「リーゼにはどんな副作用があるんだろう?」
「副作用が出たらどうしたらいいのかな?」
このような疑問をかかえていないでしょうか?
リーゼを初めて処方され、どのように効くのか、副作用が大丈夫か不安に思っていることでしょう。
この記事では、リーゼの効能・効果に加えて副作用、副作用が出た時の対処法などを解説します。リーゼを安心して飲めるよう、副作用について知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
他の抗不安薬については、下記の記事よりご覧ください。
この記事の内容
リーゼ(クロチアゼパム)とは
リーゼは、クロチアゼパムという成分を含むベンゾジアゼピン抗不安薬です。現在は5mg錠・10mg錠・10%顆粒の3種類と、ジェネリック医薬品の「クロチアゼパム錠」が発売されています。[1]
「心身安定剤」とも呼ばれており、不適切な処方による濫用を防ぐために1回の処方が30日分に制限されています。
リーゼの効能・効果
リーゼは、気分を落ち着かせ、不安や緊張をやわらげる薬です。
心理的・社会的因子(例:ストレス)により高血圧や胃潰瘍などが出ている方の、「身体の不調」「緊張」「抑うつ」「睡眠障害」などの改善に使われます。[1][2]
また、手術をする前の「鎮静剤」(麻酔前投薬と言います)や、自律神経失調症による「めまい」「肩こり」「食欲不振」にも使われます。
他のベンゾジアゼピン系薬剤と比較すると、作用時間が短めで、穏やかに作用するのが特徴です。[3]
リーゼの効果が出るまでの時間
リーゼを飲むと、およそ1時間後に血液中の濃度が最大になります。「何分」で効くかは個人差がありますが、1時間以内には効いてくるでしょう。
また、薬の血中濃度が半分になるまでの時間は6時間前後です。そのため、飲むと数時間は効果がゆるやかに続くと考えられます。[1]
比較的、即効性のある薬と言えるでしょう。
リーゼを飲んではいけない人
持病を悪化させる可能性があるため、次の方はリーゼを飲むことができません。
- 急性閉塞隅角緑内障のある方
- 重症筋無力症の方
また、次にあてはまる方はリーゼの副作用リスクが高いため、慎重に服用する必要があります。
- 心障害のある方
- 脳に器質的な障害のある方
- 衰弱している方
- 中程度または重度の呼吸不全の方
- 腎機能障害の方
- 肝機能障害の方
- 妊娠中・授乳中の方
- 子ども
- 高齢者
- 中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体・バルビツール酸誘導体など)を飲んでいる方
- MAO阻害剤を飲んでいる方
アルコールは、リーゼの眠気やふらつきなどの副作用リスクを高めます。リーゼとアルコールの併用は避けましょう。[1]
リーゼの副作用
リーゼを安心して服用するには、次の内容を知っておきましょう。
副作用の感じ方には個人差があるため、気になる点は医師に相談してください。
みなさん同じではないので、先生に相談してあなたに合った薬を処方してもらいましょう。
リーゼのおもな副作用
リーゼのおもな副作用には、次のものが挙げられます。
- 眠気
- ふらつき
- めまい
- 頭痛
- 悪心・嘔吐
- 食欲不振
- 便秘
- 口渇
- 胃腸障害
- 疲れやすさ・だるさ
- 脱力感
- 手足のしびれ
- 発疹
- 筋肉痛・関節痛
一番多い副作用は「眠気」で、2.78%の方にあらわれます。[4]
眠気を感じなくても、注意力や集中力が低下する可能性があるため、車の運転を始めとする危険な機械の操作は避けましょう。
リーゼの重大な副作用
リーゼの重大な副作用には、次のようなものがあります。[1]
- 依存性
- 肝機能障害、黄疸
とくに注意が必要なのは「依存性」で、「薬を飲まないと落ち着かない状態」を指します。[5]
依存性が出る流れを、下に紹介します。
- 飲み続けることで「耐性」ができ、薬が効きにくくなる
- 同じ効果を得るため、薬の量が増える
- 「依存性」が出て、薬を飲まないと落ち着かない状態になる
依存性はリーゼを長く飲んでいる方に出やすいのですが、中には出ない方もいます。
他のベンゾジアゼピン系薬と比較した副作用
リーゼの副作用は、他のベンゾジアゼピン系薬とほぼ同じです。
「眠気」「ふらつき」「めまい」「依存性」などが代表的で、リーゼだけに特別注意すべき副作用は無いと考えられます。
リーゼの副作用が起こる確率は4.93%で、他のベンゾジアゼピン系薬剤よりも比較的少ないと言えます。(例:デパスは7.02%、ワイパックスは11.5%)[4][6][7]
とはいえ、副作用には個人差があるため、気になる点は医師に相談してください。
リーゼの副作用が出た時の対処法
副作用の頻度からすると「眠気やだるさで動けない」「気持ちが悪くて食欲が無い」「足元がふらつく」などが起こりやすいと考えられます。
リーゼの副作用が出た場合、自己判断での対処は避けて医師に相談しましょう。
ここからは副作用の対処について、次の内容を掘り下げて説明します。
リーゼの副作用を不安に思う方は、ぜひ参考にしてください。
薬を飲んで不安なことがあったら、先生に相談するのが一番ですよ!
