緊張したり、嫌なことがあると急に眠くなってしまうんです。なにか病気なのかな?
それは、その状況から逃げたいという思いが働いているのかもしれませんね。
けど、病気が隠れているケースも考えられます。詳しく説明していきますね!
「最近なんだか嫌なことがあると眠くなる…」
「緊張してるときに眠たくなるなぁ」
などと悩んでいませんか?
あなたの眠くなるのは「その状況から逃げ出したい」という思いがストレスになり身体が反応しているのかもしれません。
この記事では、嫌なことがあるとなぜ眠たくなるのか、考えられる病気、眠くならないための対処法について解説していきます。
今、嫌なことがあると眠くなって困っているあなたの参考になれば幸いです。
この記事の内容
嫌なことがあると眠くなる原因|緊張したり怒られたりしたとき
嫌なことがあると急に眠くなる原因は、その状況から逃げたいという気持のせいかもしれません。
ここでは、考えられる2つの原因について解説していきます。
正常解離
嫌な事をさけようと現実逃避したくなる反応である「解離」これは、あなたが気づいてないうちに、自分の心を守ろうとして生じている現象のこととされています。
解離と聞くと「何か心の病気なのかな?」と気になりますよね。
解離には病的解離と正常解離があります。自分の心を守ろうとする無意識な行動を、どのくらい意図的に避けようとしているのか、どの程度主体性があるかによって区別されます。[1]
あなたにとって逃げ出したい場面で眠くなるのは、正常解離が無意識に働き眠くなっている可能性があるのです。[2]
心を守るための反応だったのですね
ストレス
嫌なことがあると眠くなる原因として、ストレスも影響しているでしょう。
ストレスが溜まると、ストレスホルモンと呼ばれているコルチゾールが多く分泌されます。その分泌量は、10分~20分の間で2~3倍に増加するという報告があります。[3]
コルチゾールは通常「朝は高く」「夜は低く」という日内変動をします。朝方になるとコルチゾールの働きが高まり、眠気が弱まるのです。仕事や日常生活でストレスを多く抱えると、コルチゾールが夜間にも多く分泌されます。そのため、夜の眠りが浅くなり、日中に眠気が襲ってくることがあるのです。[4]
嫌なことがあると眠くなる病気~夜間眠れていないケース~
嫌なことがあると眠くなるときに考えられる病気は、夜間眠れているかによって変わります。
ここでは、夜間眠れずに日中に眠くなってしまう場合について解説していきます。
不眠症
不眠症の原因は「ストレス」や「心の病気」「薬の副作用」など多くあります。[5]
不眠症といっても、下記のように症状はさまざまです。[6]
- 寝つきが悪い
- 夜中に何度も起きてしまう
- 朝早くに目が覚めてしまう
このような症状によって「日中のやる気がでない」「集中できない」などの問題が生じてくるでしょう。そのため、嫌なことがあると集中できずに眠くなってしまうことが考えられるのです。
夜間眠れていないときは、何科を受診したらいいのか分からないときは下記の記事をご覧ください。
うつ病
うつ病の睡眠障害として多いのが不眠です。うつ病の約85%の方に睡眠障害を認めます。[14]夜に十分に眠れていないことにより、日中に強い眠気が生じることがあるでしょう。
うつ病の治療をすることで改善できることもあるため、気になる場合は早めにクリニックや心療内科を受診しましょう。
嫌なことがあると眠くなる病気~夜間眠れているケース~
夜間もぐっすり眠れているにもかかわらず、日中嫌なことがあると眠くなる場合に考えられる病気もあります。ここでは、考えられる3つの病気について解説していきます。
特発性過眠症
日中の過剰な眠気と居眠りが特徴的な疾患です。居眠りをするのは1時間以上と長く、目覚めて後もスッキリ感が乏しいことが特徴としてあげられます。[6]
その他にも、朝起きるのが億劫になることや頭痛など、自律神経にかかわる症状をともなう場合があります。本人も気づかない間に発症しているケースも多く、気づかないうちに自然治癒していることもあります。
ナルコレプシー
ナルコレプシーの特徴的な症状は突然の眠気。夜間十分な睡眠をとっているにもかかわらず、食事中や運動中など、通常では考えられないような場面で突然眠くなってしまうことがあります。[7]
その耐えられない眠気により10〜20分眠り、比較的眠気がない1〜2時間あり、再び眠気が襲ってくることをくり返すのです。[6]
また、感情の激しい変化(大笑い、驚き、怒りなど)を引き金として身体に脱力が生じることもあります。[8]ほとんどの場合、数秒〜数分で自然回復しますが、ありえないような場面で急な眠気が生じる場合は、早めに受診しましょう。
日常生活に大きな支障が出る前に受診しましょう
双極性障害
うつ病のみでの、過眠の訴えは10~20%なのにたいして、双極性障害の場合は約半数の方が過眠の症状を認めます。[9]
夜間眠っているにもかかわらず、日中も強い眠気が現れるのは「嫌だ」「逃げ出したい」と思い、強い抑うつ状態になり避けようとして眠たい(横になってすごしたい)という思いが過眠として捉えられているケースもあるのです。
嫌なことがあると眠くなる5つの対処法
嫌なことがあるときや、緊張する場面、怒られているときなどに急に眠くなるときの対処法は下記の5つです。
できそうかな?と思えるものから試してみましょう
自分に合った睡眠時間を知る
今自分の身体と心の疲れ具合に対して睡眠時間は合っているのかを考えてみましょう。
必要な睡眠時間は下記の図のように年齢によって変化します。[10]
引用文サイト:健康づくりのための睡眠ガイド 2023(案)|厚生労働省
また、季節によっても睡眠時間は変化します。ただし、睡眠時間には個人差があるため、全ての人が先述した条件に当てはまるとは限りません。[10]
たとえば、10時間を越える長い睡眠が必要なロングスリーパーの方が、7時間睡眠をとると寝不足になるため、自分に適した睡眠時間を見つけましょう。
自分の睡眠状態や日中気分などを少なくとも3~4週間以上記録し、分析する方法もありますが手間のかかります。[11]まずは気軽に、手帳や携帯のメモ機能などに記録していくことから始めてみるといいでしょう。
