服用してから1〜7日程度で効果があらわれる、比較的即効性のある漢方薬です。[10] 服用してから1日で効果が出ることもあるため、めまいが起きたときに飲む「頓服薬」として処方されることもあります。

Q2. 自律神経からくるめまいに効く漢方薬は?

自律神経からくるめまいにおすすめの漢方薬には、次のようなものが挙げられます。

  • 釣藤散(ちょうとうさん)
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 五苓散(ごれいさん)

自律神経の乱れの原因には、ストレス、更年期症状による女性ホルモンの変動、気圧の変化などがあります。ストレスからくるめまいには釣藤散加味逍遙散気圧の変化によるめまいには五苓散が効果的でしょう。

Q3. めまいにおすすめの市販の漢方薬はありますか?

めまいにおすすめの市販の漢方薬には「沢瀉湯(たくしゃとう)エキス細粒G(小太郎漢方)」「テイラック(小林製薬)」などがあります。

沢瀉湯エキス細粒Gは、とくに回転性のめまいにおすすめの漢方薬です。からだの余分な水分を取り除くことで、めまいや頭の重だるさ、みぞおちのつかえ感などを改善します。[11] 

テイラックは五苓散(ごれいさん)をベースとした医薬品で、低気圧によるめまいや頭痛に適しています。[12] 錠剤タイプなので、漢方薬の味が苦手な方でも、一般的な顆粒タイプのものと比べると服用しやすいでしょう。

漢方薬にもさまざまなメーカーや処方が存在するため、ご自身に合った漢方薬で対応できるように、迷った際は店頭の薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

Q4. 耳鳴りに効く漢方薬には何がありますか?

耳鳴りに効く漢方薬には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)釣藤散(ちょうとうさん)などが挙げられます。

耳鳴りには精神的・身体的ストレスが起因していることもあれば、耳や脳の病気が関連している可能性もあるため、長引く場合は早めに医療機関を受診しましょう。

めまいやふらつき、耳鳴りには漢方薬も効果的|まとめ

ストレスやホルモンなどの関係でめまいや耳鳴りが起きている場合、漢方薬の服用によって症状が緩和される可能性があります。

ただし、めまいの原因には耳や脳の病気が隠れている可能性があります。軽いめまいでも、繰り返す場合には医療機関で検査を受け、異常がないか確認すると安心でしょう。

めまいのほかにも、気分の落ち込みや不安などの精神症状お悩みの方は、一人でかかえこまずに、ぜひおおかみこころのクリニックにご相談ください。

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参考文献

[1] 概念|めまい|KOMPAS(慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト)

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000561.html

[2] 五苓散|添付文書(ツムラ)

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200048D1070_1_10

[3] 真武湯|添付文書(ツムラ)

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200083D1030_1_12

[4] 苓桂朮甘湯|添付文書(ツムラ)

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200145D1059_1_08

[5] 半夏白朮天麻湯|添付文書(ツムラ)

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200124D1022_1_08

[6] 4.眩 暈|小川恵子|金沢大学附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科和漢診療外来|耳疾患に対する漢方治療2P

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/118/1/118_78/_pdf/-char/ja

[7] 当帰芍薬散|添付文書(ツムラ)

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200111D1076_1_11

[8] 半夏厚朴湯|添付文書(ツムラ)

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200122D1074_1_08

[9] 釣藤散|添付文書(ツムラ)

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200101D1030_1_09

[10] 五島 史行(2020).日耳鼻 123:1353-1357|耳鼻咽喉科診療で知っておくと役立つ漢方治療―パフォーマンス漢方― 123―1355

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/12/123_1353/_pdf

[11] 沢瀉湯エキス細粒G|添付文書(小太郎漢方)

https://www.kotaro.co.jp/product/product_list/detail/virtue/d284.pdf

[12] テイラック|添付文書(小林製薬)

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcDetail/ResultDataSetPDF/270172_K2003000014_02_02/A

この記事の編集者
稲嶺 千春
薬剤師。心療内科の門前薬局での勤務経験あり。フリーライターとして医療・健康分野を専門に執筆活動中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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