頭でわかっていても行動できないのは病気?理由や対処法もあわせて解説










「頭でわかっていても行動できないのは病気のせい?」

「やらなければいけないとわかっているのに、やる気が出ない…」

やるべきことが目の前にあるのに行動に移せないと、焦りや不安を感じてしまいますよね。

行動できないことを責めてしまうと、さらに動けなくなる悪循環に陥ってしまいます。

実は、頭でわかっていても行動できないのは、あなたの意思が弱いからではありません。

ストレスや心身の疲れ、隠れた病気が関係している可能性があるのです。

原因を知ることで、適切に対処できるようになります。

この記事では、行動できない原因考えられる病気を解説します。

現状を打開し、少しずつ動き出すためのヒントとしてお役立てください。

なぜ頭でわかっていても行動できないのか

頭でわかっていても行動できない理由には、おもに次の3つがあります。

行動したいのにできない状態には、脳や身体のコンディションがかかわっています。

あてはまるものがないか、チェックしていきましょう。

頭がスッキリしないときは下記の記事もあわせてご覧ください。

意欲障害

意欲障害は、頭でわかっていても行動できない理由のひとつです。

意欲障害とは脳の部位がダメージを受けることで、意欲が低下する状態です。[1]

あなたの性格や根性の問題ではなく、脳機能の問題になります。

具体的には、脳血管障害や脳外傷、認知症などの病気において意欲障害があらわれやすいことがわかっているのです。[2]

たとえば「家事をしなければならない」と頭では理解していても、脳からの指令がうまく出ないために身体が動かないケースが挙げられます。

もし過去に脳血管障害や脳外傷を経験しているときは、意欲障害の可能性を考えましょう。

心身の疲れ

こころと身体に溜まった疲れがブレーキとなり、頭でわかっていても行動できないケースがあります。

人間が活動するにはガソリンとなるエネルギーが必要です。

ただし、心身の疲れがたまっていると、やる気がなくなり行動できないことがあります。[3]

たとえば、長時間の残業や人間関係のストレスが続いた後は、休日になると動けなくなるのです。

エネルギーが足りない状態では、いくら意志を強く持っても身体を動かせません。

ムリに身体を動かそうと焦るのではなく「今はエネルギーを回復させるための休息期間だ」と考えることも大切です。

ブレインフォグ

頭でわかっていても行動できないときは、ブレインフォグを引き起こしている可能性があります。

ブレインフォグとは頭にもやがかかったような状態になり、記憶力や判断力が低下することです。[4]

情報処理がスムーズにいかず、次になにをするべきか考えられなくなるため、行動に移せなくなってしまいます。

ブレインフォグは、新型コロナウイルス感染症の後遺症としてみられます。[4]

「頭がぼんやりして言葉が出てこない」「タスクの優先順位がつけられない」などの状態が続くときは、ブレインフォグの可能性があるのです。

頭でわかっていても行動できない可能性のある病気

行動できない状態が長く続くときは、3つの病気が隠れている可能性があります。

いずれも、適切な治療や対処を行えば、つらさをやわらげられる病気です。

「わたしのせいだ」と決めつける前に、それぞれの特徴を知っていきましょう。

うつ病

頭でわかっていても行動できないときは、うつ病の可能性があります。

うつ病を発症すると脳内にある神経伝達物質のバランスが崩れ、意欲や思考力が低下するためです。[5]

具体的には、気分の落ち込みや意欲の低下などの精神症状に加え、疲れや不眠などの身体症状があらわれます。[6]

「やらなければ」と頭では理解していても、身体が鉛のように重く感じられ動けなくなるのが特徴です。

心身の不調が長く続き、日常生活に支障が出ているときは、早めに病院を受診しましょう。

適応障害

特定の環境や状況でのみ行動できなくなるときは、適応障害の可能性があります。

適応障害とは明確なストレスの原因があり、それに対する反応として精神・行動面に症状があらわれる病気です。

具体的には、下記のようなストレスが発症のきっかけになります。

  • 過重労働
  • 部署の異動
  • 職場の人間関係

適応障害の症状には、思考力や意欲の低下が挙げられます。[7]

たとえば「会社に行こうとすると腹痛や動悸がして動けなくなるが、休日は元気に過ごせる」といったケースがみられるのです。

ただ、うつ病とは異なり、ストレスの原因から離れれば症状がやわらぐ傾向があります。[8]

特定のストレスがかかる場面でのみ行動できなくなるときは、適応障害を視野に入れましょう。

下記の記事では、適応障害についてわかりやすく解説しています。あわせてご覧ください。

注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症(ADHD)では、頭でわかっていても行動できないケースがあります。

ADHDの特性を持っていると物事の優先順位をつけたり、段取りを立てて実行したりすることに苦手を覚えます[9]