30分未満の昼寝をする
30分未満の短い昼寝は、長い昼寝よりもその後の眠気と作業成績に効果があるという結果が出ています。[12]
逆に30分以上の長い昼寝には、夜眠れなくなり睡眠リズムを乱してしまう原因になるためさけたほうがいいのです。
また職場で数分昼寝をするには、ベッドがない環境がほとんどでしょう。ですが、机にうつ伏せて寝る方法とベッドでの昼寝の効果には、有意差は少ないことが認められています。[12]
そのため、嫌なことがあると眠くなってしまう方は、お昼休みなどに机でうつぶせて15分程度仮眠をとってみるといいでしょう。
睡眠習慣を見直す
「平日あまり眠れなかったなぁ~」と休日に寝だめをする方も多いと思います。だからといって、睡眠を溜めることはできません。体内リズムがずれることで、健康によくないでしょう。休日に寝だめをしている方は、平日の睡眠習慣自体を見直す必要性があります。[10]
とはいえ、仕事のある日に睡眠習慣を改善することは容易なことではありません。便利家電に頼る、完璧を求めないなど、自分の中での「やらなくてはいけないこと」を見直してみるといいでしょう。
休日「ゴロゴロ過ごす」など、身体を休めることは大切です
気分転換をする
回避したいほどの嫌なことがあると、終わった後もそのことを考えてしまう場合があります。
嫌だったことをぐるぐる考えてしまい、さらなるストレスを招くことになります。ストレスをため込むことで、夜間眠れなくなり日中の眠気が強くなります。そのため、気分転換をすることは大切です。
自分でストレスケアをする
嫌なことや避けたい状況があると眠くなってしまうのであれば、その状況を「嫌だな」と思わないように物事の見かたをかえることも大切です。それには、認知行動療法が有効です。
認知行動療法をすることで、ストレスに感じているのはどこなのかに気づくことができます。[13]
自分でも始めることができるので、下記の記事を参考にやってみましょう。
もし、難しい場合は気軽に専門家をたよってくださいね
嫌なことがあると眠くなる病気|まとめ
嫌なことがあると眠くなるのがなかなか治らない場合は専門家に相談しましょう。
もしかしたら、うまくストレスの発散ができていないのかもしれません。
そのまま放置しておくと、あなたの心が疲れ心の病気になる可能性もあります。
ひとりで悩んでないで、わたしたち専門家を頼ってください。あなたの心が軽くなるお手伝いをさせていただきます。
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参考文献
[1]「解離」に関する臨床心理学的考察―「病的解離」から「正常解離」まで―|福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター 廣澤 愛子
https://core.ac.uk/download/pdf/59037674.pdf
[2]正常解離に関する研究―最早期記憶とTATとの比較から―|﨑山 ちひろ
http://journal.otsuma.ac.jp/2017no27/2017_463.pdf
[3]ストレスホルモンを測る|労働安全衛生総合研究所
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2016/87-column-2.html
[4]眠り、リズムと健康②|国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/hospital/sleep-column6.html
[5]不眠症|e-ヘルスネット
[6]不眠症と過眠症
https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/69/1/69_1_11/_pdf
[7]ナルコレプシーの原因について
https://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=51
[8]中枢性過眠症|中枢性過眠症 | 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
https://www.ncnp.go.jp/nimh/sleep/sleep-medicine/hypersomnia/index.html
[9]気分障害における過眠への対応|鈴木 正泰
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1230070424.pdf
[10]健康づくりのための睡眠ガイド 2023(案)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
[11]より健康的な睡眠を確保するための生活術|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000036721.pdf
[12]昼寝椅子における短時間仮眠が睡眠の質,パフォーマンス,眠気に及ぼす影響|小山 秀紀・鈴木 一弥・茂木 伸之・斉藤 進・酒井 一博
https://www.jstage.jst.go.jp/article/isljsl/95/2/95_56/_pdf
[13]セルフメンタルヘルス|厚生労働省p34
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000881325.pdf
[14]精神疾患にみられる不眠と過眠への対応|内山 真, 鈴木 正泰,今野 千聖,降籏 隆二,大嵜 公一,金野 倫子,高橋 栄
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1120090899.pdf
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士。精神科16年の臨床経験を生かして執筆を担当。現在は訪問リハビリに従事しながら幅広いジャンルにて執筆中。