「あんな連絡しなければよかった」
「話し合いのとき、あの言い方まずかったかな…」
今日のやりとりを何度も思い返して、眠る前に「ひとり反省会」が始まっていませんか。
反省しているうちに、自分がどんどん嫌いになって落ち込んでいく。
ただ、過ぎたことを何度も後悔しても変わりません。
「まぁしかたない!」と思える夜が増えると、少しずつ自己嫌悪のループから抜け出せるでしょう。
この記事では、ひとり反省会がやめられない理由や、やめるまでのステップを紹介します。
ムリにポジティブにならなくても大丈夫です。気にしすぎてしまう自分を嫌いになりそうなあなたのこころが、少しでも軽くなるきっかけになれば幸いです。
ひとり反省会とは
ひとり反省会とは、仕事や予定が終わり家に帰ったあと、その日の言動を何度もネガティブに考え反省することです。[1]
ネガティブに何度もくり返し考えてしまうことを、ぐるぐる思考や反芻思考(はんすう)と呼びます。
ひとり反省会では、男性よりも女性の方がネガティブに考え込んでしまう傾向にあります。[1]
ひとり反省会の具体例は、以下のとおりです。
- 仕事中の会話で「言いすぎたかも」と何度も思い出してしまう
- 「あのとき、もっといい対応ができたのでは」と後悔している
- 夜になると次から次へとその日のできごとが浮かんで眠れない
- LINEの返信内容を読み返して「失礼だったかも」と不安になる
- 恋人と会ってるときの会話や沈黙を勝手に深読みして自己嫌悪になる
たとえば、寝る前に「あの一言、余計だったかもしれない」「あんなこと言わなければよかった」と何度も思い返してしまうことがあるでしょう。
その場では笑ってやり過ごせたとしても、帰宅後に思い出して自分を責めてしまうのです。
ひとり反省会は、人とのかかわりをもっとよくしたい思いから始まります。
ただ、何度もくり返しネガティブに考えることで、不安な気持ちや自己嫌悪が強まり抑うつ気分になってしまうのです。[1]
ネガティブにくり返し考えてしまう反芻思考については、以下の記事をご覧ください。
ひとり反省会がやめられない理由
ひとり反省会をすること自体は、決して悪いことではありません。
ただ、何度もくり返しマイナスに考えすぎてしまうと、あなたのこころのモヤモヤが増えてしまいます。
ひとり反省会がやめられない背景には、性格や考え方の傾向が関係していることがあります。
たとえば以下のような特徴です。[2]
- 完璧主義な性格
- 細かなことにも気づけるHSPの気質
- ひとり反省会に対するポジティブな考え
完璧主義な考えは「もっとこうしておけばよかった」と完璧を求めます。そのため、相手の反応が気になり、ひとり反省会の機会が増えてしまうのです。
HSP気質は、多くの研究で反芻思考と関係しているという報告があります。[2]
人は気づかなければ、反省することはできません。
そのため、HSPの方の周りの反応や表情を敏感に感じとることができる特性は、ひとり反省会をするきっかけになるのです。
ほかにも「反省するのは悪いことじゃない」「ちゃんと向き合えている証拠だ」と、ひとり反省会をポジティブに考え、その場のつらさをやわらげようとすることもやめられない理由のひとつです。
このように、こころを守るための対処法として、あなたの中でポジティブな考えが確立してしまうと、ひとり反省会がやめられなくなってしまいます。

気になってつい考えすぎちゃう💦
ひとり反省会を続けるリスク
ひとり反省会を長期間続けるリスクは、以下のとおりです。[2]
- 不安感が強くなる
- 自信がもてなくなる
- あきらめやすくなる
ネガティブなひとり反省会をくり返すことで、以下のような感情になります。
「どうせ何をやってもダメだ」
「わたしなんていないほうがいいんだ」
「みんなはできているのに、わたしだけできない」
このように自分自身を否定したり批判したりすることで、気分が落ち込み何か起きたときに諦めやすくなるのです。
そして、人と会うのが怖くなったり、どんなに頑張っても認められないように感じたりして気持ちが沈んでしまうことがあります。
このような「抑うつ状態」は、うつ病ほどではありませんが、こころが疲れているサインです。
そのままにしておくと、うつ病や適応障害などにつながる可能性もあるため、早めにこころを休めることが大切です。
