新年度が始まって2か月ほど経つ頃は、緊張感が少し緩む一方でこころや身体に疲れが出やすい時期です。
「気持ちが前向きにならない」「眠っても疲れがとれない」といった不調を感じることもあるでしょう。
六月病は、環境の変化に適応しようと頑張ってきたときあらわれやすい、こころと身体のSOSサインです。
まじめで頑張り屋さんほど自覚しづらい症状ですが、少し立ち止まってあなた自身をいたわることが大切です。
この記事では、六月病の症状や原因、自分でできる対策、病院を受診する目安について解説します。
毎日を少しでも心地よく過ごすためのヒントになれば幸いです。
この記事の内容
六月病とは
ゴールデンウィークの前後からあらわれる心身の不調を「五月病」といいますが、以下のような症状が6月頃にあらわれるものを「六月病」と呼びます。
- 身体がだるい
- やる気が低下する
- 寝ても疲れが取れない
六月病は、新しい環境に慣れたようで慣れていない時期に起こる心身の不調で、ストレスが一気にあふれやすいのが特徴です。[1]
6月は新しい環境に慣れ始める人もいれば、まだまだ適応できない人もいるなど個人差がみられる時期でもあります。
適応が早い周囲の人たちと比べて自分を責めず、今は休憩が必要な時期だと割り切って心身を休めましょう。

ムリせず休みましょう!
六月病と五月病の違い
六月病と五月病は似ていますが、原因や症状が出るタイミングなどに違いがあります。
比較項目 | 六月病 | 五月病 |
症状が出る時期 | 新生活が始まって2か月ほど経った6月ごろ | 新生活が始まった4〜5月ごろ |
おもな原因 | ・緊張の連続やムリの積み重ねによる心身の疲労 ・周囲との比較による「自分だけうまくいっていない」という感覚 | ・環境の変化によるストレス ・新しい環境への不安、緊張 |
背景の特徴 | 一見慣れているようで内心はムリをしている | 新しい環境に戸惑っている |
イメージ | 慣れたようで慣れていない中で、疲れやストレスが一気にあふれ出した状態 | 環境の変化によるストレスがあらわれている状態 |
六月病か五月病かにかかわらず、今あなたが感じているつらさに目を向けることが回復への大切な一歩です。
頑張りすぎず、自分のペースでこころをととのえましょう。五月病については下記の記事をご覧ください。
六月病の原因
六月病は、以下のような原因がいくつか重なることで起こるとされています。[1]
- 新しい環境にまだ慣れていない
- 人間関係に気を遣いすぎている
- 6月は祝日がなく心身の疲れが取れにくい
- 気候(梅雨)の影響で身体がだるくなりやすい
- 入社・入学前に描いていた理想と現実のギャップに戸惑っている
- 入社・入学後の目標を見失い「なんのために頑張っているんだろう」と感じ始める
六月病の原因の一部は五月病と重なる点があります。
ただ、五月病が「新生活の始まりに直面したストレス」によって起こるのに対し、六月病は「少し慣れてきた頃にあとから疲れが押し寄せる」ようなイメージです。
とくに6月は梅雨に入るため、気圧の変化や湿度の高さが自律神経のバランスを乱し、疲れやすさや気分の落ち込みを引き起こします。
「なんだかつらいな」と感じたときは自分を責めず、まずはその気持ちを大切にして心身を休ませましょう。
六月病の症状チェック
六月病の症状は、身体・こころ・行動の3つの側面にあらわれます。[2]
あてはまるものがあるかチェックしましょう。
- 身体の症状
- ・頭が痛い
・めまいがする
・食欲が低下する
・心臓がドキドキする
・だるさ・倦怠感がある
・眠れない・寝ても疲れが取れない
・下痢・腹痛などの消化器症状がある
- こころの症状
- ・不安を感じる
・わけもなく焦る感じがする
・興味や関心がわかなくなる
・気分が落ち込む・イライラする
・やる気が出ない・おっくうに感じる
- 行動に現れる症状
- ・お酒やタバコの量が増える
・食べすぎてしまう(とくに甘いもの)
当てはまる数が多いほど、こころや身体に疲れがたまっているサインと考えられます。
六月病は誰にでも起こりうる一時的な不調ですが、うつ状態につながることがあるため早めのケアが大切です。
頑張れば何とかなるとムリせず「ちょっと話を聞いてもらおうかな」という気持ちで、おおかみこころのクリニックを頼ってくださいね。
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六月病になりやすい人の特徴
六月病になりやすい人の特徴として、以下が挙げられます。[2]
- 人に頼るのが苦手
- 生活の変化が大きい
- まじめで責任感が強い
- 周囲に合わせようとする
- 頑張りすぎる傾向がある
六月病はまじめで頑張り屋さんほどなりやすいとされています。
「もっと頑張らなきゃ」と思う気持ちが強い分、自分の限界に気づくのが少し遅れてしまうことがあるのです。
自分でできる六月病の対策
自分でできる六月病の対策として、以下が挙げられます。
ひとつずつ確認しましょう。
太陽の光を浴びる
六月病のつらさを感じたときは、まず朝に太陽の光を浴びましょう。
太陽の光には、気分を安定させる「セロトニン」というホルモンの分泌をうながす働きがあります。
セロトニンにより体内時計がととのうため、睡眠の質が上がり生活リズムが安定しやすくなります。
起きてすぐにカーテンを開けたり、通勤・通学時に日なたを選んで歩いたりするなど、ちょっとした工夫で十分です。
朝の光を毎日の習慣にして、六月病によるこころのゆらぎをやわらげましょう。

朝起きたらカーテンを開けましょう!