不安を抱えたまま過ごすと治療の妨げにもなっちゃいます💦
勝手にやめてはいけない理由
不安症状や自律神経の乱れがある方は、毎日の体調に波があります。良くなったり悪くなったりを繰り返すことも珍しくありません。[8]
そのため、今の不調がリーゼの副作用によるものなのか、もともとの自律神経の乱れから来るものなのかは、医師の判断が必要です。
また、飲み続けていたリーゼを勝手にやめると「離脱症状」をおこす可能性があります。
離脱症状が起こると、強い不安感やイライラ感におそわれ、より体調が悪化するケースもあるため注意してください。[5]
実際にリーゼの断薬を進める方法
離脱症状を防ぐため、リーゼの断薬はゆっくりと慎重に行います。
具体的には「1回の量を減らす」「飲む間隔を空ける」「他の薬に置き換える」の3つがあり、どの方法でも徐々に薬を減らしていきます。[5]
適切な方法は人によって異なるため、リーゼの断薬は医師の指示に従って行いましょう。
勝手にやめるとリスクが高いので相談しましょうね💦
医師へ相談するのが一番
リーゼの副作用を疑う場合は、まずは医師へ相談するのが一番です。
受診することで、感じた不調が副作用によるものなのか分かり、適切な対処も可能です。
次の受診日まで日にちがあり、すぐの受診が難しい場合は、病院に電話して対応を確認しましょう。
もし相談先にお困りなら、LINEで簡単に予約できるおおかみこころのクリニックでもお話をお伺いします。
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Q:リーゼ(クロチアゼパム)の副作用で「太る」?
副作用で太りやすくなる抗精神病薬(例:リフレックス・レメロンなど)もありますが、リーゼの副作用に「体重増加」「食欲亢進」などはありません。[1]
よって、リーゼの副作用で直接的に太る可能性は無いと考えられます。
ただし、0.03%の方に浮腫(むくみ)があらわれた報告があるため、気になる点は医師に相談しましょう。[4]
また、リーゼで体調が改善し食欲が回復した結果、体重が増えるケースはあるかもしれません。
Q:リーゼ(クロチアゼパム)の副作用で「やる気が無くなる」?
リーゼの副作用で「眠気」「だるさ」などが出ると、「やる気が出ない」と感じる可能性はあります。[1]
やる気の無さがリーゼの副作用によるものなら、薬の量を減らしたり、種類を変えたりすることで改善するでしょう。
ただし、自律神経の調子は日によって異なり、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
やる気の出ない原因が、副作用なのかどうかの診断が必要です。
そのため「リーゼを飲んでもやる気が出ない」と感じるなら、受診時に医師へ相談しましょう。
まとめ
リーゼの副作用には「眠気」「ふらつき」「頭痛」「依存性」などがあり、副作用の有無や強さには個人差があります。
副作用を疑う場合も、自己判断での減薬・断薬はせず、医師に相談してください。
とくに依存性はいきなり薬を減らすと「離脱症状」があらわれ、不安症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。
とはいえ、リーゼは効果が早く、安定した抗不安作用のある薬です。医師は治療に必要な量や飲み方を指示しています。指示された用法・用量を守って服用しましょう。
副作用に関して不安に思う内容は、人によって異なります。もし気になることがあるなら、おおかみこころのクリニックまで気軽にご相談ください。
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参考文献
[1]リーゼ|添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/400315_1179012D1036_2_13#HDR_ContraIndications
[2]心身医学の発展|日本心身医学会
http://www.shinshin-igaku.com/about/about.html
[3]今日の治療薬2024(南江堂)|P902 抗不安薬の作用時間と作用強度・P910 リーゼ
[4]リーゼ|インタビューフォーム
https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1&yjcode=1179012D1036
[5]ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000842887.pdf
[6]デパス|インタビューフォーム
https://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1&yjcode=1179025F3029
[7]ワイパックス|インタビューフォーム
https://www.pfizermedicalinformation.jp/system/files/medpage_section/wpx01if_3.pdf
[8]日本臨床内科医会|自律神経失調症
https://www.japha.jp/doc/byoki/019.pdf
- この記事の執筆者
- 南尾優香
薬剤師。心療内科や総合病院の門前薬局で勤務経験あり。現在は医療・健康分野を中心に、フリーライターとして活動中。