五月病とは|症状やうつ病との違い・五月以外にもなるのかを解説










ゴールデンウィークを過ぎたころからやる気が出なくなったり、体調が悪くなったり…。

さまざまな症状が現れるのが五月病(ごがつびょう)です。

「五月病なんて甘えが原因だ…」と自分を責めてしまうかもしれませんが、五月病は環境の変化によるこころと身体のSOSです。

決してあなたの頑張りが足りないことが原因ではありません。

この記事では、五月病の原因症状対処法などについて解説します。

五月病とうつ病の違い五月以外にも五月病になるのかなど、よくある質問にも回答しています。

五月病とは

五月病は新しい環境にうまくなじめず、心身に不調が出る適応障害のひとつです。[1]

ストレスにより、やる気が出ない、腹痛や吐き気がするなどの症状が現れます。

五月病になるのは、大学生や新入社員だけではありません。

異動や転職などによる環境の変化で、誰もが五月病になる可能性があります。

環境の変化のあとで心身の不調を感じたときは、少し立ち止まって心身を休めてあげましょう。

五月病の原因

五月病の原因として以下が挙げられます。

それぞれ解説します。

限界を超えるストレス

ストレスが個人の限界を超えたときに、五月病の症状が現れることがあります。[2]

ストレスは少しずつこころと身体にたまっていくため、ムリをして気を張っていると心身の変化に気づけません。

5月の連休で心身の緊張がゆるむと溜まっていたストレスを実感し、今までのように頑張ることができなくなってしまうのです。

今までの環境との別れ

今までの環境との別れも五月病の原因として挙げられます。

新しい環境でのスタートは、今まで過ごしてきた環境や大切にしてきたものと別れる体験でもあります。[3]

「早く新しい環境になじまなきゃ!」と自分の気持ちを押し殺すと、ストレスがたまり五月病につながってしまうのです。

さみしさや抑うつ感を感じたときは、否定せずに受け入れましょう。

新しい環境での目標喪失

新しい環境で目標を見失うことも、五月病の原因です。[3]

とくに憧れの大学への入学や企業への就職により、目標を達成した感覚が強いときは注意しましょう。

入学・入社という大きなゴールを叶えたことで気持ちが燃え尽きてしまい、五月病のリスクが高まるのです。

また、新生活が思い描いた理想と違うときも、新しい環境での目標を見失いやすくなります。

こころちゃん
こころちゃん

頑張っていた目標がなくなると、こころがポッカリしちゃいますね💦

五月病の症状

五月病による症状の一例として、以下が挙げられます。[4]

精神的な症状
・イライラする
・やる気が出ない
・ゆううつになる
身体的な症状
・食欲がなくなる
・よく眠れなくなる
・吐き気や腹痛を感じる

五月病の症状はさまざまで個人差が大きく、弱っているところに症状が出るのが特徴です。

たとえば、胃腸が弱い人は胃のムカつきを感じたり、皮膚の弱い人はアトピーになったりします。[5]

いつもと違う感覚を覚えたときは「そろそろ休憩が必要だよ」という身体からのSOSです。

五月病になりやすい人を知りたいときは、こちらからご覧ください。

五月病を防ぐには

五月病を防ぐためには、以下の方法が有効です。

五月病からの抜け出し方について知りたい方は、こちらをあわせてご覧ください。

身体を動かす

五月病を防ぐためには、身体を動かしましょう。

とくにウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動が効果的です。

有酸素運動を続けると以下のような効果が期待できるため、ストレスから身を守る力が高まります。[4]

  • ストレスホルモンが過剰に出なくなる
  • 少しのストレスを受けても心拍数が上がらなくなる

五月病を防ぐために、ムリのない範囲で身体を動かしましょう。

原因探しをしない

五月病の原因探しに集中しないことも大切です。

「なぜ気持ちが落ち込むんだろう?」「家から出たくないんだろう?」と考えすぎると、悩みが深くなってしまいます。

ストレスや悩みはいくつもの原因が重なっているので、特定できないことも多いものです。

原因探しに集中せず、ストレッチをして気分転換する、新しい目標を考えるなど今できることを考えましょう。

新しい目標を見つける

五月病を防ぐためには、目標を立てることが効果的です。

目標を立てることで生活の中に刺激が生まれ、こころと身体が活性化されます。[4]