甘いものを控える
六月病の症状が気になるときは、砂糖を含む甘い食べ物を控えましょう。
東洋医学では、湿気の多い梅雨時期は身体の中にも湿気がたまり、心身の不調を引き起こすとされています。
砂糖には水分を吸ってベタベタする性質があるため、砂糖を多く含む食べ物を摂りすぎると身体の中で「ベタベタしたもの」が増えるイメージです。[3]
たとえば、湿度が高い日の部屋の床がベタッとするように、身体の中にも「湿」がたまって動きにくくなる感覚と考えるとわかりやすいかもしれません。
甘いものが欲しいときは、焼き芋や甘栗、ドライフルーツなど、自然の甘みのあるものを取り入れましょう。身体への負担が少なく、気分が落ち着きやすくなります。
できないことはできないと言う
勇気をもって「できない」と伝えることも、六月病の対策になります。
断りづらいときは、以下のような言い方を参考にしてください。
「今はちょっと余裕がなくて…〇日以降であれば大丈夫そうです」
「申し訳ないのですが、別の形でお手伝いできればと思っています」
「ひとりで対応するのが不安なので、少し助けてもらえるとうれしいです」
とくに新しい環境では「期待に応えなきゃ」と自分にプレッシャーをかけやすいですが、自分の限界を知って立ち止まることも大切です。
Q1.六月病を放置するとどうなる?
六月病を放っておくと、うつ状態に進行する可能性があります。
「まだ頑張れる」とムリを続けてしまうと、こころと身体が限界を迎え気分の落ち込みから抜け出しにくくなってしまうことがあります。
六月病は、少し立ち止まってほしいと心身がサインを出している状態です。
我慢するのではなく「今はこころの充電が必要な時期」と考えて、しっかりと自分をいたわることが大切です。
Q2.六月病で病院に行っても大丈夫?
「毎日しんどい」「仕事や生活に支障が出ている」と感じたら、専門家に相談しましょう。
自分のこころの状態に気づき、立ち止まることは決して弱さではありません。
早めにケアすることで、うつ病のような深刻な不調を防ぐことにもつながります。
「こんなことで受診してもいいのかな…」と思わず、まずは話してみることから始めましょう。
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まとめ
六月病は新しい環境の中で積み重なった疲れやストレスが、こころと身体にあらわれるものです。
「なんとなくつらい」
「朝起きるのがしんどい」
そんな小さな違和感に気づいたときは自分をいたわるタイミングだととらえ、以下のような方法で心身を休ませましょう。
- 太陽の光を浴びる
- 甘いものを控える
- できないことはできないと言う
もし日常生活に支障が出ていたりつらさが長く続いていると感じたりしたときは、ムリせずおおかみこころのクリニックにご相談ください。
あなたのこころが少しでも軽くなるよう、あなたのペースに合わせたサポートを大切にしています。
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【参考資料】
[1]新潟雇用労働相談センター
[2]新富町
https://www.town.shintomi.lg.jp/item/7338.htm
[3]読むだけで心と体が元気になっちゃう漢方養生の本|ロン毛メガネ 大和書房
- この記事の執筆者
- とだ ゆず
精神科看護師としての経験を活かし、メンタルヘルスを中心とした記事を執筆。こころと身体のつながりを大切にしながら、そっと寄り添う文章を心がけています。
保有資格:看護師、保健師、上級心理カウンセラー、漢方養生指導士