たとえば「部屋を片付けなければ」と思っても、目に入った漫画を読み始めてしまったり、どこから手をつければよいか混乱してフリーズしてしまったりするのです。

もし幼少期から「やるべきことを先延ばしにする」「忘れ物や不注意が多い」などの傾向があるときは、ADHDの特性が関係している可能性もあります。

下記の記事では発達障害の種類と特性一覧を紹介しているので、あわせてご覧ください。

頭でわかっていても行動できないのを断ち切る対処法

頭でわかっていても行動できないのを断ち切るには、3つの対処法があります。

環境や手順を変えることで、脳にかかる負担を減らすのがポイントです。

あなたが「取り組めそう」と思うものから試してください。

タスクを細かくわける

頭でわかっていても行動できないときは、タスクを細かくわけましょう

脳は「掃除をする」「資料を作る」といった抽象的な目標を前にすると、手順の処理に負荷がかかってしまうからです。

具体的には「家の掃除」というタスクであれば、いきなり全体をやろうとせず下記のように分解します。

  • 玄関をほうきで掃く
  • トイレの便座をシートで拭く
  • 排水溝のネットを取り換える

「これなら考えなくてもできる」と思えるレベルまで小さくしてください

そして、分解した最初の1つを完了させることだけに集中してください。

頭でわかっていても動けないときはタスクを小さくし、行動までのハードルを下げる方法が有効です。

とりあえずやってみる

頭でわかっていても行動できないときは、「とりあえず」と決めてまずは身体を動かしましょう

作業を始めることで、脳のやる気スイッチが入る仕組みになっているのです。[10]

やる気があるから行動できるのではなく、行動するからやる気が湧いてきます。

具体的には「資料を開くだけにする」「1行だけ書く」など小さなノルマを設定して着手します。

実際に手を動かし始めると脳が作業モードに切り替わり、30分以上集中できていることもあります。

感情や気分に関係なく、まずは着手して脳のエンジンをかけるようにしてください。

作業環境をととのえる

作業環境をととのえることは、頭でわかっていても行動できないときに有効です。

視界に余計なものが入ると、脳が無意識にその情報を処理しようとして注意力が散漫になります。

その結果、目の前のタスクに向かうエネルギーが減ってしまうのです。[11]

具体的には、下記のように集中できる環境を作りましょう。

  • テレビや漫画など気が散る対象を隠す
  • スマホは電源を切るか別の部屋に置く
  • 机の上には今やるべき作業の道具だけ置く

環境をととのえることで、自然とタスクに取り組めるように工夫しましょう。

病院を受診するときの目安

セルフケアだけで行動できない状態がよくならないときは、病院への受診を検討してください。

「どの程度の症状で病院に行っていいのか」と迷うかもしれませんが、生活に支障が出ているなら受診して問題ありません。

具体的には、下記のような状態が受診の目安となります。[7][9][12]

  • 不眠や食欲低下などの体調不良が続いている
  • 気分の落ち込みや不安などが2週間以上続いている
  • 幼少期から頭でわかっていても行動できない傾向がある
  • 特定の状況やできごとから離れると行動できるようになる

項目にあてはまるときはうつ病や適応障害、あるいはADHDの可能性があります

ひとりで抱え込まず、心療内科や精神科を受診しましょう。

当日予約・自宅で薬の受け取り可能

まとめ

頭でわかっていても行動できないのは、あなたの意志が弱いからではありません。

脳の問題や疲れ、もしくはうつ病やADHDなどの病気が隠れている可能性があります。

まずはタスクを細かくわけたり、環境をととのえたりする工夫を取り入れてください

それでも症状がよくならず、日常生活がつらいと感じたら、迷わず病院を受診しましょう。

おおかみこころのクリニックでは対面診療に加えて、オンライン診療も実施しています。

自宅でスマホやパソコンを使いながら受診できるので、外出する必要はありません。

まずは小さな悩みでもいいので、お気軽にお問い合わせください。

当日予約・自宅で薬の受け取り可能

【参考文献】
[1]脳卒中後うつと意欲低下,濱聖司
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/30/2/30_2_285/_pdf

[2]脳内にある、やる気のスイッチを発見ー意欲障害の治療法探索が可能にー|生理学研究所
https://www.nips.ac.jp/release/2017/02/post_335.html

[3]こころもメンテしよう|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/docs/book.pdf

[4]新型コロナウイルス感染症の後遺症“ブレインフォグ”の病態を新しい脳画像法で解明ー脳内グルタミン酸AMPA受容体が罹患後の認知機能障害に関係ー|YCU Research Portal
https://www.yokohama-cu.ac.jp/res-portal/news/20251001takahashi.html

[5]うつ病の分子メカニズム 1|厚生労働省
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2010/103101/201027071A/201027071A0005.pdf

[6]うつ病|こころの情報サイト
https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=9D2BdBaF8nGgVLbL

[7]うつ・適応障害・双極性障害 心の名医7人が教える最高の治し方大全,三村 將,野村総一郎,貝谷久宣,奥平智之,中村敬,熊野宏昭,文響社
https://amzn.asia/d/2w16dwX

[8]3.ストレス,適応障害,新開隆弘
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jser/84/1/84_1/_pdf/-char/ja

[9]参考3 定義と判断基準(試案)等|文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/1361233.htm

[10]パンデミック下だからこそ、気をつけたいこと|武蔵大学
https://www.musashi.ac.jp/campuslife/org/counseling/ahdlv30000000fyt-att/eu48bl000000orup.pdf

[11]”ADHDタイプ”の方の対処策②|NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/rinshoshinri/rinshoshinri_blog20220228-2.html

[12]2 うつ病の主な症状と原因:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
https://kokoro.mhlw.go.jp/about-depression/ad002

執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。




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