ひとりでぐるぐる悩んでしまうときは、おおかみこころのクリニックにお気軽にご相談ください。
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ひとり反省会をやめるための3ステップ
ひとり反省会をやめるためのステップは以下のとおりです。[2]
それぞれ詳しく解説します。
反省してる自分を責めない
まずは、自分を責めることをやめましょう。
ひとり反省会をしていると「また考えすぎてる」「こんな自分はイヤだ」と、自分を責めることがあります。
しかし、その気持ちは相手に対する思いやりだったり誠実であろうとしたりする思いです。
まずは、自分の気持ちにやさしく寄り添うことから始めましょう。

どうしたら相手に嫌な思いをさせずにすんだのか…
この気持は、相手を思っているからこそです。
②ネガティブな考え方に気づく
次に「わたしはダメな人間だ」「あの一言で嫌われたに違いない」のように、頭の中に勝手に浮かぶネガティブな考えに気づくことが大切です。
ネガティブな考えは、こころが疲れていたり不安が強くなっているときに起こりやすくなります。
たとえば、以下のように考えると気づきやすくなるでしょう。
「あの人の反応、怒ってたのかも」
→ でも本当にそうだった? 体調が悪かっただけかもしれない
「わたしのせいで場が変な空気になった」
→ 全員がそう思ってるとは限らないし、気づいてない人もいたかも
このように「気にしすぎかもしれないな」と思えるだけでも、ネガティブな考えのループを断ち切るきっかけになるのです。
③いつもと違う考え方を選んでみる
ネガティブな考えに気づいたら「もしかしたら、別の見方もできるかも」と、少しだけ違う視点を選んでみましょう。
ムリにポジティブになる必要はありません。
ただ「それって本当かな?」と自分に問いかけることで、少しこころがラクになる考え方に気づけることがあります。
たとえば、以下のような考え方を選んでみてください。
「ダメだったかも」
→ 「完璧じゃなかったけど、ちゃんと伝えようとしてた」
「嫌われたかも」
→ 「全部がうまくいくわけじゃない。次はもう少し落ち着いて話せたらいいな」
あなたのこころにやさしい選択をすることが、ひとり反省会を少しずつ減らしていくポイントとなります。
ひとり反省会でつらいときの対処法
ひとり反省会がつらいときは気晴らしが有効です。[2]
以下のような手軽にできる気晴らしを試してみてください。
- 温かい飲み物をゆっくり味わう
- 短いストレッチや軽いヨガをする
- アロマやお気に入りの香りをかぐ
- お気に入りの音楽を流して深呼吸する
- スマホを一度手放してデジタルデトックスをする
ひとり反省会でこころが苦しくなったら、気晴らしをして気持ちをゆるめる習慣をつくりましょう。
少しづつ、ひとり反省会のループから距離をとることができるようになります。
まとめ|ひとり反省会の夜を少しずつ手放していこう
ひとり反省会をしてしまうあなたは、それだけ誰かのことを大切に思い、周りに気を配れる優しさを持っている人です。
しかし、その優しさであなた自身のこころを締め付けてはつらくなってしまいます。
「やめなきゃ」と思い詰めるとさらにつらくなってしまうため、まずは「今日はこころが疲れてるのかな?」ぐらいに捉えるところから始めてみましょう。
それでもつらい気持ちが続くときは、ひとりで抱え込まずに専門家に相談することも、あなたを守る大切な行動のひとつです。
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【参考文献】
[1]反すう思考の臨床心理学的検討と支援|梅垣 佑介
https://www.nara-wu.ac.jp/liaison/seeds/department/003/umegaki/index.html
[2]反すうに関する心理学的研究の展望|松本 麻友子
https://nagoya.repo.nii.ac.jp/record/14219/files/55_12.pdf
- この記事の執筆者
- 柚木ハル
作業療法士として精神科で17年の臨床経験を積み、現在は訪問リハビリに従事。経験を生かしメンタルヘルスを中心に、やさしく寄り添う文章を心がけて執筆しています。