仕事での目標を見つけづらいときは、プライベートの目標でも構いません。

「1か月仕事を頑張ったら温泉に行く」「給料日にお気に入りのチョコを買う」など、前向きな気持ちになれる目標を考えましょう。

五月病かな?とおもったら

五月病かな?と思ったときは、身体を動かしたり新しい目標を見つけたりして対策しましょう。

以下の症状が現れ始めたときは早めに医療機関の受診しましょう。[6]

  • よいことがおきても気分が晴れない
  • これまで楽しかったことを楽しめない

多くの五月病は新しい環境に慣れることで自然に回復します。

ただ、症状が長引くとうつ病につながることがあるため、放置せず対策することが大切です。[4]

こころちゃん
こころちゃん

気になることがあったら相談してくださいね

Q1.五月病とうつ病の違いは?

五月病とうつ病を見分けるために、以下のセルフチェックに回答しましょう。[4]

以下のうち5つ以上が2週間以上続く場合は、うつ病の可能性が高いと考えられます。

  1. 一日中いやな気分が続くが、朝起きたときが一番ひどい
  2. 何をしても全く気分が晴れない
  3. 食事がのどを通らない、逆に食べ過ぎてしまう
  4. 夜は眠れず、朝の暗いうちから目が覚める早朝覚醒
  5. 本を読んでも頭に入らない。物事の決断が出来にくい
  6. 興味がなくなったり、意欲がわかない
  7. 気分が落ち着かず、動作も落ち着きがなくなる
  8. 自分が駄目な人間としか思えず、死を考えることもある

引用:財団法人 脳神経疾患研究所/総合南東北病院 「五月病」と「うつ」

医療機関を受診しづらい方は、大学の健康管理センターや勤務先の産業医へ相談しましょう。

つらさをひとりで抱え込まず、誰かに相談することが大切です。

Q2.五月以外に五月病になることはある?

以下のようなケースでは、五月以外でも五月病になる可能性があります。

  • 転職や異動で環境が変わった
  • 人間関係のストレスがたまった
  • 新たな仕事を任され疲労がたまった

五月病のような症状が出るときは、適応障害になっている可能性が考えられます。

「今は五月じゃないし…」とムリせず、心身の調子が悪いときは医療機関や専門家に相談してください。

まとめ|五月病はムリせずゆっくり治そう

五月病は適応障害のひとつであり、決してあなたの甘えが原因ではありません。

急激な環境の変化によるストレスが積み重なると、だるさや腹痛などさまざまな症状としてあらわれます。

十分に頑張りすぎた結果として五月病の症状が出ているため、少しペースを落としてゆっくり回復を目指しましょう。

ムリのない範囲で身体を動かしたり、新しい環境での目標を見つけたりすることが有効です。

おおかみこころのクリニックでは、新生活で疲れたあなたのご相談をお待ちしています。

自宅から出る気力がない方は、オンライン診療のご利用がおすすめです。ぜひお気軽にご利用ください。

おおかみこころのクリニック

【参考資料】
[1]5月病 身体動かし予防する|京都産業保健総合支援センター
https://www.kyotos.johas.go.jp/archives/health_information/health_information-5992

[2]適応障害|こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1653

[3]別れ・喪失体験としての五月病適応することは別れ、喪失すること|日本学生支援機構(JASSO)
https://www.jasso.go.jp/gakusei/publication/dtog/__icsFiles/afieldfile/2021/02/07/daigaku489_05.pdf

[4]「五月病」と「うつ」|財団法人 脳神経疾患研究所/総合南東北病院
https://www.minamitohoku.or.jp/kenkokanri/200705/utu.htm

[5]【五月病って実は、日本の現代病!?】withコロナ時代、ストレスとの向き合い方に迫る。|甲南大学

[6]うつ病の主な症状と原因|こころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002

この記事の執筆者
とだ ゆず
メンタルヘルスの記事を中心に執筆する看護師・保健師ライター。 精神科勤務での患者さんとの関わりや自身のうつ病経験から「人の心についてもっと知りたい」と思い、上級心理カウンセラーの資格を取得。 エビデンスに基づいた読者の心に寄り添う記事を心がけている。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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